目覚めのデッドエンド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局あの日、わたしが靴を履いていなかった理由を沖矢さんは訊かなかった。一方的なものを含めると彼は何度もわたしを見ていたそうだから、早い段階から気づいて様子を窺っていたのかもしれない。追求してこない彼の考えはさっぱり読めないけども。
なんだかこう、じわじわと距離を縮められてる気がするんだよね。どういう意味かって?彼が男前だからってもちろん身の程は弁えている。それにこれは乙女的などきどき感というより、犯人が徐々に追いつめられてくあの感じじゃない……?え、被害妄想?
図らずも履物が手に入ったのはどうやら必要なイベントだったらしい。なんの気なしに――それこそ無意識に――腹部にあるパーカーのポケットに手を突っ込んだところ、わたしは小さな紙一枚と鍵を一個ゲットした。当然どっちも身に覚えがなかった。ははーん、これが次なるステップというわけですか。
今さらこれしきの不思議体験、なんてことはない。こういうのを脱出ゲームっていうのかな。たまにCMで宣伝してるやつ。未経験だけど。この想像の世界から現実に戻ることが目的だからあながち的外れでもないか。
小さな紙には漢字と数字の組み合わせが記されていた。ぱっと見、これは住所だ。少し離れた位置にはさらに三桁の数字が並んでいる。鍵にはこれといった特徴はなく、本当にシンプルな形だった。これがゲームだとするなら、ヒントを頼りにして向かった先に合致する鍵穴があるという流れだろう。
ヒントというかすでにゴールが示されているも同然の紙を手にして、わたしはううむと唸る。住所を提示されてもなあ……。そもそもここはどこだって話なんだよ。
手元にパソコンがあればよかった。ケータイでもいい。ネットを使えば現在地も、目的地までのルートもあっという間にわかるのに。
文明の利器を使わずして、いかにこの場所にたどり着くかが問題だ。手っ取り早いのは交番でお巡りさんに聞くこと。その交番はどこにあるんだって話だから即却下。あとはそのへんにいる人に道を尋ねるくらい。まあ正攻法だ。
なんにせよ、まずはこの公園の外の世界を知るのが先決である。今、公園には誰もいない。道を尋ねるにしても誰に尋ねるかを慎重に見極める必要があった。公園を出て、その先で出会う人の中から見繕うことにしよう。
わたしはよしっと気合いを入れると、ずっと居座り続けた公園から出る決意を固めた。この鍵で開くはずのどこかの先に、もしかしたら夢の終わりがあるかもしれない。どんなに濃い内容の夢だって案外あっさり終わるものだから。
沖矢さんからもらった赤いサンダルがわたしを外へと誘いざなう。うん、大丈夫。ちゃんと歩けてる。いいこだね、わたし。
これまで離れたところから眺めるだけだった街路樹が近づいてくる。車道は思ったよりも幅が狭くてセンターラインがなかった。周りに広がっているのはやっぱりというべきか見知らぬ土地で、そんな気はしてたから今さらどうということはない。
――さてと。進むべき方向は右か、左か。じゃあ左に行ってみよう。直感は大切です。
とにかくまずは真っ直ぐ進もう。そうすればこの公園にまた戻ってくることもできる。
急ぐ必要もないので、一歩一歩確実に歩みを進めることに集中する。派手に転んで人目を引くなんてことにならないためにも。主導権を握るには相手から関心を向けられるんじゃなくて、自分から声をかけて初めて存在を認められるくらいがちょうどいい。じゃないと相手のペースに乗せられてしまうことになる、と学習した。
本来の目的である“いい人”探しも忘れない。あくまでわたしにとって都合のいい人選をしなければ、今後の展開がどう転ぶかわかったもんじゃない。声をかけやすい雰囲気で、親切そうで、あまりお節介な人じゃなければいいなあ。
なんだかこう、じわじわと距離を縮められてる気がするんだよね。どういう意味かって?彼が男前だからってもちろん身の程は弁えている。それにこれは乙女的などきどき感というより、犯人が徐々に追いつめられてくあの感じじゃない……?え、被害妄想?
図らずも履物が手に入ったのはどうやら必要なイベントだったらしい。なんの気なしに――それこそ無意識に――腹部にあるパーカーのポケットに手を突っ込んだところ、わたしは小さな紙一枚と鍵を一個ゲットした。当然どっちも身に覚えがなかった。ははーん、これが次なるステップというわけですか。
今さらこれしきの不思議体験、なんてことはない。こういうのを脱出ゲームっていうのかな。たまにCMで宣伝してるやつ。未経験だけど。この想像の世界から現実に戻ることが目的だからあながち的外れでもないか。
小さな紙には漢字と数字の組み合わせが記されていた。ぱっと見、これは住所だ。少し離れた位置にはさらに三桁の数字が並んでいる。鍵にはこれといった特徴はなく、本当にシンプルな形だった。これがゲームだとするなら、ヒントを頼りにして向かった先に合致する鍵穴があるという流れだろう。
ヒントというかすでにゴールが示されているも同然の紙を手にして、わたしはううむと唸る。住所を提示されてもなあ……。そもそもここはどこだって話なんだよ。
手元にパソコンがあればよかった。ケータイでもいい。ネットを使えば現在地も、目的地までのルートもあっという間にわかるのに。
文明の利器を使わずして、いかにこの場所にたどり着くかが問題だ。手っ取り早いのは交番でお巡りさんに聞くこと。その交番はどこにあるんだって話だから即却下。あとはそのへんにいる人に道を尋ねるくらい。まあ正攻法だ。
なんにせよ、まずはこの公園の外の世界を知るのが先決である。今、公園には誰もいない。道を尋ねるにしても誰に尋ねるかを慎重に見極める必要があった。公園を出て、その先で出会う人の中から見繕うことにしよう。
わたしはよしっと気合いを入れると、ずっと居座り続けた公園から出る決意を固めた。この鍵で開くはずのどこかの先に、もしかしたら夢の終わりがあるかもしれない。どんなに濃い内容の夢だって案外あっさり終わるものだから。
沖矢さんからもらった赤いサンダルがわたしを外へと誘いざなう。うん、大丈夫。ちゃんと歩けてる。いいこだね、わたし。
これまで離れたところから眺めるだけだった街路樹が近づいてくる。車道は思ったよりも幅が狭くてセンターラインがなかった。周りに広がっているのはやっぱりというべきか見知らぬ土地で、そんな気はしてたから今さらどうということはない。
――さてと。進むべき方向は右か、左か。じゃあ左に行ってみよう。直感は大切です。
とにかくまずは真っ直ぐ進もう。そうすればこの公園にまた戻ってくることもできる。
急ぐ必要もないので、一歩一歩確実に歩みを進めることに集中する。派手に転んで人目を引くなんてことにならないためにも。主導権を握るには相手から関心を向けられるんじゃなくて、自分から声をかけて初めて存在を認められるくらいがちょうどいい。じゃないと相手のペースに乗せられてしまうことになる、と学習した。
本来の目的である“いい人”探しも忘れない。あくまでわたしにとって都合のいい人選をしなければ、今後の展開がどう転ぶかわかったもんじゃない。声をかけやすい雰囲気で、親切そうで、あまりお節介な人じゃなければいいなあ。