問題児クラス短編夢小説
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
僕はいつものように屋上にいた。
今は夕暮れ。もうすぐ5時になる。
…ふと気配を感じ、振り向くと、そこにはたまに見かける女子がいた。
油断していた。
僕としては勝手に顔見知りの関係だと思っている。
まあ、彼女はいつも僕には気付いていないけど。
ここへ来ては深い溜息をつき、ぼーっと何かを考えている様子だった。
今日もそんな予定だったのだろうが、僕がいることに気づき、少し驚いた様子だった。
「こんにちは、…すみません、先客がいるなんて思わなくて…。良かったら私もご一緒してもいいですか?」
僕は軽く頷く。
いつもの落ち込んだ様子からどんな子か分からなかったけど…、こんなに物腰の低い丁寧な子だったのか。
それにしても気になる。
彼女は何を悩み、ここでいつも何をしているのか。僕も悩みはある。彼女とは楽しいおしゃべりができるかもしれない。
「あの…」
突然声をかけると彼女はこちらを向き、不思議そうに僕を見つめた。
「…いつも思い詰めた顔してましたよね。良かったら僕に話してみてください」
そう伝えたあとで考える。
僕は彼女をよく見かけていたが、彼女にとって僕は初対面。
初対面の男からこんなこと急に言われてストーカーみたいって思われたんじゃ…うわ、どうしよう。
もう言っちゃった手前修正できないじゃん
「…聞いてくれるんですか?」
驚いたような表情で彼女は僕を見つめている。
僕はまた軽く頷いた。
…引かれなくて良かった
「すみません、女性を立たせたままで。
良かったらここ、座ってください」
彼女の座る席を用意する。
彼女は嬉しそうに僕に深く頭を下げた。
「…ありがとうございます。紳士的なんですね」
微笑む彼女に少しドキッとする。
彼女の笑顔を見たのは初めてだったから。
いつも僕が見ていたのは彼女の落ち込んでいる表情。悲しそうな顔。
彼女の笑顔はとても美しかった。
「…それで、悩みって…、あ、あともう敬語じゃなくていいですよ。同級生だよね」
「…はい。あ、うん…。私ね、家系能力がうまく使えないんだ…。なかなか上達しなくて…」
その後も彼女は僕に胸の内を話してくれた。
僕は相槌を打ちながら彼女の話を聞く。
こういう時は、変にアドバイスはせず、口を挟まず、とにかく話を聞くだけでいい。女性は話を聞いて欲しい生き物だとどこかの書物で学んだ。
時折彼女は静かに涙を流していた。
僕は自分のハンカチを彼女に素早く手渡す。
肩を震わせ泣いていた時は彼女の背中をさすろうかどうかすごく迷った。
…だけど、まだ触れるのはやめておいた。
初対面で女性に触れるのはマナー違反だと思っていた。
彼女は悩みを話し終わると、スッキリした表情でまた僕にその美しい笑顔を向けた。
「…聞いてくれてありがとう。えっと、ごめん、お名前聞いてなかったね…私は名無し」
「…プルソン」
「プルソンくん、ハンカチ洗って返すね。だからまた明日、放課後ここで会ってくれる…?」
僕はまた小さく頷いた。
元気よく手を僕に振りながら帰って行く彼女に、僕も小さく手を振り返した。
彼女は羽を広げてそのまま飛び立っていく。
僕は彼女が見えなくなるまで、その姿を見送った。
彼女も時々振り向いては、僕に向かってぶんぶんと手を振っていた。
その姿がすごく可愛いと思った。
彼女が見えなくなってから僕も帰路につく。
今日一日、彼女のことで頭がいっぱいだった。
…
翌日、僕は授業中も彼女のことを考えていた。
今日も本当に来てくれるだろうか。
僕は会いたい。
彼女に会って、あの笑顔を見るだけで僕も癒されていた。
放課後、僕はまた屋上へ急ぐ。
今日はトランペットの準備すら忘れていた。
それほど彼女のことで頭がいっぱいだった。
「プルソン君!」
バサバサと羽音が聞こえ、僕は振り向く。
待ちに待った彼女が後ろに居た。
「昨日はハンカチありがとう」
彼女にハンカチを両手で手渡され、少し手が触れる。僕はそれだけでドキッとした。
「昨日はたくさんお話聞いてもらったから…、今日はプルソン君とおしゃべりがしたいな」
僕もおしゃべりがしたかった。
彼女と過ごす時間を長く作りたかったから。
まず、昨日のお礼を言われ、どこのクラスか話し、僕の家系能力のことも話す。
彼女は僕の能力のことを絶賛し、すごく褒めてくれた。
その後も他愛のない会話を重ね、楽しいひとときが過ぎて行った。
「ところで…プルソン君は彼女いるの?」
「え」
突然、この質問…。これは興味がある異性にする質問のど定番。
ということは彼女は僕に興味があるってこと?
