Mean Hero
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「ひっでぇ顔」
頬杖を突いて、ぼうっとお昼を食べる夏油くんたちを眺めていると、頭上から聞き慣れた声が聞こえてきた。
見上げれば、二本の缶ジュースを片手で器用に持った悟くんがこちらを見下ろしていた。
「いくら言われ慣れているとはいえ、突然言われると流石に心にくるものが……ひっ?!」
突如、首筋に当たった冷たい感覚に肩を飛び付かせる。
「これお前にやるよ」
「私、コーラ苦手……」
「うん。だから選んだ」
サラリと答える彼。
なんて人だ。わかっていて苦手なのものを選ぶなんて。
人の嫌がることをすすんでやる。まあ、それが悟くんなんだろうけど。
「嫌なら俺が飲むけど。喉がバブちゃんなお前の代わりに」
「飲む!飲むって!」
馬鹿にされているみたいで、躍起になった私は勢いよくコーラ缶を奪い取ると、グビッと一気に飲み干した。
が、すぐに独特な風味が口いっぱいに広がる。
う、ダメだ。小学校の頃、近所の駄菓子屋で周りの子が飲んでいるからと興味本位で飲んだときからどうも苦手だ。私には合わないみたい。
舌を萎めていると、クツクツと悟くんのなんとも愉快そうな笑い声がしてくる。
ああ、もう聞こえない、聞こえない。怒ったところで私には勝ち目がないのだから。
はあ、とため息を漏らす。相変わらず肩を震わせ、笑ったままの悟くんだったが、突然、ドカっと隣に座ってくるなり、今度は私の顔をじいっと見つめてきた。
「お前、今日寝てねーだろ」
「えっ、なんで」
顔に出てる、と目の下を指差しながらそう言った。
「ああ、このテスト期間中、ずっと一夜漬けを連チャンで続けていたからかな……」
「はあ?ダメじゃん。物覚えが悪いからって、一気に詰め込もうとして寝ずにテストに挑むのはかえって逆効果って中学の頃も言ってたろ。ちゃんと寝ろ」
ダメ出しをされてしまった。
しかも結構強めに言われてしまい、返す言葉が出でこずにいると、その代わりと言わんばかりにお腹の虫だけは鳴った。ギュルルと間の抜けた音に悟くんの視線がいっそう鋭くなる。
「まさか」
「うっ、当たりです。朝昼食べてません」
「まだなんも言ってねえけどな」
「あ、」
しまった。まんまと嵌められてしまった。
悟くんは、「だと思った」と吐き捨てると、さっき渡したタッパーの中からもうとっくに食べたと思っていたおにぎりを取り出し、こちらに差し出してきた。
「ほら、全部やんよ」
「え、いいの?でも、これ」
「俺の気が変わらないうちにさっさと食った方が利口だと思うけど」
「あ、どうも……」
なんでだろう。元々は私が持ってきたおにぎりなのになんでこうも遠慮がちに受けとらなきゃならないんだろう。
てっきり心の中でそう呟いていたと思っていたが、知らぬうちに口に出ていたみたいで、「なんつった?」と鋭い視線を向けられる。
「い、いえ……ありがたく頂戴いたします」
頬つねりの刑がくる!そう確信した私は悟くんの御好意をありがたく受け取ることにした。
恐る恐る一口かじる。
味付け塩の素朴な風味がコーラで支配されていた口内を優しく塗り替えていく。
「……美味しい」
「隣で永遠に腹鳴らされちゃ、鬱陶しくて堪んねえから、やっただけだから」
勘違いするなよ、と悟くんは言った。
ぶっきらぼうで素っ気ない仕草をしているけど、嬉しくてたまらなかった。
小学生の頃にも似たようなことがあったっけ。
読みたい漫画がどこもかしこも連日売り切れで、もういいかなって諦めていたとき、「たまたま見つけた」とわざわざ家まで来て渡しに来てくれたことがあった。
プイッと素っ気なく、そっぽを向く仕草が当時の悟くんと重なる。
「……ふふふ」
「あ?何笑ってんだよ。笑ってないでさっさと食え。そして今日は早く寝ろ」
「ふふっ、そうだね」
変なやつ、と悟くんにキッと睨みつけられ、一口。また一口とどんどん頬張っていく。
