第1章
夢小説設定
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小さい頃から、変なものを見えた。
それがおかしいことだと気がついたのは、何もかもが失われた後だった。
いや、きっと気がついていても、いなくても、全て失うことは変わらなかったのだと思う。それを変えようとするには私は幼すぎた。
「…はじめまして、青天理世、です。…よろしく、お願いします。」
転校は初めてではない。けど、やっぱりこの最初の挨拶は緊張する。顔が赤くなったり、いかにも緊張してます!みたいな態度が表に出ないだけマシかなとは思うけど、緊張するものはする。
挨拶を終えると、クラスの子たちが拍手をしてくれて、口々に「よろしく~」と笑顔で言ってくれる。優しい子が集まるクラスみたいだ。
「それじゃあ、質問とかはあとにして、とりあえずHR始めるから、青天、席つこうか。そこの、後ろの席な。西村~」
先生が呼んだ西村という生徒が「はーい!ここ!ここ!!」と元気に手を上げてくれている。西村くんの隣の席が空席になってるので、私の席はそこということなんだろう。
席まで行くと、「俺、西村悟!よろしくな~!」と元気に自己紹介してくれた。もれなくいい子そうです。よかった。
「西村くん、よろしくね。」
と挨拶しながらとりあえず席につく。先生のHRを聞き終え、みんな1時間目の準備をする。教科書等は事前に用意してもらっているので、私も周りに習って用意をする。
休み時間は西村くんがたくさん話しかけてくれた。前の席にいる子は夏目貴志くん、というらしい。
「俺も、最近転校してきたんだ。よろしくな。」と言って挨拶してくれた。
西村くんは元気系、夏目くんは儚い系…?と思ったけど、西村くんとお喋りする夏目くんは普通の男子高校生みたいだ。
4時間目の授業が終わり、お昼休憩の時間になった途端、クラスの女の子たちが「一緒にごはん、食べない?」と誘ってくれた。しかし、転校の手続きか何かで先生に呼ばれてしまっていたため、「ごめん、先生にちょっと呼ばれちゃってるんだ…ごめんね、誘ってくれてありがとう」と言って断った。別にお昼ごはんを食べ終えてからでも良いんだろうけど、正直人付き合いがあまり得意ではないため彼女たちに悪いと思いながらも断る理由に使ってしまった。
「すまんな、青天。ごはん食べ終わってからでもよかったのに。」
「あ、いえ、何か予定があると気になってしまって、先に済ませたくなってしまうんです。すみません、先生もご飯の時間でしたよね。」
「おお…俺のことは気にしなくていいから。用と言っても、この書類を書いてほしかっただけなんだ。別に急がないから出来次第提出してくれるか。」
「わかりました。」
「それで、どうだ。クラスの方は。馴染めそうか?」
「…はい。みんな、優しくて、たくさん話しかけてくれます。」
「それなら良かった。なんかあったらいつでも相談にのるからな。」
「ありがとうございます。…それでは、失礼します。」
教員室から出て、とりあえず飲み物でも買おうと自販機を探していると、黒くて小さい、手に乗るサイズくらいの、ふわふわしたものが近寄ってきた。それは何も言うことなく、私の周りを漂う。
私は、物心ついたころから、人ではないものが見えていた。それはきっと、妖などと呼ばれるものの類。
そしてこいつは、私が物心ついたころから私の周りにいた。喋らないから何故ついてくるのか、どこからきたのか、何もわからない。ただ、害はないし、意外と役に立つのでそのままにしている。
幼い頃は自分に見えているものが他の人には見えていない、ということが理解できなくて、かなり周りの大人からは遠巻きにされたし、子供からはいじめられもした。そして、両親が死んだ時も、結局死因は不明。というもので片付けられたとき、ああ、この世界では理解されないものなのだ、ということを理解した。
自販機を無事見つけて、パックの飲み物を買い、校内散策でもしようか、とフラフラしていたら、予鈴がなってしまったので教室に戻ることにした。
席に戻ると、西村くんが「青天、ずっと先生のとこ行ってたのか?ご飯食べた?」と声をかけてきた。昼になってすぐ出て行ったから気にかけてくれていたんだろうか。
「あー、校内散策してたの。」と、ご飯のことは触れずに言うと、「えー!さっき、笹田達と放課後校内案内しようかって話してたんだぜ?」と思ってもなかったプランを教えてくれた。
「そ、そうなの…?でも時間もなかったしそんな大したところ行けてないから、案内してもらえると嬉しいな」と言うと、「お!じゃあ放課後は校内散策ツアーな!!!!」と、人好きする笑顔で言ってくれた。
