交差
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23、罪な誘惑に溺れたい
下心がまったくなかったと言えば、たぶん嘘になる。だが、断じてこの状況を狙ってやったわけではない。
誰にともなく言い訳をしながら、静雄は穏やかな呼吸を繰り返す身体に触れた。
柔らかな弾力と、程よい重みが腕に収まる。
シーツの上にそっと寝かせ、ほっと息を吐き出したことで、己の緊張を知った。
そして無造作に横たわる彼女へと意識が向けば、さらなる緊張を強いられる。
好意を抱く女が自分のベッドにいるだけで、こんなにも気が張りつめるものなのか。
(……まずい、よな)
静雄はベッドに腰掛け、まどろみに身を委ねる●●をちらと横目で見遣った。
アルコールによって上気した頬。うっすら開いた唇は、奥深くまで貪りたくなるほど無防備だ。
理性を総動員してもなお、余りある破壊力。そして、おそらくこの頭も、酒でいくらか緩んでしまっている。
明日は休日。仕事が終わった後、●●と待ち合わせて店に寄った。
DVDをレンタルし(流行りのアクション映画だ)、気分で酒とつまみも買った。
「静さんとお酒飲むの、初めてですね」
「ああ…そうだな」
言われてみれば、そのとおりだった。どうりで楽しそうに酒を選ぶ●●が新鮮に見えるわけだ。
彼女の外見なら、まだ未成年と言っても通じるだろう。意外と飲むのかと聞けば、
「別にそれほど好きってわけでもないんです。でも、限定とか書かれてると…気になりません?」
今だけしか味わえないんですよ、今だけしか。
そう言って彼女が選んだ、期間限定のチューハイ。それも、今は空になってテーブルの上に佇むばかり。
静雄のほうも、映画を観賞しつつ、ちびちびと重ねた量はそこそこあり。
結果、睡魔に襲われている●●を、どうにかしてしまいたいような気分になっているのである。
(あー……)
異性に触れる機会など、ほとんどないに等しい生活を送ってきた。
だが、今はどうだ。静雄の力をものともせず、“普通”を与えてくれる●●がいる。
その彼女は一番欲しい存在で、さあ召し上がれとばかりに差し出されているこの状況。
(試されてんのか、俺…)
手出しできるはずがない、と思いつつも、意識は強く引き寄せられる。
静雄は渇いた喉に唾を押し込み、華奢な肩を軽く揺さ振った。
「…おい、●●」
「ぅ、んー…?」
「そろそろ帰らねぇと、終電なくなるぞ」
実際のところ、●●がここまでどういう手段で来ているのか静雄は知らない。
電車でもなんでもいい、それを口実に早く帰さなければと気が急いた。
しかし、彼女は男の事情に気づく様子もなく、もごもごと口を動かした。
「んー…明日はお休みなんで、だいじょーぶ…です」
(そ、ういう問題じゃねぇだろ……っ)
目を瞑ったまま気の抜けきった顔で笑う●●が、たまらなく可愛く見えた。
無性に愛でたい、を通り越していっそのこと、むしゃぶりつきたい。
欲望に押し伏せられて喘ぐ理性を再度総動員させたが、アルコールに乗せられた昂りはそう簡単に鎮まらず。
きし、とベッドが静かに軋む。●●の顔に影が落ちた。
「●●」
「ぅ……」
「――……泊まってく、か?」
それは、卑怯な問いかけだった。
男の家で一夜を過ごすということが、なにを意味するのか。
大人ならば理解して当然。なにが起きても責任は互いにあるのだと、そう主張できるように。
相手が酔ってはっきりした意識を保っていないとわかっていながら、こくりと縦に揺れた頭に静雄は息をつめた。
ああ、もう駄目だ。もう知るか。全部、こいつが悪い。
静雄はベッドについたほうとは反対の手で、●●の顎を掴んだ。
極度の緊張ゆえか、あるいは興奮なのか、心ごと全身が震えるようだった。
ゆっくりと顔を落としていく。こんなに至近距離でじっくり彼女を見るのは、初めてかもしれない。
…睫毛、長いな。酒のせいで、肌がしっとり熱い。無防備すぎて、もう、たまらない。
魅惑的に薄く開いた唇に、静雄はそっと唇を合わせた。
