交差
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25、曇り日の到来
衝動に任せてキスをしてしまったあの日から、その存在を余計に意識するようになっていた。
あの夜の記憶がおぼろげらしい●●に、実は唇奪いました、などと告げられるはずもない。
よって彼女の態度に変わりはなく、静雄は罪悪感を解消できないまま、触れた柔らかい感触を思い起こしては頭を抱えていた。
(いっそ言っちまうか…?そうすりゃ●●も、ちょっとは俺のことを意識してくれる……はずだ)
片想いのつらいところ、そのひとつ。
自然と相手をよく観察してしまうことで、その気の有無を嫌でも知ってしまうことだろう。
●●からは確かにわかりやすい好意を感じるが、自分が向ける好意とは意味が違う。
正直、友達以上の感情があるようには思えなかった。特別の親しみは、素直に嬉しい。が、貪欲になった心は満ちない。
踏み込むと決心したはずなのに、静雄がやったのは、寝込みを襲うような情けないもの。
合鍵を渡せたのも言葉を繕った末、半ば押しつけたも同然だった。
やはり態度ではなく、直接声で伝えたほうがいいのだろうか。
言葉にすれば後には引けなくなる。心地いい関係が崩れる可能性も含め、勇気を出さなければ、進まない。
「……。メールでも、するか」
仕事の合間、静雄はケータイをぽちぽちと操作した。
いつも飾り気のない文章を受け取る●●は、「静さんらしいです」と言って笑ってたっけ。
そんな彼女からは“親しき仲にも礼儀あり”というような、語尾に控えめな絵文字のついたメールが送られてくる。
(――絵文字、な)
静雄は絵文字を表示させて目についたものを本文に置いてみたが、場違いこの上もない感じだったので、黙ってハートマークを消去した。
頭の中で何度シミュレーションをしても、実際に向き合うと言葉につまってしまうのだろう。
想像の中でさえ告白の成功図を思い描けずに、とうとうぶっつけ本番で行くしかないという気持ちになってきた。
静雄は会えない日に送る他愛もないメールで、次はいつ来るかと尋ねた。
こうなったら男らしく腹を括って、来たる日に備えよう。
ありのままを伝えれば●●のことだ、きっと白黒をはっきりさせてくれる。
もし彼女が首を縦にも横にも振らずに迷いを見せたら、いくらでも待つから考えてくれと頼もう。
このまま行けば、無二の親友になってしまいそうだ。それも捨てがたいが、それ以上に恋人という関係になりたい。
送信成功の文字を見届けてから、ぱちんとケータイを閉じる。
ほっと息をついて、思わず苦笑した。いつもどおりの文面の裏側に強い決意が秘められていようとは、●●も気づくまい。
次に会えるのは、明日か明後日くらいだろうか。静雄はぼんやりと物思いに耽った。
一日が終わっても、メールに返信は来なかった。なるべくもらった日のうちに返信するようにしているという●●にしては珍しい。
忙しいのだろうかと思い、たまにはそんなこともあるかと静雄は特に気に留めなかった。しかし。
二日経ち、一週間が過ぎても、返信が来ないばかりか彼女が姿を見せることはなかった。
衝動に任せてキスをしてしまったあの日から、その存在を余計に意識するようになっていた。
あの夜の記憶がおぼろげらしい●●に、実は唇奪いました、などと告げられるはずもない。
よって彼女の態度に変わりはなく、静雄は罪悪感を解消できないまま、触れた柔らかい感触を思い起こしては頭を抱えていた。
(いっそ言っちまうか…?そうすりゃ●●も、ちょっとは俺のことを意識してくれる……はずだ)
片想いのつらいところ、そのひとつ。
自然と相手をよく観察してしまうことで、その気の有無を嫌でも知ってしまうことだろう。
●●からは確かにわかりやすい好意を感じるが、自分が向ける好意とは意味が違う。
正直、友達以上の感情があるようには思えなかった。特別の親しみは、素直に嬉しい。が、貪欲になった心は満ちない。
踏み込むと決心したはずなのに、静雄がやったのは、寝込みを襲うような情けないもの。
合鍵を渡せたのも言葉を繕った末、半ば押しつけたも同然だった。
やはり態度ではなく、直接声で伝えたほうがいいのだろうか。
言葉にすれば後には引けなくなる。心地いい関係が崩れる可能性も含め、勇気を出さなければ、進まない。
「……。メールでも、するか」
仕事の合間、静雄はケータイをぽちぽちと操作した。
いつも飾り気のない文章を受け取る●●は、「静さんらしいです」と言って笑ってたっけ。
そんな彼女からは“親しき仲にも礼儀あり”というような、語尾に控えめな絵文字のついたメールが送られてくる。
(――絵文字、な)
静雄は絵文字を表示させて目についたものを本文に置いてみたが、場違いこの上もない感じだったので、黙ってハートマークを消去した。
頭の中で何度シミュレーションをしても、実際に向き合うと言葉につまってしまうのだろう。
想像の中でさえ告白の成功図を思い描けずに、とうとうぶっつけ本番で行くしかないという気持ちになってきた。
静雄は会えない日に送る他愛もないメールで、次はいつ来るかと尋ねた。
こうなったら男らしく腹を括って、来たる日に備えよう。
ありのままを伝えれば●●のことだ、きっと白黒をはっきりさせてくれる。
もし彼女が首を縦にも横にも振らずに迷いを見せたら、いくらでも待つから考えてくれと頼もう。
このまま行けば、無二の親友になってしまいそうだ。それも捨てがたいが、それ以上に恋人という関係になりたい。
送信成功の文字を見届けてから、ぱちんとケータイを閉じる。
ほっと息をついて、思わず苦笑した。いつもどおりの文面の裏側に強い決意が秘められていようとは、●●も気づくまい。
次に会えるのは、明日か明後日くらいだろうか。静雄はぼんやりと物思いに耽った。
一日が終わっても、メールに返信は来なかった。なるべくもらった日のうちに返信するようにしているという●●にしては珍しい。
忙しいのだろうかと思い、たまにはそんなこともあるかと静雄は特に気に留めなかった。しかし。
二日経ち、一週間が過ぎても、返信が来ないばかりか彼女が姿を見せることはなかった。