もしかして脈アリ?いや、両思い?
うわ、どうしよう。変に緊張してきた
「…プルソン君?」
…まずい、ちょっと考えすぎたか。彼女に不審がられたかも。
「いないよ。名無しちゃんは?」
初めて彼女の名前を呼ぶ。少し照れくさかった。
「私もいないよ。でも…、好きな子はできたかもしれない…」
顔を赤くしながら俯く彼女。
いや、もうこれ確定じゃん。
このタイミング、この今の状況。今の言い方。
…僕だよね、絶対。
変に自信があった。でも万が一違ったら…?
そうなると恥ずかしすぎて彼女の前では姿を現せなくなるかもしれない。
いや、大丈夫。絶対。
「…僕は、名無しちゃんが好き」
…勢いで言ってしまった。
彼女がパッと顔を上げ、僕を見つめた。
「名無しちゃんみたいな彼女がいたら、それだけで僕は幸せ。
恥ずかしいけど、ほとんど一目惚れだったし…。それで話してみたら優しいし、たまに見せる笑顔がめっちゃ可愛いし…、いや何もしなくても普通でも可愛いけど。
絶対大切にするし、いつだってお話も聞く。夜中でも、寂しくなったらすぐ電話してくれてもいいし。悲しませるようなことは絶対にしない。あと…」
彼女の前でこんな長文を話したのは初めてだった。
急に口数が多くなった僕に驚いたのか、彼女は静かに僕の話を聞いてくれていた。
そしてだんだんと耳まで赤くなっていくのが見えた所で口を塞がれた。
「むぐっ」
「…プルソン君…!私そんなに言われることなんて初めてだから…!!は、恥ずかしくてもう聞いてられない…!」
苦しくなる僕を見て、彼女は謝りながら手を離した。
「…これが僕の気持ち。名無しちゃんの彼氏になりたい」
初めて言った、女子への告白。
緊張しながら彼女の返答を待つ。
「…うん、私も…、好きだったから」
二人して顔を赤くする。
しばし沈黙。
…この間、すごく気まずい
告白が成功した。けど、この後どうすれば??
