はじめまして
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
練習試合があるが見に来いと言われ、体育館へ来てみると、思ってた以上に観客が入っていて驚いた。
前の方で見たいと思い、最前列で空いてる席を探して座った。
(ここなら、寿くんも見つけられるでしょ。)
寿くんがバスケをするのを見るのは、初めて出会ったとき以来で、とても楽しみだ。
きっと今日も、キレイなシュートを見せてくれるに違いない。
「あ、あの、ここ空いてますか?」
声をかけられて視線を向けると、眉をハの字にした女子学生がいた。
「空いてますよ、どうぞ。」
私がそう言うと、女の子はぱっと表情を和らげ「ありがとうございます。」と腰掛けた。
可愛らしいなぁ、1年生かな。私にもこんな初々しい頃が合ったはずだけど。
「すみません、座ってもいいですか?」
しばらくすると、また別の女子学生の声が聞こえた。
どうやら、私の隣に座る可愛い子ちゃんに尋ねたようだ。
可愛い子ちゃんがどうぞと言うと、失礼しますと丁寧に挨拶をして座った。あら、あの子もなかなかの美人さん。少し肩が弾んでいる様子を見ると、急いで来たみたいだ。
しばらくすると、館内にワァっと声が上がった。
選手たちがコートに入っていた。
寿くんの姿を探す。
(あ、いた)
寿くんは少し背の低いツーブロックの選手と談笑しながら入ってきた。その後ろには流川くんの姿もあった。
一瞬、声をかけようかと思ったけど、ここは彼氏に頑張って見付けてもらおう。
館内をぐるりと見渡す寿くん。
私と目が合った。
ニヤリと笑って手を振ってくれた。
ほんと、格好良くて困る。
私も手を振り返すと、寿くんが不思議そうな顔をした。そして、何やらツーブロックの選手や流川くんに声をかけ、こちらを指差している。
「てか、何で一緒なんだよ!」
「いや、こっちの台詞ですよ!」
「・・・先輩たちあっち見るな」
「「はぁあ?!」」
聞こえてきた声に、なるほどと納得した。
「あの、2人ともちょっといいかな?」
私は隣に座る2人に声をかけた。
こちらを見る2人の顔を見れば、恐らく同じことを考えている。
「もしかして、あそこにいるの彼氏?」
「「・・・はい」」
話を聞けば、私のすぐ隣の子は流川くんの、その隣の子はツーブロック、宮城くんの彼女だそう。まさかこんな偶然があるとは。
コート上ではまだ3人でやいやいと騒いでいる。
さっさと準備したら良いのに・・・
試合前に一悶着あったけど、始まってしまえば3人は素晴らしい連携で得点を重ねていく。
寿くんは今日も、キレイなシュートをいくつも決めていく。
ボールは美しい弧を描き、ゴールへと吸い込まれていく。
うん、やっぱりキレイ。美しい。
バスケにこういう美的感覚を持つのは少し変かもしれないけど、私はそう思うのだから、しょうがない。
試合は、こちらの大学が勝利した。
「勝ってよかったね。」
「そ、そうですね!」
「初めて見に来たけど、楽しかったです。」
私はお隣2人と体育館前で彼氏たちを待つことにした。
たまたま近くに座った人がの彼氏が、同じバスケ部で先輩後輩とか面白いねと話していると、お互いの彼氏の話で盛り上がってしまった。
「あ、来た来た。」
ガヤガヤと声がして振り返ると、私達の彼氏様たちが現れた。お疲れさまーと言うと、ズンズンと寿くんが近付いてきた。
「お前ら知り合いだったのか?!」
「まさか、初めましてだよ。」
そう言うと、寿くんは「お前のコミュ力意味不だな」とため息をついた。別に仲良くなってもいいでしょ。
「てか、三井さんいつから付き合ってるんすか。」
「それはお前もだろ宮城。それより、おい流川。」
「・・・・」
「「いつの間に彼女作ってんだよ!」」
流川くんは彼女の正面に立ち、先輩2人に彼女を見られないようにガードしていた。その姿が何だか可愛らしくて可笑しかった。
「あ、そうだ。メアド交換しない?」
「え?いいんですか?」
「いいですね、しましょう!」
私達が和気あいあいと話してる様子を、不思議そうに見つめる彼氏たち。まさか、自分の彼女が先輩後輩の彼女と繋るなんて思いもしなかったんだろうな。
みんなと解散した後、寿くんと並んで帰る。
どちらからともなく、手を繋ぐ。今日も大活躍した寿くんの手は温かい。
「・・・あんま変なこと吹き込むなよ。」
「何の話?」
「あいつらの彼女にだよ、あんま俺の話すんなよ。」
「えー、どうしよっかな。」
「あいつらの耳にも入んだろ。」
「・・・この前、足の小指ぶつけて、折れたって大騒ぎした話はもうしたよ。」
「おい!!!」
彼女に見せる顔を、後輩たちに知られるのが恥ずかしいんだろうな。どんだけ格好つけてるんだろ。
「いいじゃない、私は彼女たちとお友達になれて嬉しいよ。」
「そーかよ・・・」
思わぬかたちで知り合った、彼氏の後輩の彼女たち。
大学生活も折り返したけど、まだまだ楽しくなりそうだ。
1/3ページ