眠りから醒めるまで
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真夜中、襲い来る尿意を我慢できず厠にダッシュした銀時が戻ってきたのは自室ではなかった。
布団から安らかな寝顔を出して眠っているのは●●である。
銀時はそれを恨めしそうに見下ろして、やっぱりこいつも道連れにしてやるんだったと思った。
誰が言い出したのだったか、子ども達が怪談話をしようと集まったのは夕刻のこと。
曇り空で辺りは薄暗かったが、より雰囲気を求めて、木の生い茂った人気のない森の中を場所に選んだ。
くだらねーとばかりにパスしようとした銀時だが、ビビってんのかと挑発されて売り言葉に買い言葉、結局付き合わされることになった。
たかがガキの怪談と油断したのが間違いだった。まさかとんでもない特技を隠し持つ奴がいようとは。
巧妙な語り口で紡がれた気味の悪い話に、その場にいた半数近くが失禁する羽目になった。
銀時も危うく仲間入りしそうになったのは言うまでもない。そして、その後遺症は日が暮れてからさらに顕著に表れた。
もし今日●●があの場にいれば、今頃うまい具合に事は運んでいたに違いない。家事なんてサボらせればよかった。
怖がる●●がもじもじ恥ずかしがりながら一緒に寝ようと誘ってくれば、銀時はしかたねーなと言うだけで済んだのだ。
一人だけ気持ちよさそうに寝やがって、と銀時が心の中で勝手なことを呟いたそのときだった。
熟睡しているかと思われた●●がゆっくりと目を開け、緩慢に瞬きをしながら銀時の姿を捉えた。
夜中に誰かが枕元に立って見下ろしているなんて、普通なら驚きそうなものだったが、少女は眠たそうに微笑んだ。
「……銀ちゃん、どうしたの……?」
どうしたもこうしたも眠れなくて、一人でいると何かが出そうで、つい忍び込んでしまったのだが。
正直に打ち明けるのは格好悪すぎる。銀時は頭を搔きながら適当に出任せを言った。
「あー。あれだよ、夜這いだ夜這い」
なんて言っても●●にはまだわからねェよな。
「……嬉しい。でもまだその歳じゃできないでしょう?」
え、なんかこの子すごいこと言ってるんだけど。わかって言ってる?それわかって言ってる!?
不意打ちに動転する銀時に気づいているのかいないのか、●●はもぞもぞと布団の端に移動すると、掛け布団をそっと捲った。
「おいで。そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。枕は持ってきてないよね、これ貸してあげる」
眠気に浸った声はふにゃふにゃで、だけど大人が子どもをあやすようなとろとろの甘さがたっぷり含まれている。
体の芯が痺れたようになり、導かれるまま銀時は無言で●●の隣に潜り込んだ。
●●の体温であたたまった布団が夜気に冷えた体を包み込む。頭を置いた枕からはいい匂いがする気がした。
理由を聞かず躊躇いもなく招き入れてくれた●●は、もうすっかり夢の中に戻っていた。
上を向いて眠る少女の横顔をじっと見つめていると、そのうち、うつらうつらしてくる。部屋の物陰からも目蓋の裏からも、怖いものは消え去っていた。
そして夢を見た。化け物も幽霊もいない。近しい男と少女が出てくる、いつか立ち聞きした出来事だった。
『●●さん、この頃料理の味付けを変えましたか』
『……先生はなんでもお見通しですね』
『私に限らず誰でもわかると思いますよ。特にあの卵焼きを食べれば、ね?』
『あ、お伺いもせず、勝手にすみません』
『謝ることはありません。以前の味も好きですが、甘い卵焼きも美味しかったです。銀時も喜んでいましたし。……ふふ、これからは甘い味付けがもっと増えるでしょうね?』
『う……はい、おそらく。もっ、もちろん先生のお好きなものもきちんとお作りしますから!』
翌朝、●●を起こしにやってきた松陽に見つかった銀時は拳骨をひとつ頂戴した。女性の部屋で一夜を明かすなんて、と。
寝相はそれほど悪くないのに妙に寝乱れている●●を見て、なんらかの過ちを犯したかと焦ったが、銀時が知らないだけで毎日のことらしい。
あなたもあなたです、と●●が松陽に小言を食らっている間に、銀時は静かに退室した。
