交差
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3、ふたつの世界を繋ぐ“ドア”
パラレルワールド。●●の住む世界と向こうの世界は、まあそんな関係らしい。
ある小説の世界がそのままそっくり実写化されたような場所だということには、あとで気づいたのだが。(それも●●の世界と非常に似ている)
その小説というのも、アニメになったり漫画になったりしているようで。
(どうりで見かけたことがあると思ったら、そういうことだったんだ)
本来ならびっくり仰天、どういうことだと狼狽えてもおかしくない状況だ。
しかし●●にとっては、なにがどうなってこうなったかなど、取るに足りないことだった。
平和島静雄。彼に出逢えた、それだけでいい。彼のために、●●はあの世界に呼ばれたのだ。
……誰かが●●にそう、言ったわけではないけれど。
パソコンを使って彼のこと、あちらの世界のことを少し調べてみたりした。
――直接本人に聞けばいいのだから、あまり知る必要はないかと思いつつ、さらっと読み流した。
本屋で小説の表紙を見て、静雄がいたから手に取った。
――買ったものの、活字を読むよりイラストを眺めることのほうが多いのは事実。
深夜にやっているアニメを録画して、空いた時間にぼーっと見ていた。
――アニメを実写化したら実際あんな感じなのか。いや、むしろ彼をアニメにしたらこんな感じ?
結論。●●にとっての“平和島静雄”は、実際に会えて触れられる、彼こそが平和島静雄なのである。
こちらの世界とあちらの世界を繋ぐのは“ドア”だった。
某未来の猫型ロボットの道具のようでもあるが、持ち運びはできない。道具ではなく、そこに“在る”ものだからだ。
入り口は自宅の玄関にある。ノブを握って静雄の顔を思い浮かべると、あちら側に行けるようになった。
ぽんと異世界に投げ出されたのはあの最初の一度だけで、その日の帰りも導かれるように“ドア”を見つけた。
――シンプルな白いドア。本来の世界に帰るための扉がそれだ。
それは時に道の真ん中にあったり、建物の壁にあったり、人の家の玄関と重なっていたりした。
●●だけにしか見えず、●●だけにしか通り抜けられないらしい。
「さて、と。そろそろ行きますか」
鞄を斜めに肩掛けした●●は、机の上にある時計に目をやった。窓の外は暗い。
こちらとあちらの世界での時間の経過速度は同じだが、昼夜が逆転している。
明日は大学の講義が午後からなので、多少睡眠時間をあちら側で過ごすために使っても大丈夫だろう。
世界を越えた繋がりを持ってから、●●は充実した毎日を送っていた。
自分の生きる世界に特に不満があるわけではない。
ただ、向こうの世界では、自分の中のなにかが満たされる。自分が必要とされていると“わかる”。
(これって自惚れなのかな。ねえ、どう思います、静さん?)
●●は目を閉じた。ドアに手をかける。目蓋の裏に想い描く、彼の人。あなたのために、わたしは世界を渡る。
パラレルワールド。●●の住む世界と向こうの世界は、まあそんな関係らしい。
ある小説の世界がそのままそっくり実写化されたような場所だということには、あとで気づいたのだが。(それも●●の世界と非常に似ている)
その小説というのも、アニメになったり漫画になったりしているようで。
(どうりで見かけたことがあると思ったら、そういうことだったんだ)
本来ならびっくり仰天、どういうことだと狼狽えてもおかしくない状況だ。
しかし●●にとっては、なにがどうなってこうなったかなど、取るに足りないことだった。
平和島静雄。彼に出逢えた、それだけでいい。彼のために、●●はあの世界に呼ばれたのだ。
……誰かが●●にそう、言ったわけではないけれど。
パソコンを使って彼のこと、あちらの世界のことを少し調べてみたりした。
――直接本人に聞けばいいのだから、あまり知る必要はないかと思いつつ、さらっと読み流した。
本屋で小説の表紙を見て、静雄がいたから手に取った。
――買ったものの、活字を読むよりイラストを眺めることのほうが多いのは事実。
深夜にやっているアニメを録画して、空いた時間にぼーっと見ていた。
――アニメを実写化したら実際あんな感じなのか。いや、むしろ彼をアニメにしたらこんな感じ?
結論。●●にとっての“平和島静雄”は、実際に会えて触れられる、彼こそが平和島静雄なのである。
こちらの世界とあちらの世界を繋ぐのは“ドア”だった。
某未来の猫型ロボットの道具のようでもあるが、持ち運びはできない。道具ではなく、そこに“在る”ものだからだ。
入り口は自宅の玄関にある。ノブを握って静雄の顔を思い浮かべると、あちら側に行けるようになった。
ぽんと異世界に投げ出されたのはあの最初の一度だけで、その日の帰りも導かれるように“ドア”を見つけた。
――シンプルな白いドア。本来の世界に帰るための扉がそれだ。
それは時に道の真ん中にあったり、建物の壁にあったり、人の家の玄関と重なっていたりした。
●●だけにしか見えず、●●だけにしか通り抜けられないらしい。
「さて、と。そろそろ行きますか」
鞄を斜めに肩掛けした●●は、机の上にある時計に目をやった。窓の外は暗い。
こちらとあちらの世界での時間の経過速度は同じだが、昼夜が逆転している。
明日は大学の講義が午後からなので、多少睡眠時間をあちら側で過ごすために使っても大丈夫だろう。
世界を越えた繋がりを持ってから、●●は充実した毎日を送っていた。
自分の生きる世界に特に不満があるわけではない。
ただ、向こうの世界では、自分の中のなにかが満たされる。自分が必要とされていると“わかる”。
(これって自惚れなのかな。ねえ、どう思います、静さん?)
●●は目を閉じた。ドアに手をかける。目蓋の裏に想い描く、彼の人。あなたのために、わたしは世界を渡る。