後ろめたさなど感じる余裕もなく、そのときはただ一心に、目眩のような幸福を味わっていた。
下心がまったくなかったと言えば、たぶん嘘になる。だが、断じてこの状況を狙ってやったわけではない。
誰にともなく言い訳をしながら、静雄は穏やかな呼吸を繰り返す身体に触れた。
柔らかな弾力と、程よい重みが腕に収まる。
シーツの上にそっと寝かせ、ほっと息を吐き出したことで、己の緊張を知った。
そして無造作に横たわる彼女へと意識が向けば、さらなる緊張を強いられる。
好意を抱く女が自分のベッドにいるだけで、こんなにも気が張りつめるものなのか。
(……まずい、よな)
静雄はベッドに腰掛け、まどろみに身を委ねる●●をちらと横目で見遣った。
アルコールによって上気した頬。うっすら開いた唇は、奥深くまで貪りたくなるほど無防備だ。
理性を総動員してもなお、余りある破壊力。そして、おそらくこの頭も、酒でいくらか緩んでしまっている。
明日は休日。仕事が終わった後、●●と待ち合わせて店に寄った。
DVDをレンタルし(流行りのアクション映画だ)、気分で酒とつまみも買った。
「静さんとお酒飲むの、初めてですね」
「ああ…そうだな」
言われてみれば、そのとおりだった。どうりで楽しそうに酒を選ぶ●●が新鮮に見えるわけだ。
彼女の外見なら、まだ未成年と言っても通じるだろう。意外と飲むのかと聞けば、
「別にそれほど好きってわけでもないんです。でも、限定とか書かれてると…気になりません?」
今だけしか味わえないんですよ、今だけしか。
そう言って彼女が選んだ、期間限定のチューハイ。それも、今は空になってテーブルの上に佇むばかり。
静雄のほうも、映画を観賞しつつ、ちびちびと重ねた量はそこそこあり。
結果、睡魔に襲われている●●を、どうにかしてしまいたいような気分になっているのである。
(あー……)
異性に触れる機会など、ほとんどないに等しい生活を送ってきた。
だが、今はどうだ。静雄の力をものともせず、“普通”を与えてくれる●●がいる。
その彼女は一番欲しい存在で、さあ召し上がれとばかりに差し出されているこの状況。
(試されてんのか、俺…)
手出しできるはずがない、と思いつつも、意識は強く引き寄せられる。
静雄は渇いた喉に唾を押し込み、華奢な肩を軽く揺さ振った。
「…おい、●●」
「ぅ、んー…?」
「そろそろ帰らねぇと、終電なくなるぞ」
実際のところ、●●がここまでどういう手段で来ているのか静雄は知らない。
電車でもなんでもいい、それを口実に早く帰さなければと気が急いた。
しかし、彼女は男の事情に気づく様子もなく、もごもごと口を動かした。
「んー…明日はお休みなんで、だいじょーぶ…です」
(そ、ういう問題じゃねぇだろ……っ)
目を瞑ったまま気の抜けきった顔で笑う●●が、たまらなく可愛く見えた。
無性に愛でたい、を通り越していっそのこと、むしゃぶりつきたい。
欲望に押し伏せられて喘ぐ理性を再度総動員させたが、アルコールに乗せられた昂りはそう簡単に鎮まらず。
きし、とベッドが静かに軋む。●●の顔に影が落ちた。
「●●」
「ぅ……」
「――……泊まってく、か?」
それは、卑怯な問いかけだった。
男の家で一夜を過ごすということが、なにを意味するのか。
大人ならば理解して当然。なにが起きても責任は互いにあるのだと、そう主張できるように。
相手が酔ってはっきりした意識を保っていないとわかっていながら、こくりと縦に揺れた頭に静雄は息をつめた。
ああ、もう駄目だ。もう知るか。全部、こいつが悪い。
静雄はベッドについたほうとは反対の手で、●●の顎を掴んだ。
極度の緊張ゆえか、あるいは興奮なのか、心ごと全身が震えるようだった。
ゆっくりと顔を落としていく。こんなに至近距離でじっくり彼女を見るのは、初めてかもしれない。
…睫毛、長いな。酒のせいで、肌がしっとり熱い。無防備すぎて、もう、たまらない。
魅惑的に薄く開いた唇に、静雄はそっと唇を合わせた。
後ろめたさなど感じる余裕もなく、そのときはただ一心に、目眩のような幸福を味わっていた。