松陽は毎朝着付けのために●●の部屋に来ているのか。人の手を借りなければ満足に着物も着られないなんて、本当に、●●はどこぞのお嬢様だったのかもしれない。
布団から安らかな寝顔を出して眠っているのは●●である。
銀時はそれを恨めしそうに見下ろして、やっぱりこいつも道連れにしてやるんだったと思った。
誰が言い出したのだったか、子ども達が怪談話をしようと集まったのは夕刻のこと。
曇り空で辺りは薄暗かったが、より雰囲気を求めて、木の生い茂った人気のない森の中を場所に選んだ。
くだらねーとばかりにパスしようとした銀時だが、ビビってんのかと挑発されて売り言葉に買い言葉、結局付き合わされることになった。
たかがガキの怪談と油断したのが間違いだった。まさかとんでもない特技を隠し持つ奴がいようとは。
巧妙な語り口で紡がれた気味の悪い話に、その場にいた半数近くが失禁する羽目になった。
銀時も危うく仲間入りしそうになったのは言うまでもない。そして、その後遺症は日が暮れてからさらに顕著に表れた。
もし今日●●があの場にいれば、今頃うまい具合に事は運んでいたに違いない。家事なんてサボらせればよかった。
怖がる●●がもじもじ恥ずかしがりながら一緒に寝ようと誘ってくれば、銀時はしかたねーなと言うだけで済んだのだ。
一人だけ気持ちよさそうに寝やがって、と銀時が心の中で勝手なことを呟いたそのときだった。
熟睡しているかと思われた●●がゆっくりと目を開け、緩慢に瞬きをしながら銀時の姿を捉えた。
夜中に誰かが枕元に立って見下ろしているなんて、普通なら驚きそうなものだったが、少女は眠たそうに微笑んだ。
「……銀ちゃん、どうしたの……?」
どうしたもこうしたも眠れなくて、一人でいると何かが出そうで、つい忍び込んでしまったのだが。
正直に打ち明けるのは格好悪すぎる。銀時は頭を搔きながら適当に出任せを言った。
「あー。あれだよ、夜這いだ夜這い」
なんて言っても●●にはまだわからねェよな。
「……嬉しい。でもまだその歳じゃできないでしょう?」
え、なんかこの子すごいこと言ってるんだけど。わかって言ってる?それわかって言ってる!?
不意打ちに動転する銀時に気づいているのかいないのか、●●はもぞもぞと布団の端に移動すると、掛け布団をそっと捲った。
「おいで。そのままじゃ風邪ひいちゃうよ。枕は持ってきてないよね、これ貸してあげる」
眠気に浸った声はふにゃふにゃで、だけど大人が子どもをあやすようなとろとろの甘さがたっぷり含まれている。
体の芯が痺れたようになり、導かれるまま銀時は無言で●●の隣に潜り込んだ。
●●の体温であたたまった布団が夜気に冷えた体を包み込む。頭を置いた枕からはいい匂いがする気がした。
理由を聞かず躊躇いもなく招き入れてくれた●●は、もうすっかり夢の中に戻っていた。
上を向いて眠る少女の横顔をじっと見つめていると、そのうち、うつらうつらしてくる。部屋の物陰からも目蓋の裏からも、怖いものは消え去っていた。
そして夢を見た。化け物も幽霊もいない。近しい男と少女が出てくる、いつか立ち聞きした出来事だった。
『●●さん、この頃料理の味付けを変えましたか』
『……先生はなんでもお見通しですね』
『私に限らず誰でもわかると思いますよ。特にあの卵焼きを食べれば、ね?』
『あ、お伺いもせず、勝手にすみません』
『謝ることはありません。以前の味も好きですが、甘い卵焼きも美味しかったです。銀時も喜んでいましたし。……ふふ、これからは甘い味付けがもっと増えるでしょうね?』
『う……はい、おそらく。もっ、もちろん先生のお好きなものもきちんとお作りしますから!』
翌朝、●●を起こしにやってきた松陽に見つかった銀時は拳骨をひとつ頂戴した。女性の部屋で一夜を明かすなんて、と。
寝相はそれほど悪くないのに妙に寝乱れている●●を見て、なんらかの過ちを犯したかと焦ったが、銀時が知らないだけで毎日のことらしい。
あなたもあなたです、と●●が松陽に小言を食らっている間に、銀時は静かに退室した。
松陽は毎朝着付けのために●●の部屋に来ているのか。人の手を借りなければ満足に着物も着られないなんて、本当に、●●はどこぞのお嬢様だったのかもしれない。