君には満開の花が似合う
「というわけで、助っ人」
「よろしくね、ペパーくん」
答えは簡単だ。戦力になりそうな人を連れてくれば良い。というわけでカフェに移動したペパーとボタンは、ボタンから連絡を受けて駆けつけたビワと合流した。
「でもわたし助っ人になれるかな?」
「大丈夫。うちの周りで一番乙女心がわかってる人と言えばビワ姉だから」
「えへへ、照れるな」
「……」
一方でペパーは胡乱な瞳でビワを見ている。……まぁそれも当然と言えば当然なのだが。ビワの特徴と言えば悪役プロレスラーのようなマスクに大柄な体躯だ。そんな人物に乙女心について尋ねるなど、いくらボタンの知り合いと言えどにわかには信じられなかった。
「それで、相談って?」
「ペパーがアオイへのプレゼントで迷ってるみたいで」
「わぁ、素敵だね!ぜひとも協力させて!」
「ビワもアオイのこと知ってるんだな」
「もちろんだよ。アオイちゃんは有名人だしね。それに、わたしたちを助けてくれた」
それだけ言うとビワは目を伏せた。
「わたしはそんなにアオイちゃんと話したことあるわけじゃないけど、それでも素敵な女の子だってことはわかるよ。チャンピオンチャンピオンって持て囃されてるけど、あの子だって一人の女の子でしょ?だから、ペパーくんみたいにちゃんとアオイちゃんに向き合って想ってくれてる人がいてわたしは嬉しいよ」
「ビワ姉……」
「ビワ……」
マスクのせいでわかりづらいが、ビワの瞳は優しく細められていた。彼女の思いとその瞳を見て、ペパーは考えの浅い自分を恥じた。見た目だけで人を判断するなど、ビワの言ったチャンピオンだからという理由だけでアオイを判断している奴らと一緒ではないか。そんな奴らへの嫌悪感を抱きつつあったというのに。
「ビワ、悪かった」
「え?どうしたの?」
「気にしないでビワ姉。で、本題いつ入るん?」
「そうだったな。で、ビワは何を贈ったらアオイが喜んでくれると思う?」
「んー、そうだなぁ……」
ビワは考える素振りを見せた。
「アオイちゃんって何が好きなの?」
「「アオイの好きな物……」」
声が重なった後、ペパーとボタンは顔を見合わせた。二人ともそう言われてパッと思いつく物がなかったからだ。
──あれ、自分達はアオイのことをよくわかっていないのでは……?
「ふ、二人とも!?どうして落ち込むの!?」
二人そろってテーブルに顔を伏せ始めたのを見て、ビワは慌てた。
よくよく考えたら、二人ともアオイのことをよく知らないままでヌシポケモン探しに出たりスターダスト作戦を敢行していたのだ。この子なら大丈夫、という謎の確信が当たっていたから良かったものの、アオイが素直に引き受けてくれるような性格でなかったらどうなっていたことか。今になってアオイのことをよく知りもせずパルデア中を連れ回したことを後悔し始めた。
「アオイって本当に良い子ちゃんだったんだな……」
「ね……」
「えーと、二人とも思いつかないってこと?」
「「うっ」」
「あ、ごめんね!とどめを刺したかったわけじゃないの!」
ビワは慌てつつ、こほんと咳払いした。
「よーく思い出してみて。アオイちゃんって何をしてる時笑ってた?」
「アオイが……」
「笑ってた時……?」
ペパーとボタンはアオイの言動を思い起こし始めた。記憶の中のアオイはいつも笑顔で楽しそうだ。そんな彼女がいっそう笑っていた時と言えば。
「……ピクニックしてる時とか……?」
ペパーの呟きに、ビワはふんふんと頷いた。
「サンドイッチ食べてる時とか、手持ちのポケモンと戯れてる時とかたしかに楽しそうだよね」
「だよな?あいつオレのサンドイッチ好きだからな」
「マウントやめろし」
「じゃあこういうのはどうかな?」
