赤と青から逃げたくて
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必修の講義はサボるわけにはいかない。
そう言い聞かせ、眠い目をシパシパさせながら大学へと向かう。
通っている大学はマンモス校で、敷地が鬼のように広い。2年生になっても、行ったことのない建物がまだある。学部棟は正門から近いが、これから受ける講義は少し離れた別の建物で行われる。そこまで歩く時間を逆算して向かわなければならない。
(わぁ、けっこう埋まってるな)
大教室に入ると、既に多くの学生が座っている。特に後ろの方は、ほぼ埋まっている。できれば、後ろの方に座って、新曲の歌詞を考えたかったけど。
「げ、もう埋まってんじゃん。」
後ろから聞こえた声に、ハッとして振り返った。
あの彼が立っていた。
「あれ?もしかして、この前の?」
「・・・こんにちは。」
「この講義、取ってるの?」
「うん、同じ学部だったんだね。」
この講義は私が通う経営学部の必修科目なので、ここにいるということは、同じ学部ということになる。
「後ろの方は埋まってんね、寝よーと思ったのになー。」
「あんまり前だと寝にくいよね。」
「そうなんだよねー。あ、あそこ座れそう。」
そう言うと、彼は後ろから3列目のところへ行き、既に座ってる学生に声をかけた。すると、座っていた学生が席を詰めた。彼は私の方を向いて、手招きした。
コミュ力高いなぁ、と感心してしまった。
「ありがとう。」
「いいって。あ、足元狭くない?」
「大丈夫。」
彼の足元には、赤いスポーツバック。
「名前まだだったよね。俺、宮城リョータ。」
「桐生レオナです。」
「桐生さんね。2年?」
「うん、そうだよ。」
「じゃぁ、タメだね。」
苦い思い出を呼び起こす原因となった人と、知り合いになってしまった。いや、この宮城くんには何の罪もない。なってしまった、と言うのは失礼だ。
「宮城くんは何か部活してるの?」
「うん、バスケ。」
「えっ?バスケ?」
「チビだからそう思わなかった?」
「いや、そんなこと・・・ごめん、あったかも。」
「こう見えてけっこう上手いんだよー。」
ニカっと初めて会ったときと同じ笑顔を見せる。
宮城くんは私より大きいけど、男の子にしては背が低めだ。バスケと聞けば、背の高い人をイメージがあるから意外だった。
講義が始まっても、私と宮城くんは小声で話をした。
宮城くんは小さい時からバスケをしていて、高校ではインターハイにも出場した。高校3年間ずっと好きだったマネージャーさんには、卒業式のときキッパリ断られて、大学1年生のとき彼女ができたけど、半年で別れたそう。
「バスケと私どっちが大切なの?って言われたよ。」
「よく聞くやつだね。」
「バスケって言ったら、平手打ちくらった。」
「ふふっ、それはキツいね。」
思わず笑うと、漫画みたいに手形ついたよと宮城くんも笑った。
「桐生さんは?」
「えっ?私?」
「うん、彼氏とか。いてそーだけど。」
「それどんな印象?いないよ。」
彼氏いない歴が年齢と同じ。これはまぁまぁ恥ずかしいから言わないでおこう。
まぁ、そうなってる原因はあの苦い思い出だ。
「マジで?バンド女子ってモテるんじゃないの?」
「自慢じゃないけど、上手いとモテないよ。」
少なくともバンドマンからは敬遠される。彼女が自分より上手かったらイヤでしょ。そう言うと、宮城くんはなるほどなと頷いた。
「でも、それ聞いて安心した。」
「えっ?」
「ライバルは少ない方がいいし」
「??」
「桐生さんがギター上手くても問題ないし」
「・・・何言って」
「一目惚れってやつ?」
アタックしてもいい?なんて言いながら、私の顔を覗いてくる。
・・・困ります。
そう言い聞かせ、眠い目をシパシパさせながら大学へと向かう。
通っている大学はマンモス校で、敷地が鬼のように広い。2年生になっても、行ったことのない建物がまだある。学部棟は正門から近いが、これから受ける講義は少し離れた別の建物で行われる。そこまで歩く時間を逆算して向かわなければならない。
(わぁ、けっこう埋まってるな)
大教室に入ると、既に多くの学生が座っている。特に後ろの方は、ほぼ埋まっている。できれば、後ろの方に座って、新曲の歌詞を考えたかったけど。
「げ、もう埋まってんじゃん。」
後ろから聞こえた声に、ハッとして振り返った。
あの彼が立っていた。
「あれ?もしかして、この前の?」
「・・・こんにちは。」
「この講義、取ってるの?」
「うん、同じ学部だったんだね。」
この講義は私が通う経営学部の必修科目なので、ここにいるということは、同じ学部ということになる。
「後ろの方は埋まってんね、寝よーと思ったのになー。」
「あんまり前だと寝にくいよね。」
「そうなんだよねー。あ、あそこ座れそう。」
そう言うと、彼は後ろから3列目のところへ行き、既に座ってる学生に声をかけた。すると、座っていた学生が席を詰めた。彼は私の方を向いて、手招きした。
コミュ力高いなぁ、と感心してしまった。
「ありがとう。」
「いいって。あ、足元狭くない?」
「大丈夫。」
彼の足元には、赤いスポーツバック。
「名前まだだったよね。俺、宮城リョータ。」
「桐生レオナです。」
「桐生さんね。2年?」
「うん、そうだよ。」
「じゃぁ、タメだね。」
苦い思い出を呼び起こす原因となった人と、知り合いになってしまった。いや、この宮城くんには何の罪もない。なってしまった、と言うのは失礼だ。
「宮城くんは何か部活してるの?」
「うん、バスケ。」
「えっ?バスケ?」
「チビだからそう思わなかった?」
「いや、そんなこと・・・ごめん、あったかも。」
「こう見えてけっこう上手いんだよー。」
ニカっと初めて会ったときと同じ笑顔を見せる。
宮城くんは私より大きいけど、男の子にしては背が低めだ。バスケと聞けば、背の高い人をイメージがあるから意外だった。
講義が始まっても、私と宮城くんは小声で話をした。
宮城くんは小さい時からバスケをしていて、高校ではインターハイにも出場した。高校3年間ずっと好きだったマネージャーさんには、卒業式のときキッパリ断られて、大学1年生のとき彼女ができたけど、半年で別れたそう。
「バスケと私どっちが大切なの?って言われたよ。」
「よく聞くやつだね。」
「バスケって言ったら、平手打ちくらった。」
「ふふっ、それはキツいね。」
思わず笑うと、漫画みたいに手形ついたよと宮城くんも笑った。
「桐生さんは?」
「えっ?私?」
「うん、彼氏とか。いてそーだけど。」
「それどんな印象?いないよ。」
彼氏いない歴が年齢と同じ。これはまぁまぁ恥ずかしいから言わないでおこう。
まぁ、そうなってる原因はあの苦い思い出だ。
「マジで?バンド女子ってモテるんじゃないの?」
「自慢じゃないけど、上手いとモテないよ。」
少なくともバンドマンからは敬遠される。彼女が自分より上手かったらイヤでしょ。そう言うと、宮城くんはなるほどなと頷いた。
「でも、それ聞いて安心した。」
「えっ?」
「ライバルは少ない方がいいし」
「??」
「桐生さんがギター上手くても問題ないし」
「・・・何言って」
「一目惚れってやつ?」
アタックしてもいい?なんて言いながら、私の顔を覗いてくる。
・・・困ります。