なんて会話をすればいいのか全然分からない
とりあえずもう付き合ってる者同士だから…
とりあえず彼女の肩を抱き寄せてみた。
「…あっ」
恥ずかしそうに彼女は俯く。
やばい、早すぎたかも。引かれたかもしれない。
でもやってしまった手前もう後に引けない。
どうしよう、今名無しちゃん、あっ、って言ったし、やっぱ嫌だったんじゃ
そう僕が固まっていると、彼女は僕に寄りかかるように身を任せてくれた
彼女の頭はちょうど僕の胸元に収まっている。
心臓の音が聞かれているんじゃないかと恥ずかしくなった。
「…プルソン君、景色が綺麗だね」
彼女が言葉を発し、気まずさを打破してくれる。
「うん、いつも一人で見てたから…君と見られるなんて、幸せ」
また彼女は僕の方に頭を傾けてくれる。
それに応えるように僕も彼女の身体をまた優しく抱き寄せた。
僕と彼女だけの二人だけの時間。
誰にも邪魔されない二人だけの空間。
彼女の温もりを感じながらこの景色を共有し、幸せな時を過ごすことにした。
終
今は夕暮れ。もうすぐ5時になる。
…ふと気配を感じ、振り向くと、そこにはたまに見かける女子がいた。
油断していた。
僕としては勝手に顔見知りの関係だと思っている。
まあ、彼女はいつも僕には気付いていないけど。
ここへ来ては深い溜息をつき、ぼーっと何かを考えている様子だった。
今日もそんな予定だったのだろうが、僕がいることに気づき、少し驚いた様子だった。
「こんにちは、…すみません、先客がいるなんて思わなくて…。良かったら私もご一緒してもいいですか?」
僕は軽く頷く。
いつもの落ち込んだ様子からどんな子か分からなかったけど…、こんなに物腰の低い丁寧な子だったのか。
それにしても気になる。
彼女は何を悩み、ここでいつも何をしているのか。僕も悩みはある。彼女とは楽しいおしゃべりができるかもしれない。
「あの…」
突然声をかけると彼女はこちらを向き、不思議そうに僕を見つめた。
「…いつも思い詰めた顔してましたよね。良かったら僕に話してみてください」
そう伝えたあとで考える。
僕は彼女をよく見かけていたが、彼女にとって僕は初対面。
初対面の男からこんなこと急に言われてストーカーみたいって思われたんじゃ…うわ、どうしよう。
もう言っちゃった手前修正できないじゃん
「…聞いてくれるんですか?」
驚いたような表情で彼女は僕を見つめている。
僕はまた軽く頷いた。
…引かれなくて良かった
「すみません、女性を立たせたままで。
良かったらここ、座ってください」
彼女の座る席を用意する。
彼女は嬉しそうに僕に深く頭を下げた。
「…ありがとうございます。紳士的なんですね」
微笑む彼女に少しドキッとする。
彼女の笑顔を見たのは初めてだったから。
いつも僕が見ていたのは彼女の落ち込んでいる表情。悲しそうな顔。
彼女の笑顔はとても美しかった。
「…それで、悩みって…、あ、あともう敬語じゃなくていいですよ。同級生だよね」
「…はい。あ、うん…。私ね、家系能力がうまく使えないんだ…。なかなか上達しなくて…」
その後も彼女は僕に胸の内を話してくれた。
僕は相槌を打ちながら彼女の話を聞く。
こういう時は、変にアドバイスはせず、口を挟まず、とにかく話を聞くだけでいい。女性は話を聞いて欲しい生き物だとどこかの書物で学んだ。
時折彼女は静かに涙を流していた。
僕は自分のハンカチを彼女に素早く手渡す。
肩を震わせ泣いていた時は彼女の背中をさすろうかどうかすごく迷った。
…だけど、まだ触れるのはやめておいた。
初対面で女性に触れるのはマナー違反だと思っていた。
彼女は悩みを話し終わると、スッキリした表情でまた僕にその美しい笑顔を向けた。
「…聞いてくれてありがとう。えっと、ごめん、お名前聞いてなかったね…私は名無し」
「…プルソン」
「プルソンくん、ハンカチ洗って返すね。だからまた明日、放課後ここで会ってくれる…?」
僕はまた小さく頷いた。
元気よく手を僕に振りながら帰って行く彼女に、僕も小さく手を振り返した。
彼女は羽を広げてそのまま飛び立っていく。
僕は彼女が見えなくなるまで、その姿を見送った。
彼女も時々振り向いては、僕に向かってぶんぶんと手を振っていた。
その姿がすごく可愛いと思った。
彼女が見えなくなってから僕も帰路につく。
今日一日、彼女のことで頭がいっぱいだった。
…
翌日、僕は授業中も彼女のことを考えていた。
今日も本当に来てくれるだろうか。
僕は会いたい。
彼女に会って、あの笑顔を見るだけで僕も癒されていた。
放課後、僕はまた屋上へ急ぐ。
今日はトランペットの準備すら忘れていた。
それほど彼女のことで頭がいっぱいだった。
「プルソン君!」
バサバサと羽音が聞こえ、僕は振り向く。
待ちに待った彼女が後ろに居た。
「昨日はハンカチありがとう」
彼女にハンカチを両手で手渡され、少し手が触れる。僕はそれだけでドキッとした。
「昨日はたくさんお話聞いてもらったから…、今日はプルソン君とおしゃべりがしたいな」
僕もおしゃべりがしたかった。
彼女と過ごす時間を長く作りたかったから。
まず、昨日のお礼を言われ、どこのクラスか話し、僕の家系能力のことも話す。
彼女は僕の能力のことを絶賛し、すごく褒めてくれた。
その後も他愛のない会話を重ね、楽しいひとときが過ぎて行った。
「ところで…プルソン君は彼女いるの?」
「え」
突然、この質問…。これは興味がある異性にする質問のど定番。
ということは彼女は僕に興味があるってこと?
