おいしいを聞かせて
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私が泣いてしまった夜、流川くんは私が落ち着くまで部屋にいてくれた。その無言の優しさが嬉しかった。
その後、私と流川くんはたまに一緒にご飯を食べるようになっていた。
最初は私から『これ作ったから食べに来てください』とメールしていたが、一度先輩とご飯に行く予定と私からのメールが被ってしまったそうで、それ以降は流川くんからも『食うもんある?』『今日は先輩と飯』などメールが入るようになった。
(・・・流川くんはどういうつもりなんだろ。)
相変わらず芝生でお弁当を広げる。
私の作りたい衝動に合わせて、流川くんを付き合わせている気がして申し訳無いのだ。
(泣いてしまった私に気を遣ってるかもしれないし)
しかし、未だに自分があの『流川楓』と一緒にご飯を食べているということが信じられない。
彼に憧れる女の子は、大学内に留まらない。そんな人と同じ部屋でご飯を食べるなんて。何かの間違いではないか?長ーい夢でも見ているのではないか?
そんなふうに思ってしまう。
(でも、夢じゃないんだよね)
「おい」
(美味しいって言ってもらいたい)
「おい」
(あー、思い出したらなんかドキドキしてきた)
「おい!」
「ふぅえ!!?」
少し大きめの声した方を向くと、スポーツバックを持った流川くんが立っていた。
「気付くのおせー」
「ご、ごめんなさい」
「今日、肉がいい」
流川くんはそう言うと、さっさと行ってしまった。
えっ?私の都合は・・・?まぁ、今日はバイトもないし、別にいいんだけど・・・
『肉がいい』
初めてリクエストされた。
私は流川くんに「お肉の準備しときます。」とメールを送った。リクエストされたけど、念のため・・・
馴染みのスーパーの精肉売場で商品を吟味する。
最初と2回目は、特に気にせず自分の作りたいものを作っていたが、流川くんはスポーツマンである。
つまり、バランスの良い食事が大切なのだ。
毎回、特盛系ではダメだと思ってからは、沢山作れど栄養面を気にして作るようになった。これは自分の勉強にもなった。
(練習後だしタンパク質多め)
よし、これにしよう!と商品をカゴに入れた。
時計が19時を過ぎたとき、インターホンが鳴った。
「・・・お疲れ様です。」
「ん」
流川くんは部屋に入ると、スンと鼻を鳴らした。
きっと、部屋に漂う料理の匂いをかいだんだろう。
「リクエストがお肉だったので、」
「おう」
「厚切りトンテキ山盛りキャベツ添です!!!」
「ほー」
「憧れの塊肉を切れて幸せでした。」
ポテトサラダ、厚揚げと野菜の煮浸し、具沢山のお味噌汁も用意した。あー、楽しかった。
足りなかったら追加で焼くねと言うと、流川くんはこくりと頷いた。
「・・・ます」
「はい、どうぞ。」
流川くんの聞こえない『いただきます』にも慣れてきた。もともと大きな声出すような人じゃないし。
流川くんがもりもりと食べる様子を見ながら、私も食べ始める。一口が大きいなぁ。
「・・・さま」
「はい、お粗末様でした。」
もちろん『ごちそうさま』も聞こえない。
私が食器を片付けようと立ったとき、流川くんも立ち上がって食器を運び始めた。今までいつも座りっぱなしだったのに。
「い、いいよ!練習で疲れてるでしょ!?」
「手伝う」
「で、でも」
「いいから」
これは引いてはくれなさそうだ。初めて料理を持って行ったときも、こんなことあったな。
それじゃぁ、と一緒に片付けることにした。
私が洗った食器を、流川くんがすすいで水切りカゴに乗せていく。シンクの前に二人並んでこんなことしていると・・・なんだろ、変な感じ。
「あ、ありがとう。」
「別に」
「・・・」
「・・・」
言葉が続かず二人して黙ってしまった。
流川くんを見上げると目が合う。
そのキレイな目から、離れられない。
そう、思ったとき
視界が暗くなり
流川くんの唇が、わたしのそれと重なった。
その後、私と流川くんはたまに一緒にご飯を食べるようになっていた。
最初は私から『これ作ったから食べに来てください』とメールしていたが、一度先輩とご飯に行く予定と私からのメールが被ってしまったそうで、それ以降は流川くんからも『食うもんある?』『今日は先輩と飯』などメールが入るようになった。
(・・・流川くんはどういうつもりなんだろ。)
相変わらず芝生でお弁当を広げる。
私の作りたい衝動に合わせて、流川くんを付き合わせている気がして申し訳無いのだ。
(泣いてしまった私に気を遣ってるかもしれないし)
しかし、未だに自分があの『流川楓』と一緒にご飯を食べているということが信じられない。
彼に憧れる女の子は、大学内に留まらない。そんな人と同じ部屋でご飯を食べるなんて。何かの間違いではないか?長ーい夢でも見ているのではないか?
