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「あ、夏油くん」
「また悟に頼まれたの?」
と、手提げ袋をチラッと見やるなり、まさかと言わんばかりの顔を向ける。
「う、うん。今度は硝子ちゃんと灰原くんにも頼まれて。この前の惣菜が好評だったらしく、また食べたいとご指名をいただいたもんだから」
「アイツら……。すまないね、こんな辺鄙なところまで」
「全然大丈夫。悟くんのわがままには慣れっこで、色々と鍛えられてますから」
「いや、慣れちゃダメなヤツだよ、それ」
「こちらからも言っておくから。あんまり無理しちゃいけないよ」と眉を下げる彼。
う、そんな風に気遣っていただけるのは夏油くん。貴方だけですよ……。知り合って間もないのに。悟くんに夏油くんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい気分。
「それにしても、大丈夫なのかな」
「何が?」
「ああ、いや。なんていうか、呪術師でも何でもない私がしょっちゅう高専に出入りしていて。色々とアウトじゃないかなって、最近思うようになって」
「そんなこと気にする必要ないさ。非術師が術師と関わってはいけないなんて、いつ言った?それに硝子や灰原も喜んでいるみたいだし」
私だってね。とフッと柔く笑う。
優しい笑顔。言動と性格がよく顔に現れる人だ。人間性の良さが顔に滲み出ているもの。胡散臭い笑みとかじゃなくて、心の底からそう思っている感じ。
何度も人生を送ってきたというか、達観しているというか。同い年なのに重ねてきた経験の数と濃さが違うのがひしひしと感じ取れる。
「あれ、どうかした?随分と難しそうな顔しているけれど」
「いや、夏油くんってしっかりしているなぁって。どんな幼少期を過ごされてきたんだろうって。さぞ高尚な英才教育を受けてきたんだろうなと」
「ははっ、何それ。全然そんなのじゃないさ。生まれも育ちも一般家庭だよ。ごく普通のね」
一般家庭から呪術師になれるんだ。初耳。
私の知っている呪術師が悟くんっていうのもあるけど、てっきり、呪術師の家系の出じゃないとなれないものかと思っていた。
それはともかく、夏油くんが私と同じ一般家庭の人間で、呪術師であることに深く感心してしまう。なんだか、へぇ、だとか、すごいやとしか言葉が出てこない。もっと語彙を磨かなきゃ。
「櫛田さんこそ、この前のお弁当とても美味しかったよ。娘さんである君があんなにも美味しい料理が作れるってことは、お母様もさぞ料理が得意なんだろうね」
「あー、ええっと……、お母さんっていうよりかは、おばあちゃんかな。私、小さい頃に、両親が亡くなっていてさ。それ以降、父方の祖父母が面倒を見てくれているの」
「ああ、そうだったんだね。それは悪いことを聞いてしまったみたいだ。気を悪くしてしまってすまない」
「ううん。全然!気にしないで!今はおじいちゃんおばあちゃんの三人で楽しく暮らしてるしさ!」
大袈裟に両手をこれでもっかってくらいに振る。
「二人ともすっごく面倒みてくれてさ。色々心配かけたり、迷惑かけたり。だから、私、早く大人になりたいなって。少しでも早く自立して、お金を稼いで、二人に楽をさせてあげたい。ほんの些細なことしかできないかもしれないけど、恩返しをするって」
……って、何語ってるんだろ。途端、耳が熱くなっていく。
いきなり、将来について語り始められた夏油くんの身になってみてよ。めちゃくちゃ反応に困るし、できたとしても苦笑いの他反応のしようがないじゃん。
「なんかごめんね。いきなり語り始めたりなんかして。本当恥ずかしい」
「そうかな。すごく立派なことだと思うよ。おじいさんとおばあさんに恩返し。とても素敵なことじゃないか」
「いや……そんな滅相もない」
「自分がやりたいことしたいことを心の中で思うことは簡単さ。だけど、口にできるってことは、それだけ強い気持ちを抱いているってことだろう?それが無意識のうちに口から出たというのであれば、なおさらだ」
そんな大袈裟だよ〜とヘラヘラと笑いを誘うが夏油くんは至って真面目といった様子でじいっと真剣な目を向けてくる。
二つの漆黒が肯定していく。重箱の隅を突くかの如く、隅から隅まで。
「そんな褒めすぎだって、夏油くん」
「お世辞なんかじゃないよ。本当のことさ」
あまり褒められ慣れていないせいもあってか、ちょっと恥ずかしい。
だけど、夏油くんにそう言ってもらえて、素直に嬉しかった。褒められることがこんなにも嬉しいだなんて。滅多にない場面に舞い上がって、天まで昇ってしまいそうな気分だった。
「……今の日本には夏油くんみたいな人が必要だと思う。一家に一夏油くん制度を推奨」
