赤と青から逃げたくて
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優しい彼は私を助けてくれる。
素直に甘えたらいいのに、それができない。
心底、自分は扱いにくい女だと思う。
午後の講義を終え、今日はこのあと久しぶりにスタジオ練習の予定だ。荷物を整えてギターを担いだ。
(そういえば、今日はまだ宮城くんに会ってないな)
午後過ぎても会わないって、今まで無かったかも。
いつもお昼前には「レオナちゃん」と、宮城くんから声をかけてくれていた。
なんだろう、ルーティンが崩れるというか、何というか・・・変な胸騒ぎがする。
いやいや、宮城くんを安定剤にしちゃダメ。甘えるな。
(早く新曲仕上げないと、2人に怒られるな)
次の企画ライブまでに一曲作りたいけど、未だに歌詞が出てこない。そういえば、次のライブは呼んでって宮城くん言ってたな。練習忙しいのに来れるのかな。
てか、私、宮城くんのこと考えすぎじゃない?
教室から出て、学生課の前を通る。
学部棟から出ようとしたときだった。
胸騒ぎの正体が分かった。
視界に捉えたのは、間違いない。
先生だ
学生課の扉から、教授らしい男性と出てきた。
なんでここにいるの?
気付くな、こっちを見るな。
ゆっくりと先生がこっちを見る。目が合う。
息が詰まる。頭がくらくらする。
「もしかして、桐生・・・か?」
変わらない声に捕まった。
「・・・はい、そうです」
先生が私の前まで歩み寄る。
足が動かない。
「一瞬誰か分からなかったよ、卒業式以来か?」
「そう、ですね。・・・なんで、ここに?」
「俺ここの卒業生なんだよ。教職取ってる学生向けに話しにきたんだ。」
「・・・そっか」
「桐生は・・・大人になったな。」
もうダメだ、堪えてたものが溢れそう。
「レオナ!!!」
聞き慣れた声、でもいつもの優しい声とは違うそれが私を呼んだ。
「どこ行ってたんだよ!めっちゃ探した。」
「えっ、あ・・・」
「教室で待ってるって言ってたじゃん。」
息を切らす宮城くんの言葉に戸惑ってしまう。
そんな約束をした覚えは一切ない。でも、宮城くんは本当に約束を破られてた顔をしている。
「ご、ごめん・・・」
「てか、・・・知り合い?」
『あの先生』と言うの?言ったらどうなる?
この場に相応しい言葉が全く出てこない。
私が黙っていると、宮城くんは先生の方を見て言った。
「俺の彼女に何したんすか?」
その言葉に目を見開いた。
「いや、教え子だったから、声かけただけだよ。」
「・・・そーかよ。」
「気を悪くさせて、悪かったね。」
「・・・」
宮城くんは先生に鋭い視線を向ける。
「それじゃ、桐生。」
「・・・は、はい」
先生は片手を上げて、背中を向けた。
教授らしい男性のもとへ戻り、反対方向へ歩き始めた。
「レオナちゃん」
呼び方がもとに戻った。
でも、声色はやっぱりいつもの優しい声とは違う。
宮城くんの方を見るのが恐い。どんな目で私を見てる?何言われる?
「・・・頑張ったね。」
宮城くんはそういうと、私の背中を優しく撫でてくれた。
必死に堪えてたものが溢れた。
声を殺しながら泣く私の手を引き、宮城くんはゆっくり歩き始めた。学部棟を出て、初めて宮城くんと出会ったカフェテリアに着くと、テラス席に私を座らせた。
「ちょっと待ってて」と言ってしばらくすると、飲み物を持って戻ってきた。
カフェテリアで売ってる、マシュマロの浮いた温かいココアだった。
「疲れたときは、甘いものがいいでしょ。」
そう言って、優しく笑う宮城くんを見たら、また涙が溢れた。
素直に甘えたらいいのに、それができない。
心底、自分は扱いにくい女だと思う。
午後の講義を終え、今日はこのあと久しぶりにスタジオ練習の予定だ。荷物を整えてギターを担いだ。
(そういえば、今日はまだ宮城くんに会ってないな)
午後過ぎても会わないって、今まで無かったかも。
いつもお昼前には「レオナちゃん」と、宮城くんから声をかけてくれていた。
なんだろう、ルーティンが崩れるというか、何というか・・・変な胸騒ぎがする。
いやいや、宮城くんを安定剤にしちゃダメ。甘えるな。
(早く新曲仕上げないと、2人に怒られるな)
次の企画ライブまでに一曲作りたいけど、未だに歌詞が出てこない。そういえば、次のライブは呼んでって宮城くん言ってたな。練習忙しいのに来れるのかな。
てか、私、宮城くんのこと考えすぎじゃない?
教室から出て、学生課の前を通る。
学部棟から出ようとしたときだった。
胸騒ぎの正体が分かった。
視界に捉えたのは、間違いない。
先生だ
学生課の扉から、教授らしい男性と出てきた。
なんでここにいるの?
気付くな、こっちを見るな。
ゆっくりと先生がこっちを見る。目が合う。
息が詰まる。頭がくらくらする。
「もしかして、桐生・・・か?」
変わらない声に捕まった。
「・・・はい、そうです」
先生が私の前まで歩み寄る。
足が動かない。
「一瞬誰か分からなかったよ、卒業式以来か?」
「そう、ですね。・・・なんで、ここに?」
「俺ここの卒業生なんだよ。教職取ってる学生向けに話しにきたんだ。」
「・・・そっか」
「桐生は・・・大人になったな。」
もうダメだ、堪えてたものが溢れそう。
「レオナ!!!」
聞き慣れた声、でもいつもの優しい声とは違うそれが私を呼んだ。
「どこ行ってたんだよ!めっちゃ探した。」
「えっ、あ・・・」
「教室で待ってるって言ってたじゃん。」
息を切らす宮城くんの言葉に戸惑ってしまう。
そんな約束をした覚えは一切ない。でも、宮城くんは本当に約束を破られてた顔をしている。
「ご、ごめん・・・」
「てか、・・・知り合い?」
『あの先生』と言うの?言ったらどうなる?
この場に相応しい言葉が全く出てこない。
私が黙っていると、宮城くんは先生の方を見て言った。
「俺の彼女に何したんすか?」
その言葉に目を見開いた。
「いや、教え子だったから、声かけただけだよ。」
「・・・そーかよ。」
「気を悪くさせて、悪かったね。」
「・・・」
宮城くんは先生に鋭い視線を向ける。
「それじゃ、桐生。」
「・・・は、はい」
先生は片手を上げて、背中を向けた。
教授らしい男性のもとへ戻り、反対方向へ歩き始めた。
「レオナちゃん」
呼び方がもとに戻った。
でも、声色はやっぱりいつもの優しい声とは違う。
宮城くんの方を見るのが恐い。どんな目で私を見てる?何言われる?
「・・・頑張ったね。」
宮城くんはそういうと、私の背中を優しく撫でてくれた。
必死に堪えてたものが溢れた。
声を殺しながら泣く私の手を引き、宮城くんはゆっくり歩き始めた。学部棟を出て、初めて宮城くんと出会ったカフェテリアに着くと、テラス席に私を座らせた。
「ちょっと待ってて」と言ってしばらくすると、飲み物を持って戻ってきた。
カフェテリアで売ってる、マシュマロの浮いた温かいココアだった。
「疲れたときは、甘いものがいいでしょ。」
そう言って、優しく笑う宮城くんを見たら、また涙が溢れた。