ビワは自身のアイディアを話し始めた。
「よろしくね、ペパーくん」
答えは簡単だ。戦力になりそうな人を連れてくれば良い。というわけでカフェに移動したペパーとボタンは、ボタンから連絡を受けて駆けつけたビワと合流した。
「でもわたし助っ人になれるかな?」
「大丈夫。うちの周りで一番乙女心がわかってる人と言えばビワ姉だから」
「えへへ、照れるな」
「……」
一方でペパーは胡乱な瞳でビワを見ている。……まぁそれも当然と言えば当然なのだが。ビワの特徴と言えば悪役プロレスラーのようなマスクに大柄な体躯だ。そんな人物に乙女心について尋ねるなど、いくらボタンの知り合いと言えどにわかには信じられなかった。
「それで、相談って?」
「ペパーがアオイへのプレゼントで迷ってるみたいで」
「わぁ、素敵だね!ぜひとも協力させて!」
「ビワもアオイのこと知ってるんだな」
「もちろんだよ。アオイちゃんは有名人だしね。それに、わたしたちを助けてくれた」
それだけ言うとビワは目を伏せた。
「わたしはそんなにアオイちゃんと話したことあるわけじゃないけど、それでも素敵な女の子だってことはわかるよ。チャンピオンチャンピオンって持て囃されてるけど、あの子だって一人の女の子でしょ?だから、ペパーくんみたいにちゃんとアオイちゃんに向き合って想ってくれてる人がいてわたしは嬉しいよ」
「ビワ姉……」
「ビワ……」
マスクのせいでわかりづらいが、ビワの瞳は優しく細められていた。彼女の思いとその瞳を見て、ペパーは考えの浅い自分を恥じた。見た目だけで人を判断するなど、ビワの言ったチャンピオンだからという理由だけでアオイを判断している奴らと一緒ではないか。そんな奴らへの嫌悪感を抱きつつあったというのに。
「ビワ、悪かった」
「え?どうしたの?」
「気にしないでビワ姉。で、本題いつ入るん?」
「そうだったな。で、ビワは何を贈ったらアオイが喜んでくれると思う?」
「んー、そうだなぁ……」
ビワは考える素振りを見せた。
「アオイちゃんって何が好きなの?」
「「アオイの好きな物……」」
声が重なった後、ペパーとボタンは顔を見合わせた。二人ともそう言われてパッと思いつく物がなかったからだ。
──あれ、自分達はアオイのことをよくわかっていないのでは……?
「ふ、二人とも!?どうして落ち込むの!?」
二人そろってテーブルに顔を伏せ始めたのを見て、ビワは慌てた。
よくよく考えたら、二人ともアオイのことをよく知らないままでヌシポケモン探しに出たりスターダスト作戦を敢行していたのだ。この子なら大丈夫、という謎の確信が当たっていたから良かったものの、アオイが素直に引き受けてくれるような性格でなかったらどうなっていたことか。今になってアオイのことをよく知りもせずパルデア中を連れ回したことを後悔し始めた。
「アオイって本当に良い子ちゃんだったんだな……」
「ね……」
「えーと、二人とも思いつかないってこと?」
「「うっ」」
「あ、ごめんね!とどめを刺したかったわけじゃないの!」
ビワは慌てつつ、こほんと咳払いした。
「よーく思い出してみて。アオイちゃんって何をしてる時笑ってた?」
「アオイが……」
「笑ってた時……?」
ペパーとボタンはアオイの言動を思い起こし始めた。記憶の中のアオイはいつも笑顔で楽しそうだ。そんな彼女がいっそう笑っていた時と言えば。
「……ピクニックしてる時とか……?」
ペパーの呟きに、ビワはふんふんと頷いた。
「サンドイッチ食べてる時とか、手持ちのポケモンと戯れてる時とかたしかに楽しそうだよね」
「だよな?あいつオレのサンドイッチ好きだからな」
「マウントやめろし」
「じゃあこういうのはどうかな?」
ビワは自身のアイディアを話し始めた。