眠りから醒めるまで
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道場では少年達が稽古に励んでいる。中でも銀時の強さは突出しており無敗を誇っていた。
その銀時と竹刀を合わせている●●は唯一女の身でありながら、ここでもやはり違和感なく混ざっていた。
目立つことなくひっそりと己を鍛えている、そんな印象を受ける。
立ち姿は綺麗だと思う。真面目に取り組む姿勢も評価できる。
しかし●●の剣は実践向きではない。そして単純に、似合わない、そう感じるのだ。
「お前、こんなもん握るよりおにぎり握ってたほうがいいんじゃねェの」
教え通りに竹刀を振っていた少女は「え、おにぎり?」と聞き返した。
平素と顔色の変わらない銀時とは違って、体を動かすとすぐに血色のよくなる●●である。
その様子は一生懸命さが伝わってきていじらしくもあるのだが、銀時の心境は複雑だった。
「おにぎり食べたいの?わかった、今晩はおにぎりにするね」
「ちげーよ、誰が夕飯のリクエストしたよ。そうじゃなくて……」
言いたいことがあるはずなのに、うまく言葉にならない。口の中で形にしようと努める銀時に、●●は竹刀の感触を確かめながら充実感に満ちた声で言った。
「子どもって身軽でいいね。こうやって今のうちに鍛錬したら、運動神経のいい大人になれるかな」
●●はどんな大人になりたいのだろう。些細な疑問は言い知れぬ不安を呼ぶ。
まだ子どもでひ弱な女のくせに、自立した大人のように見えることがある。
今は松陽の厚意に甘えていても、準備が整い機会が巡ってくれば、飛び立っていってしまうような雰囲気があった。
剣術を学んでいるのもそのためなのではないかと疑うと、ますます胸が痞えるようだった。
「ハッ、そーいうことは俺から一本取ってから考えるんだな」
銀時はわざとらしく鼻で笑って●●と手合わせすることにした。……嫌なことを自ら進んでやるなんてバカだと知りながら。
勝ちは目に見えていた。●●はまだ剣に慣れておらずいつも力負けするのだ。
――だが、●●と勝負するとき稀に、銀時でさえひやりとする瞬間がある。
相手の気配が消える刹那。目の前にいるのにいなくなる、捉えていたはずの姿が見えなくなる。
錯覚かもしれないが、もし、本人に自覚のないそれが●●の潜在的な能力なのだとしたら。
いっそのこと潰してやれたらいいのに。少女を見据える銀時の耳元で悪魔が囁く。
立ち直れないくらい叩きのめして、お前なんて所詮こんなもんだと突き落として、希望の芽を摘み取って。
そうすれば。一人で生きていこうとすることを諦めて、護らせてくれるだろうか。
その銀時と竹刀を合わせている●●は唯一女の身でありながら、ここでもやはり違和感なく混ざっていた。
目立つことなくひっそりと己を鍛えている、そんな印象を受ける。
立ち姿は綺麗だと思う。真面目に取り組む姿勢も評価できる。
しかし●●の剣は実践向きではない。そして単純に、似合わない、そう感じるのだ。
「お前、こんなもん握るよりおにぎり握ってたほうがいいんじゃねェの」
教え通りに竹刀を振っていた少女は「え、おにぎり?」と聞き返した。
平素と顔色の変わらない銀時とは違って、体を動かすとすぐに血色のよくなる●●である。
その様子は一生懸命さが伝わってきていじらしくもあるのだが、銀時の心境は複雑だった。
「おにぎり食べたいの?わかった、今晩はおにぎりにするね」
「ちげーよ、誰が夕飯のリクエストしたよ。そうじゃなくて……」
言いたいことがあるはずなのに、うまく言葉にならない。口の中で形にしようと努める銀時に、●●は竹刀の感触を確かめながら充実感に満ちた声で言った。
「子どもって身軽でいいね。こうやって今のうちに鍛錬したら、運動神経のいい大人になれるかな」
●●はどんな大人になりたいのだろう。些細な疑問は言い知れぬ不安を呼ぶ。
まだ子どもでひ弱な女のくせに、自立した大人のように見えることがある。
今は松陽の厚意に甘えていても、準備が整い機会が巡ってくれば、飛び立っていってしまうような雰囲気があった。
剣術を学んでいるのもそのためなのではないかと疑うと、ますます胸が痞えるようだった。
「ハッ、そーいうことは俺から一本取ってから考えるんだな」
銀時はわざとらしく鼻で笑って●●と手合わせすることにした。……嫌なことを自ら進んでやるなんてバカだと知りながら。
勝ちは目に見えていた。●●はまだ剣に慣れておらずいつも力負けするのだ。
――だが、●●と勝負するとき稀に、銀時でさえひやりとする瞬間がある。
相手の気配が消える刹那。目の前にいるのにいなくなる、捉えていたはずの姿が見えなくなる。
錯覚かもしれないが、もし、本人に自覚のないそれが●●の潜在的な能力なのだとしたら。
いっそのこと潰してやれたらいいのに。少女を見据える銀時の耳元で悪魔が囁く。
立ち直れないくらい叩きのめして、お前なんて所詮こんなもんだと突き落として、希望の芽を摘み取って。
そうすれば。一人で生きていこうとすることを諦めて、護らせてくれるだろうか。