何故だろう。食べ慣れているはずの味なのにやけに美味しく感じる。なんだか、とても優しい味がした。
頬杖を突いて、ぼうっとお昼を食べる夏油くんたちを眺めていると、頭上から聞き慣れた声が聞こえてきた。
見上げれば、二本の缶ジュースを片手で器用に持った悟くんがこちらを見下ろしていた。
「いくら言われ慣れているとはいえ、突然言われると流石に心にくるものが……ひっ?!」
突如、首筋に当たった冷たい感覚に肩を飛び付かせる。
「これお前にやるよ」
「私、コーラ苦手……」
「うん。だから選んだ」
サラリと答える彼。
なんて人だ。わかっていて苦手なのものを選ぶなんて。
人の嫌がることをすすんでやる。まあ、それが悟くんなんだろうけど。
「嫌なら俺が飲むけど。喉がバブちゃんなお前の代わりに」
「飲む!飲むって!」
馬鹿にされているみたいで、躍起になった私は勢いよくコーラ缶を奪い取ると、グビッと一気に飲み干した。
が、すぐに独特な風味が口いっぱいに広がる。
う、ダメだ。小学校の頃、近所の駄菓子屋で周りの子が飲んでいるからと興味本位で飲んだときからどうも苦手だ。私には合わないみたい。
舌を萎めていると、クツクツと悟くんのなんとも愉快そうな笑い声がしてくる。
ああ、もう聞こえない、聞こえない。怒ったところで私には勝ち目がないのだから。
はあ、とため息を漏らす。相変わらず肩を震わせ、笑ったままの悟くんだったが、突然、ドカっと隣に座ってくるなり、今度は私の顔をじいっと見つめてきた。
「お前、今日寝てねーだろ」
「えっ、なんで」
顔に出てる、と目の下を指差しながらそう言った。
「ああ、このテスト期間中、ずっと一夜漬けを連チャンで続けていたからかな……」
「はあ?ダメじゃん。物覚えが悪いからって、一気に詰め込もうとして寝ずにテストに挑むのはかえって逆効果って中学の頃も言ってたろ。ちゃんと寝ろ」
ダメ出しをされてしまった。
しかも結構強めに言われてしまい、返す言葉が出でこずにいると、その代わりと言わんばかりにお腹の虫だけは鳴った。ギュルルと間の抜けた音に悟くんの視線がいっそう鋭くなる。
「まさか」
「うっ、当たりです。朝昼食べてません」
「まだなんも言ってねえけどな」
「あ、」
しまった。まんまと嵌められてしまった。
悟くんは、「だと思った」と吐き捨てると、さっき渡したタッパーの中からもうとっくに食べたと思っていたおにぎりを取り出し、こちらに差し出してきた。
「ほら、全部やんよ」
「え、いいの?でも、これ」
「俺の気が変わらないうちにさっさと食った方が利口だと思うけど」
「あ、どうも……」
なんでだろう。元々は私が持ってきたおにぎりなのになんでこうも遠慮がちに受けとらなきゃならないんだろう。
てっきり心の中でそう呟いていたと思っていたが、知らぬうちに口に出ていたみたいで、「なんつった?」と鋭い視線を向けられる。
「い、いえ……ありがたく頂戴いたします」
頬つねりの刑がくる!そう確信した私は悟くんの御好意をありがたく受け取ることにした。
恐る恐る一口かじる。
味付け塩の素朴な風味がコーラで支配されていた口内を優しく塗り替えていく。
「……美味しい」
「隣で永遠に腹鳴らされちゃ、鬱陶しくて堪んねえから、やっただけだから」
勘違いするなよ、と悟くんは言った。
ぶっきらぼうで素っ気ない仕草をしているけど、嬉しくてたまらなかった。
小学生の頃にも似たようなことがあったっけ。
読みたい漫画がどこもかしこも連日売り切れで、もういいかなって諦めていたとき、「たまたま見つけた」とわざわざ家まで来て渡しに来てくれたことがあった。
プイッと素っ気なく、そっぽを向く仕草が当時の悟くんと重なる。
「……ふふふ」
「あ?何笑ってんだよ。笑ってないでさっさと食え。そして今日は早く寝ろ」
「ふふっ、そうだね」
変なやつ、と悟くんにキッと睨みつけられ、一口。また一口とどんどん頬張っていく。
何故だろう。食べ慣れているはずの味なのにやけに美味しく感じる。なんだか、とても優しい味がした。