おいしいを聞かせて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は今、お隣さんの玄関前で炊飯器を抱えて立っている。
まさか、このインターホンを1日に二度も押すことになるとは思ってもいなかった。
ガチャ
「どうぞ、お持ちしました。」
「・・・」
「2合炊いてあります。」
「・・・入れば」
「えっ?ええ??」
まさかのお誘いに、動揺が止まらない。
男の人の部屋に入るなんて、今まで一度もない。中学でも高校でも、男の子との関わりは最小限だった。さらに言えば、こんなイケメンと関わったこともない。
そんな私に、部屋に入れと!?こんなコミュ障にそれはちょっとハードルが・・・
「早くしろ。」
「あ、は、はい・・・お邪魔します。」
お隣さんに急かされ、未開の地と足を踏み入れた。
(・・・こりゃ、寝起きするためだけの部屋だな。)
部屋に入らせてもらうと、なんとも殺風景だ。
ベッドに本棚、ローテーブル、小さめのタンス。生活に必要な最低限の家具しかなかった。
炊飯器を抱えたままキョロキョロする私に、お隣さんは顎で座れと言ってくる。お喋りなタイプでは無いようだ。まぁ、私も得意じゃないけど。
「コ、コンセント差していいですか?」
ご飯は温かい方がいいに決まってる。でもここは人の家だ。勝手に電気を使ってはいけない。
お隣さんはこくりと頷いて、タッパーを電子レンジで温めようとする。・・・ちょっと待って!
「そのまましちゃ駄目です!!」
「!!?」
「ここの空気弁を開けないと、蓋が開かなくなりますよ!」
「そうなのか?」
何なんだ、この人・・・生活力が無さすぎる。
ベッドの横にスポーツバックとバスケットボールが置いてある。バスケ部なのかな?あ、そういえば・・・
「すみません、私まだ名前・・・桐生レオナといいます。」
「流川楓」
「流川さん、あそこの大学ですか?」
「1年」
「えっ!?同い年!?」
チンッ
電子レンジの音がなる。流川さん・・・いや、流川くんは小さく「あちっ」と言って取り出し、ローテーブルの上に置いた。蓋を開ければ湯気とともに、食欲そそる甘辛い香りが広がる。
「ん」
「あ、ありがとうございます。」
流川くんは自分の分と一緒に、私にお茶を用意してくれた。緊張して口の中、カピカピなので助かります。
「ごはん、どうぞ。」
「どーも」
お茶碗にこんもりとご飯をよそってあげた。
「・・・ます。」
声が小さすぎて、最後の二文字しか聞こえなかったけど、いただきますと言ったのだろう。
流川くんのお口に合うといいのですが・・・
ぱく
ぱくぱく
ばくばくばく・・・
なんていい食べっぷり・・・
何も言わず食べ続ける流川くんから、美味しいのオーラを感じる。こんな風に食べてもらえるなんて。嬉しすぎて顔が緩む。
「あ、おかわりする?」
「ん」
一度目と同じように、こんもりとご飯をよそう。
それを受け取ると、流川くんは再び食べ進める。私はその食べる姿を見つめる。これだけで私はお腹いっぱいだ。
「・・・さま。」
また二文字しか聞こえなかったけど、ごちそうさまと言ったのだろう。
「こちらこそ、ごちそうさまです。」
「??」
「いや、こっちの話だから気にしないで!」
流川くんはタッパーだけでなく、炊飯器のお釜まで洗ってくれた。私が勝手にしたことなので、そのまま持って帰ると言ったが、許されなかった。
玄関先で靴を履く。
勇気を出して、インターホンを押して良かった。
まさかこんなに胸いっぱいお腹いっぱいになるとは思わなかった。
「それじゃ、お邪魔しました。おやすみなさい。」
「・・・なさい。」
今度は最後の三文字だけ聞こえた。
まさか、このインターホンを1日に二度も押すことになるとは思ってもいなかった。
ガチャ
「どうぞ、お持ちしました。」
「・・・」
「2合炊いてあります。」
「・・・入れば」
「えっ?ええ??」
まさかのお誘いに、動揺が止まらない。
男の人の部屋に入るなんて、今まで一度もない。中学でも高校でも、男の子との関わりは最小限だった。さらに言えば、こんなイケメンと関わったこともない。
そんな私に、部屋に入れと!?こんなコミュ障にそれはちょっとハードルが・・・
「早くしろ。」
「あ、は、はい・・・お邪魔します。」
お隣さんに急かされ、未開の地と足を踏み入れた。
(・・・こりゃ、寝起きするためだけの部屋だな。)
部屋に入らせてもらうと、なんとも殺風景だ。
ベッドに本棚、ローテーブル、小さめのタンス。生活に必要な最低限の家具しかなかった。
炊飯器を抱えたままキョロキョロする私に、お隣さんは顎で座れと言ってくる。お喋りなタイプでは無いようだ。まぁ、私も得意じゃないけど。
「コ、コンセント差していいですか?」
ご飯は温かい方がいいに決まってる。でもここは人の家だ。勝手に電気を使ってはいけない。
お隣さんはこくりと頷いて、タッパーを電子レンジで温めようとする。・・・ちょっと待って!
「そのまましちゃ駄目です!!」
「!!?」
「ここの空気弁を開けないと、蓋が開かなくなりますよ!」
「そうなのか?」
何なんだ、この人・・・生活力が無さすぎる。
ベッドの横にスポーツバックとバスケットボールが置いてある。バスケ部なのかな?あ、そういえば・・・
「すみません、私まだ名前・・・桐生レオナといいます。」
「流川楓」
「流川さん、あそこの大学ですか?」
「1年」
「えっ!?同い年!?」
チンッ
電子レンジの音がなる。流川さん・・・いや、流川くんは小さく「あちっ」と言って取り出し、ローテーブルの上に置いた。蓋を開ければ湯気とともに、食欲そそる甘辛い香りが広がる。
「ん」
「あ、ありがとうございます。」
流川くんは自分の分と一緒に、私にお茶を用意してくれた。緊張して口の中、カピカピなので助かります。
「ごはん、どうぞ。」
「どーも」
お茶碗にこんもりとご飯をよそってあげた。
「・・・ます。」
声が小さすぎて、最後の二文字しか聞こえなかったけど、いただきますと言ったのだろう。
流川くんのお口に合うといいのですが・・・
ぱく
ぱくぱく
ばくばくばく・・・
なんていい食べっぷり・・・
何も言わず食べ続ける流川くんから、美味しいのオーラを感じる。こんな風に食べてもらえるなんて。嬉しすぎて顔が緩む。
「あ、おかわりする?」
「ん」
一度目と同じように、こんもりとご飯をよそう。
それを受け取ると、流川くんは再び食べ進める。私はその食べる姿を見つめる。これだけで私はお腹いっぱいだ。
「・・・さま。」
また二文字しか聞こえなかったけど、ごちそうさまと言ったのだろう。
「こちらこそ、ごちそうさまです。」
「??」
「いや、こっちの話だから気にしないで!」
流川くんはタッパーだけでなく、炊飯器のお釜まで洗ってくれた。私が勝手にしたことなので、そのまま持って帰ると言ったが、許されなかった。
玄関先で靴を履く。
勇気を出して、インターホンを押して良かった。
まさかこんなに胸いっぱいお腹いっぱいになるとは思わなかった。
「それじゃ、お邪魔しました。おやすみなさい。」
「・・・なさい。」
今度は最後の三文字だけ聞こえた。