放課後が、少し楽しみだ。
それがおかしいことだと気がついたのは、何もかもが失われた後だった。
いや、きっと気がついていても、いなくても、全て失うことは変わらなかったのだと思う。それを変えようとするには私は幼すぎた。
「…はじめまして、青天理世、です。…よろしく、お願いします。」
転校は初めてではない。けど、やっぱりこの最初の挨拶は緊張する。顔が赤くなったり、いかにも緊張してます!みたいな態度が表に出ないだけマシかなとは思うけど、緊張するものはする。
挨拶を終えると、クラスの子たちが拍手をしてくれて、口々に「よろしく~」と笑顔で言ってくれる。優しい子が集まるクラスみたいだ。
「それじゃあ、質問とかはあとにして、とりあえずHR始めるから、青天、席つこうか。そこの、後ろの席な。西村~」
先生が呼んだ西村という生徒が「はーい!ここ!ここ!!」と元気に手を上げてくれている。西村くんの隣の席が空席になってるので、私の席はそこということなんだろう。
席まで行くと、「俺、西村悟!よろしくな~!」と元気に自己紹介してくれた。もれなくいい子そうです。よかった。
「西村くん、よろしくね。」
と挨拶しながらとりあえず席につく。先生のHRを聞き終え、みんな1時間目の準備をする。教科書等は事前に用意してもらっているので、私も周りに習って用意をする。
休み時間は西村くんがたくさん話しかけてくれた。前の席にいる子は夏目貴志くん、というらしい。
「俺も、最近転校してきたんだ。よろしくな。」と言って挨拶してくれた。
西村くんは元気系、夏目くんは儚い系…?と思ったけど、西村くんとお喋りする夏目くんは普通の男子高校生みたいだ。
4時間目の授業が終わり、お昼休憩の時間になった途端、クラスの女の子たちが「一緒にごはん、食べない?」と誘ってくれた。しかし、転校の手続きか何かで先生に呼ばれてしまっていたため、「ごめん、先生にちょっと呼ばれちゃってるんだ…ごめんね、誘ってくれてありがとう」と言って断った。別にお昼ごはんを食べ終えてからでも良いんだろうけど、正直人付き合いがあまり得意ではないため彼女たちに悪いと思いながらも断る理由に使ってしまった。
「すまんな、青天。ごはん食べ終わってからでもよかったのに。」
「あ、いえ、何か予定があると気になってしまって、先に済ませたくなってしまうんです。すみません、先生もご飯の時間でしたよね。」
「おお…俺のことは気にしなくていいから。用と言っても、この書類を書いてほしかっただけなんだ。別に急がないから出来次第提出してくれるか。」
「わかりました。」
「それで、どうだ。クラスの方は。馴染めそうか?」
「…はい。みんな、優しくて、たくさん話しかけてくれます。」
「それなら良かった。なんかあったらいつでも相談にのるからな。」
「ありがとうございます。…それでは、失礼します。」
教員室から出て、とりあえず飲み物でも買おうと自販機を探していると、黒くて小さい、手に乗るサイズくらいの、ふわふわしたものが近寄ってきた。それは何も言うことなく、私の周りを漂う。
私は、物心ついたころから、人ではないものが見えていた。それはきっと、妖などと呼ばれるものの類。
そしてこいつは、私が物心ついたころから私の周りにいた。喋らないから何故ついてくるのか、どこからきたのか、何もわからない。ただ、害はないし、意外と役に立つのでそのままにしている。
幼い頃は自分に見えているものが他の人には見えていない、ということが理解できなくて、かなり周りの大人からは遠巻きにされたし、子供からはいじめられもした。そして、両親が死んだ時も、結局死因は不明。というもので片付けられたとき、ああ、この世界では理解されないものなのだ、ということを理解した。
自販機を無事見つけて、パックの飲み物を買い、校内散策でもしようか、とフラフラしていたら、予鈴がなってしまったので教室に戻ることにした。
席に戻ると、西村くんが「青天、ずっと先生のとこ行ってたのか?ご飯食べた?」と声をかけてきた。昼になってすぐ出て行ったから気にかけてくれていたんだろうか。
「あー、校内散策してたの。」と、ご飯のことは触れずに言うと、「えー!さっき、笹田達と放課後校内案内しようかって話してたんだぜ?」と思ってもなかったプランを教えてくれた。
「そ、そうなの…?でも時間もなかったしそんな大したところ行けてないから、案内してもらえると嬉しいな」と言うと、「お!じゃあ放課後は校内散策ツアーな!!!!」と、人好きする笑顔で言ってくれた。
放課後が、少し楽しみだ。
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