「櫛田さん、悟に振り回され続けてついに限界来ちゃった?」
「また悟に頼まれたの?」
と、手提げ袋をチラッと見やるなり、まさかと言わんばかりの顔を向ける。
「う、うん。今度は硝子ちゃんと灰原くんにも頼まれて。この前の惣菜が好評だったらしく、また食べたいとご指名をいただいたもんだから」
「アイツら……。すまないね、こんな辺鄙なところまで」
「全然大丈夫。悟くんのわがままには慣れっこで、色々と鍛えられてますから」
「いや、慣れちゃダメなヤツだよ、それ」
「こちらからも言っておくから。あんまり無理しちゃいけないよ」と眉を下げる彼。
う、そんな風に気遣っていただけるのは夏油くん。貴方だけですよ……。知り合って間もないのに。悟くんに夏油くんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい気分。
「それにしても、大丈夫なのかな」
「何が?」
「ああ、いや。なんていうか、呪術師でも何でもない私がしょっちゅう高専に出入りしていて。色々とアウトじゃないかなって、最近思うようになって」
「そんなこと気にする必要ないさ。非術師が術師と関わってはいけないなんて、いつ言った?それに硝子や灰原も喜んでいるみたいだし」
私だってね。とフッと柔く笑う。
優しい笑顔。言動と性格がよく顔に現れる人だ。人間性の良さが顔に滲み出ているもの。胡散臭い笑みとかじゃなくて、心の底からそう思っている感じ。
何度も人生を送ってきたというか、達観しているというか。同い年なのに重ねてきた経験の数と濃さが違うのがひしひしと感じ取れる。
「あれ、どうかした?随分と難しそうな顔しているけれど」
「いや、夏油くんってしっかりしているなぁって。どんな幼少期を過ごされてきたんだろうって。さぞ高尚な英才教育を受けてきたんだろうなと」
「ははっ、何それ。全然そんなのじゃないさ。生まれも育ちも一般家庭だよ。ごく普通のね」
一般家庭から呪術師になれるんだ。初耳。
私の知っている呪術師が悟くんっていうのもあるけど、てっきり、呪術師の家系の出じゃないとなれないものかと思っていた。
それはともかく、夏油くんが私と同じ一般家庭の人間で、呪術師であることに深く感心してしまう。なんだか、へぇ、だとか、すごいやとしか言葉が出てこない。もっと語彙を磨かなきゃ。
「櫛田さんこそ、この前のお弁当とても美味しかったよ。娘さんである君があんなにも美味しい料理が作れるってことは、お母様もさぞ料理が得意なんだろうね」
「あー、ええっと……、お母さんっていうよりかは、おばあちゃんかな。私、小さい頃に、両親が亡くなっていてさ。それ以降、父方の祖父母が面倒を見てくれているの」
「ああ、そうだったんだね。それは悪いことを聞いてしまったみたいだ。気を悪くしてしまってすまない」
「ううん。全然!気にしないで!今はおじいちゃんおばあちゃんの三人で楽しく暮らしてるしさ!」
大袈裟に両手をこれでもっかってくらいに振る。
「二人ともすっごく面倒みてくれてさ。色々心配かけたり、迷惑かけたり。だから、私、早く大人になりたいなって。少しでも早く自立して、お金を稼いで、二人に楽をさせてあげたい。ほんの些細なことしかできないかもしれないけど、恩返しをするって」
……って、何語ってるんだろ。途端、耳が熱くなっていく。
いきなり、将来について語り始められた夏油くんの身になってみてよ。めちゃくちゃ反応に困るし、できたとしても苦笑いの他反応のしようがないじゃん。
「なんかごめんね。いきなり語り始めたりなんかして。本当恥ずかしい」
「そうかな。すごく立派なことだと思うよ。おじいさんとおばあさんに恩返し。とても素敵なことじゃないか」
「いや……そんな滅相もない」
「自分がやりたいことしたいことを心の中で思うことは簡単さ。だけど、口にできるってことは、それだけ強い気持ちを抱いているってことだろう?それが無意識のうちに口から出たというのであれば、なおさらだ」
そんな大袈裟だよ〜とヘラヘラと笑いを誘うが夏油くんは至って真面目といった様子でじいっと真剣な目を向けてくる。
二つの漆黒が肯定していく。重箱の隅を突くかの如く、隅から隅まで。
「そんな褒めすぎだって、夏油くん」
「お世辞なんかじゃないよ。本当のことさ」
あまり褒められ慣れていないせいもあってか、ちょっと恥ずかしい。
だけど、夏油くんにそう言ってもらえて、素直に嬉しかった。褒められることがこんなにも嬉しいだなんて。滅多にない場面に舞い上がって、天まで昇ってしまいそうな気分だった。
「……今の日本には夏油くんみたいな人が必要だと思う。一家に一夏油くん制度を推奨」
「櫛田さん、悟に振り回され続けてついに限界来ちゃった?」