おいしいを聞かせて
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私はどうしたい?
今まで流川くんと過ごしてきた時間はどうだった?
私の作った料理をモリモリと食べてくれた流川くん。
遠慮がちにサンドイッチを受け取る流川くん。
板チョコをお礼だと差し出す流川くん。
山盛りオムライスを頬張る流川くん。
何も言わずそばにいてくれた流川くん。
お肉が食べたいと言う流川くん。
私のことを好きだと言ってくれる流川くん。
私の心の中は、もう流川くんでいっぱいだ。
「わ、わたしも・・・好き」
精一杯、言葉を絞り出した。
「・・・よかった」
「・・・え?」
声が聞こえたと同時に、流川くんの大きな手に引き寄せられた私は、大きな流川くんにすっぽり包まれた。
「えっ、あ、あの!る、流川くん?!」
「なんだ」
「そ、その・・・は、恥ずかし」
「知らねー」
私の訴えも虚しく、流川くんは腕の力を強める。
抱きしめられて嬉しくないわけではない、ただここは学内の芝生で多くの学生がいて、しかも流川くんは目立つのだから、こんなことをしていると、嫌でも多くの視線が集まる。
「・・・ほ、ほんとに勘弁して」
「・・・」
やっと流川くんが開放してくれた。
「・・・で、でも」
「?」
「ほ、本当に私でいいの?」
「は?」
「いや、だって・・・私より可愛いくて愛嬌あって、素敵な女の子なんて沢山いるし」
「・・・」
「私なんて、料理以外にできることないし、友達いないし、ちんちくりんだし・・・」
自分で言ってて虚しくなるけど、これが事実だ。
「それがどうした」
「・・・え?」
「俺はレオナと一緒にいたい。」
「それだけでいい。」
流川くんは自分の気持ちに素直に生きてる人で、周りにどう見られるかとか、どう思われるかなんて問題じゃないんだ。
だったら私は?
どう見られるかとか、どう思われるかとか、一旦無しにして。私は流川くんとどうしたい?
「・・・一緒にいたい。一緒にご飯食べたい。」
涙が溢れてきた。流川くんの前で泣いてばかりだ。
大きな手が私の涙に優しく触れた。
涙で歪んだ世界で、流川くんが笑った気がした。
________
「・・・おかわり」
「さっきと同じくらい?」
(こくり)
「はい、どうぞ」
芝生で自分の気持ちに素直になった日から、2週間ほど経った。恋人同士となった私と流川くんだけど、付き合い方は以前とあまり変わらない。
「・・・さま」
「お粗末様でした。」
「今週の土曜日、練習試合。」
「そうなんだ、晩ご飯どうする?」
「飯はいる、見に来い。」
「えっ、いいの?」
流川くんがバスケをしている姿を、まだ見たことがなかった。きっと格好良いに決まってる。何か差し入れとかした方がいいのかな。
「片付け、手伝う」
「あ、うん、ありがとう」
今では食後、一緒に片付けをするのが決まりになっている。初めて2人並んで食器を片付けたときを思い出す。
あの時ほどではないけれど、やっぱり少しくすぐったい気持ちになってしまう。
「よし、おしまい」
「・・・」
濡れた手をタオルで拭く。
少し屈んだ流川くんと目が合う。その瞬間、唇が重なる。
流川くんはまるで決まりごとのように、このタイミングでキスをする。
「顔、赤いな」
「ほっといて・・・」
「飯、いつも美味い。」
「・・・ありがと。」
あなたから『おいしい』と言ってもらえるだけで、こんなにも心が満たされる。
あのとき勇気を出して、あなたの部屋のインターホンを鳴らした私に言いたい。
勇気を出してくれて、本当にありがとう。
未来のあなたは、お腹も心も満たされて、とても幸せだよ。
(勝ったら食いたいもんある)
(なになに?大盛り系?お肉?)
(レオナ)
(・・・ふぁっ!!!??!?)
end
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