赤と青から逃げたくて
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まさか自分にこんなことが起こるなんて、人生何が起こるか分からない。
『一目惚れってやつかな』
あの後、宮城くんは「連絡先教えて」とすぐ頼んできた。ほいほいと教えるのが何だか癪で、しばらくスルーしたけれど、最終的に教えてしまった。
同じ学部ということもあって、同じ講義が他にもあり、その度に私に話しかけてくる。食堂やカフェテリア、普通に学内を歩いてるときでも、見張られてるのでは?と思うほど私を見付ける。
「レオナちゃん!」
「こんにちは、宮城くん。」
「今日も可愛いね!」
って語尾にハートマークが見えるテンションで言ってくれる。
最初は恥ずかしかったし、どう反応したらいいか分からなかったけど、言われすぎて「本気で思ってる?」と少し疑うレベルになってきた。
そして、呼び方もいつの間にか名前で呼ばれるようになっていた。
大学の広い芝生に座って、楽譜を見てたら見付かってしまった。
宮城くんは私の隣に座って、楽譜を覗き込んだ。
「これって、手書き?」
「うん、バンドのオリジナルだから。」
「え!?曲作ってんの!?」
凄いねと言って宮城くんは、左手にまた青い缶コーヒーを持っていた。もちろん肩には赤いスポーツバック。その組み合わせは勘弁してほしい。
「どしたの?」
「何でもない。」
「なになに?イイ男で見惚れた?」
「はいはい」
うっかりジッと見てしまった。
宮城くんは確かに格好良いよ。
でもごめんね、私は宮城くんの向こうにあの人を見てる。宮城くんに出会ってから、あの人のことをよく思い出すようになっていた。見た目もタイプも違うのに。それはきっと、赤と青のせいだ。
「ライブとかすんの?」
「たまにだけど、よく行くスタジオで主催されるやつに出るよ。」
「今度あったら教えて。」
見に行くから。と宮城くんは笑った。
なんだろ
宮城くんが私に笑いかけてくれるたびに、小さな罪悪感を感じる。
夢を見た。
昔の夢。
中学校の校舎、音楽準備室には私と先生。
先生は赤いギターを持つ。
机には青い缶コーヒー。
『C7、弾けるようになったよ。』
『そうか』
『約束覚えてる?』
『・・・覚えてるよ』
私と先生の影が重なる。
瞼を開けると見慣れた天井。
こんなハッキリ夢に見るなんて、最悪の目覚めだ。
顔を洗い、軽く化粧をし、学校へ行く準備をする。
朝ご飯は食べる気がしなかった。
『レオナちゃん』
ふと宮城くんの笑った顔を思い出した。少し気持ちが軽くなった。
きっと宮城くんは、好きになった女の子を全力で幸せにしてくれるのだろう。明るくて人懐っこくて優しい彼を好きになれたら、どれほど良かったのだろう。
でも、私には彼女になる権利も好きになる権利もない。
宮城くんの優しさに甘えて、彼にあの人を重ねてる。
これが、罪悪感の正体だ。
靴を履き、玄関を出ようとしたけど、足が動かなかった。
今日もきっと、宮城くんは私を見付けてくれる。そして、笑いかけてくれる。
(あ、だめだ)
今日は彼に会ってはいけないと、私の心が警鐘を鳴らす。
会ってしまったら、またあの人を見る。
思い出してしまう
そしてまた、小さな罪悪感を積み重ねる。
「うぅ・・・」
玄関の床に涙がシミを作る。
いつになったら、あの人を消し去ることができるのだろう。
『一目惚れってやつかな』
あの後、宮城くんは「連絡先教えて」とすぐ頼んできた。ほいほいと教えるのが何だか癪で、しばらくスルーしたけれど、最終的に教えてしまった。
同じ学部ということもあって、同じ講義が他にもあり、その度に私に話しかけてくる。食堂やカフェテリア、普通に学内を歩いてるときでも、見張られてるのでは?と思うほど私を見付ける。
「レオナちゃん!」
「こんにちは、宮城くん。」
「今日も可愛いね!」
って語尾にハートマークが見えるテンションで言ってくれる。
最初は恥ずかしかったし、どう反応したらいいか分からなかったけど、言われすぎて「本気で思ってる?」と少し疑うレベルになってきた。
そして、呼び方もいつの間にか名前で呼ばれるようになっていた。
大学の広い芝生に座って、楽譜を見てたら見付かってしまった。
宮城くんは私の隣に座って、楽譜を覗き込んだ。
「これって、手書き?」
「うん、バンドのオリジナルだから。」
「え!?曲作ってんの!?」
凄いねと言って宮城くんは、左手にまた青い缶コーヒーを持っていた。もちろん肩には赤いスポーツバック。その組み合わせは勘弁してほしい。
「どしたの?」
「何でもない。」
「なになに?イイ男で見惚れた?」
「はいはい」
うっかりジッと見てしまった。
宮城くんは確かに格好良いよ。
でもごめんね、私は宮城くんの向こうにあの人を見てる。宮城くんに出会ってから、あの人のことをよく思い出すようになっていた。見た目もタイプも違うのに。それはきっと、赤と青のせいだ。
「ライブとかすんの?」
「たまにだけど、よく行くスタジオで主催されるやつに出るよ。」
「今度あったら教えて。」
見に行くから。と宮城くんは笑った。
なんだろ
宮城くんが私に笑いかけてくれるたびに、小さな罪悪感を感じる。
夢を見た。
昔の夢。
中学校の校舎、音楽準備室には私と先生。
先生は赤いギターを持つ。
机には青い缶コーヒー。
『C7、弾けるようになったよ。』
『そうか』
『約束覚えてる?』
『・・・覚えてるよ』
私と先生の影が重なる。
瞼を開けると見慣れた天井。
こんなハッキリ夢に見るなんて、最悪の目覚めだ。
顔を洗い、軽く化粧をし、学校へ行く準備をする。
朝ご飯は食べる気がしなかった。
『レオナちゃん』
ふと宮城くんの笑った顔を思い出した。少し気持ちが軽くなった。
きっと宮城くんは、好きになった女の子を全力で幸せにしてくれるのだろう。明るくて人懐っこくて優しい彼を好きになれたら、どれほど良かったのだろう。
でも、私には彼女になる権利も好きになる権利もない。
宮城くんの優しさに甘えて、彼にあの人を重ねてる。
これが、罪悪感の正体だ。
靴を履き、玄関を出ようとしたけど、足が動かなかった。
今日もきっと、宮城くんは私を見付けてくれる。そして、笑いかけてくれる。
(あ、だめだ)
今日は彼に会ってはいけないと、私の心が警鐘を鳴らす。
会ってしまったら、またあの人を見る。
思い出してしまう
そしてまた、小さな罪悪感を積み重ねる。
「うぅ・・・」
玄関の床に涙がシミを作る。
いつになったら、あの人を消し去ることができるのだろう。