そんなふうに思ってしまう。
(でも、夢じゃないんだよね)
「おい」
(美味しいって言ってもらいたい)
「おい」
(あー、思い出したらなんかドキドキしてきた)
「おい!」
「ふぅえ!!?」
少し大きめの声した方を向くと、スポーツバックを持った流川くんが立っていた。
「気付くのおせー」
「ご、ごめんなさい」
「今日、肉がいい」
流川くんはそう言うと、さっさと行ってしまった。
えっ?私の都合は・・・?まぁ、今日はバイトもないし、別にいいんだけど・・・
『肉がいい』
初めてリクエストされた。
私は流川くんに「お肉の準備しときます。」とメールを送った。リクエストされたけど、念のため・・・
馴染みのスーパーの精肉売場で商品を吟味する。
最初と2回目は、特に気にせず自分の作りたいものを作っていたが、流川くんはスポーツマンである。
つまり、バランスの良い食事が大切なのだ。
毎回、特盛系ではダメだと思ってからは、沢山作れど栄養面を気にして作るようになった。これは自分の勉強にもなった。
(練習後だしタンパク質多め)
よし、これにしよう!と商品をカゴに入れた。
時計が19時を過ぎたとき、インターホンが鳴った。
「・・・お疲れ様です。」
「ん」
流川くんは部屋に入ると、スンと鼻を鳴らした。
きっと、部屋に漂う料理の匂いをかいだんだろう。
「リクエストがお肉だったので、」
「おう」
「厚切りトンテキ山盛りキャベツ添です!!!」
「ほー」
「憧れの塊肉を切れて幸せでした。」
ポテトサラダ、厚揚げと野菜の煮浸し、具沢山のお味噌汁も用意した。あー、楽しかった。
足りなかったら追加で焼くねと言うと、流川くんはこくりと頷いた。
「・・・ます」
「はい、どうぞ。」
流川くんの聞こえない『いただきます』にも慣れてきた。もともと大きな声出すような人じゃないし。
流川くんがもりもりと食べる様子を見ながら、私も食べ始める。一口が大きいなぁ。
「・・・さま」
「はい、お粗末様でした。」
もちろん『ごちそうさま』も聞こえない。
私が食器を片付けようと立ったとき、流川くんも立ち上がって食器を運び始めた。今までいつも座りっぱなしだったのに。
「い、いいよ!練習で疲れてるでしょ!?」
「手伝う」
「で、でも」
「いいから」
これは引いてはくれなさそうだ。初めて料理を持って行ったときも、こんなことあったな。
それじゃぁ、と一緒に片付けることにした。
私が洗った食器を、流川くんがすすいで水切りカゴに乗せていく。シンクの前に二人並んでこんなことしていると・・・なんだろ、変な感じ。
「あ、ありがとう。」
「別に」
「・・・」
「・・・」
言葉が続かず二人して黙ってしまった。
流川くんを見上げると目が合う。
そのキレイな目から、離れられない。
そう、思ったとき
視界が暗くなり
流川くんの唇が、わたしのそれと重なった。