おいしいを聞かせて
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(流川視点)
桐生と連絡先を交換してから、一緒に飯を食べる機会が増えた。
主に桐生から「食べに来てくれ」というメールが来てたが、一度、先輩らに誘われたときと被って、桐生の飯を食べ損なった。惜しいことをしたと思い、それ以来は自分からもメールするようになった。
(もっと食いたい、それに・・・)
不思議なことに、桐生と同じ空間で食事するのが楽しみになっていた。
楽しそうに料理をし、俺が食べる様を嬉しそうに見つめる桐生に、何とも言い表せない気持ちになっていた。
三井先輩に晩飯を奢ってもらったときだった。
食堂でラーメンとカレーを受け取って、先輩の方を見ると知り合いらしい女子と話していた。こういうことに疎い俺でも、いい雰囲気だなと思った。
いつもの少々ガラの悪い先輩とは違い、穏やかな顔で話す姿は、その女子が好きだと体現していた。
ただ、彼女ではないらしい。三井先輩の片想い。
しかし、こういう話を普段しないからか「気になるやつがいるのか?」と勘付かれた。
そう言われると、桐生の顔が思い浮かぶ。
三井先輩は「そうかそうか」とニヤニヤと笑った。
これ以上詮索されまいと、さっさとトレーを返却口へ運び、そのまま食堂を出た。バスケは上手いが面倒くさい先輩だ。
正直、バスケ以外のことはどうでも良かった。
特に恋愛云々については面倒で、女とかもキンキン声で邪魔な存在としか思っていなかった。
でも、桐生はそうじゃない。一緒にいて煩わしいと思ったことは一度もない。もちろん、飯を食わせてもらってるからかもしれない。でも、それだけじゃない。
もしかしたら桐生といるとき、俺も三井先輩の様になっているのか?。
学内を歩いているとき、芝生に座る桐生を見つけた。
何やら考え込んでいるのか、百面相になっている。
声をかけたが、すぐには気付かなかった。
「今日、肉がいい」
食べたいものを注文すれば、桐生と飯が食えることが約束されるに違いないと思った。
そう言って、その場を離れたが、よく考えれば桐生の都合を無視した発言だったと気付いた。やってしまったと思ったが、夕方頃に『お肉の準備しときます。』とメールが来て一安心した。
家に帰りスポーツバックを部屋の中に放り投げ、すぐ桐生の部屋のインターホンを鳴らす。腹はいい感じに空いている。
部屋に入ると、今日も間違いなく美味い匂いがした。テーブルには既にいくつか料理が並んでいた。どれも美味そうだ。
「憧れの塊肉を切れて幸せでした。」
そう言って笑う桐生は、本当に幸せそうだ。
作ってもらった料理を頬張る。腹はもちろん満たされるが、それだけじゃない。この時間を桐生と過ごしていることに、この上ない満足感があった。
食事が終わると、桐生は食器を片付け始めた。
ふと、実家で母親に「空の食器ぐらい運べ」と言われたのを思い出した。手伝うと言うと、一度は断られたが押し切り、二人並んで食器を洗った。
「あ、ありがとう。」
「別に」
「・・・」
「・・・」
言葉が続かず、向き合った状態で静かになる。
桐生と目が合う。
自分とは違う丸みのある目。
赤く染まっている頬。
そして、結ばれた唇。
その全てが愛おしい。
そう思ったとき、俺の唇は桐生のそれに触れた。
唇がゆっくり離れる。
桐生は俺を見つめて動かない。
「・・・」
なんだ、そうか。
「好きだ。」
俺も三井先輩と一緒じゃねーか。
桐生と連絡先を交換してから、一緒に飯を食べる機会が増えた。
主に桐生から「食べに来てくれ」というメールが来てたが、一度、先輩らに誘われたときと被って、桐生の飯を食べ損なった。惜しいことをしたと思い、それ以来は自分からもメールするようになった。
(もっと食いたい、それに・・・)
不思議なことに、桐生と同じ空間で食事するのが楽しみになっていた。
楽しそうに料理をし、俺が食べる様を嬉しそうに見つめる桐生に、何とも言い表せない気持ちになっていた。
三井先輩に晩飯を奢ってもらったときだった。
食堂でラーメンとカレーを受け取って、先輩の方を見ると知り合いらしい女子と話していた。こういうことに疎い俺でも、いい雰囲気だなと思った。
いつもの少々ガラの悪い先輩とは違い、穏やかな顔で話す姿は、その女子が好きだと体現していた。
ただ、彼女ではないらしい。三井先輩の片想い。
しかし、こういう話を普段しないからか「気になるやつがいるのか?」と勘付かれた。
そう言われると、桐生の顔が思い浮かぶ。
三井先輩は「そうかそうか」とニヤニヤと笑った。
これ以上詮索されまいと、さっさとトレーを返却口へ運び、そのまま食堂を出た。バスケは上手いが面倒くさい先輩だ。
正直、バスケ以外のことはどうでも良かった。
特に恋愛云々については面倒で、女とかもキンキン声で邪魔な存在としか思っていなかった。
でも、桐生はそうじゃない。一緒にいて煩わしいと思ったことは一度もない。もちろん、飯を食わせてもらってるからかもしれない。でも、それだけじゃない。
もしかしたら桐生といるとき、俺も三井先輩の様になっているのか?。
学内を歩いているとき、芝生に座る桐生を見つけた。
何やら考え込んでいるのか、百面相になっている。
声をかけたが、すぐには気付かなかった。
「今日、肉がいい」
食べたいものを注文すれば、桐生と飯が食えることが約束されるに違いないと思った。
そう言って、その場を離れたが、よく考えれば桐生の都合を無視した発言だったと気付いた。やってしまったと思ったが、夕方頃に『お肉の準備しときます。』とメールが来て一安心した。
家に帰りスポーツバックを部屋の中に放り投げ、すぐ桐生の部屋のインターホンを鳴らす。腹はいい感じに空いている。
部屋に入ると、今日も間違いなく美味い匂いがした。テーブルには既にいくつか料理が並んでいた。どれも美味そうだ。
「憧れの塊肉を切れて幸せでした。」
そう言って笑う桐生は、本当に幸せそうだ。
作ってもらった料理を頬張る。腹はもちろん満たされるが、それだけじゃない。この時間を桐生と過ごしていることに、この上ない満足感があった。
食事が終わると、桐生は食器を片付け始めた。
ふと、実家で母親に「空の食器ぐらい運べ」と言われたのを思い出した。手伝うと言うと、一度は断られたが押し切り、二人並んで食器を洗った。
「あ、ありがとう。」
「別に」
「・・・」
「・・・」
言葉が続かず、向き合った状態で静かになる。
桐生と目が合う。
自分とは違う丸みのある目。
赤く染まっている頬。
そして、結ばれた唇。
その全てが愛おしい。
そう思ったとき、俺の唇は桐生のそれに触れた。
唇がゆっくり離れる。
桐生は俺を見つめて動かない。
「・・・」
なんだ、そうか。
「好きだ。」
俺も三井先輩と一緒じゃねーか。