もしかして脈アリ?いや、両思い?
うわ、どうしよう。変に緊張してきた
「…プルソン君?」
…まずい、ちょっと考えすぎたか。彼女に不審がられたかも。
「いないよ。名無しちゃんは?」
初めて彼女の名前を呼ぶ。少し照れくさかった。
「私もいないよ。でも…、好きな子はできたかもしれない…」
顔を赤くしながら俯く彼女。
いや、もうこれ確定じゃん。
このタイミング、この今の状況。今の言い方。
…僕だよね、絶対。
変に自信があった。でも万が一違ったら…?
そうなると恥ずかしすぎて彼女の前では姿を現せなくなるかもしれない。
いや、大丈夫。絶対。
「…僕は、名無しちゃんが好き」
…勢いで言ってしまった。
彼女がパッと顔を上げ、僕を見つめた。
「名無しちゃんみたいな彼女がいたら、それだけで僕は幸せ。
恥ずかしいけど、ほとんど一目惚れだったし…。それで話してみたら優しいし、たまに見せる笑顔がめっちゃ可愛いし…、いや何もしなくても普通でも可愛いけど。
絶対大切にするし、いつだってお話も聞く。夜中でも、寂しくなったらすぐ電話してくれてもいいし。悲しませるようなことは絶対にしない。あと…」
彼女の前でこんな長文を話したのは初めてだった。
急に口数が多くなった僕に驚いたのか、彼女は静かに僕の話を聞いてくれていた。
そしてだんだんと耳まで赤くなっていくのが見えた所で口を塞がれた。
「むぐっ」
「…プルソン君…!私そんなに言われることなんて初めてだから…!!は、恥ずかしくてもう聞いてられない…!」
苦しくなる僕を見て、彼女は謝りながら手を離した。
「…これが僕の気持ち。名無しちゃんの彼氏になりたい」
初めて言った、女子への告白。
緊張しながら彼女の返答を待つ。
「…うん、私も…、好きだったから」
二人して顔を赤くする。
しばし沈黙。
…この間、すごく気まずい
告白が成功した。けど、この後どうすれば??
なんて会話をすればいいのか全然分からない
とりあえずもう付き合ってる者同士だから…
とりあえず彼女の肩を抱き寄せてみた。
「…あっ」
恥ずかしそうに彼女は俯く。
やばい、早すぎたかも。引かれたかもしれない。
でもやってしまった手前もう後に引けない。
どうしよう、今名無しちゃん、あっ、って言ったし、やっぱ嫌だったんじゃ
そう僕が固まっていると、彼女は僕に寄りかかるように身を任せてくれた
彼女の頭はちょうど僕の胸元に収まっている。
心臓の音が聞かれているんじゃないかと恥ずかしくなった。
「…プルソン君、景色が綺麗だね」
彼女が言葉を発し、気まずさを打破してくれる。
「うん、いつも一人で見てたから…君と見られるなんて、幸せ」
また彼女は僕の方に頭を傾けてくれる。
それに応えるように僕も彼女の身体をまた優しく抱き寄せた。
僕と彼女だけの二人だけの時間。
誰にも邪魔されない二人だけの空間。
彼女の温もりを感じながらこの景色を共有し、幸せな時を過ごすことにした。
終