その手をよく見せて
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一人暮らしを始めて3年目。
もちろん、掃除もちゃんとしてきたし、対策もしてきた。でも、集合住宅だとどうしても防ぎきれないこともある。
ついに、部屋に奴が出た。
(あー、もう最悪・・・)
見つけた瞬間、電光石火の速さでバル○ンをセットして部屋を出た。そして、今は近くのコンビニに避難している。
同じ一人暮らしの友達はいてるが、現在の時刻は22時を過ぎたところで、いきなり宿泊を頼むのは気が引ける。
幸いにも財布と携帯は持って出てきたから、駅前まで出て漫喫にでも行こう。
飲み物でも買おうかなと思ったときだった。
「あれ?桐生?」
部活終わりっぽい三井くんだった。よう、と片手を上げて笑う姿にちょっとキュンとした。
三井くんとは体育館で会って以降、仲良くさせてもらってる。同じ講義では隣に座ったり、学内で偶然会えば立ち話をしたり。うん、そう、仲の良い友達。
「こんな遅くにコンビニか?」
「いや、まぁ・・・色々あって」
「??何かあったか?」
うにゃうにゃと語尾を濁す私を、三井くんは少なからず心配してくれてる様子だ。私は部屋に奴が出て、バル○ン中であることを話した。
「めっっっっちゃ気を付けてたのに・・・」
「そりゃ、災難だったな。」
「仕方ないから、漫喫でも行こうかと。」
「ふーん」
女子の部屋に奴が出たとか聞いたら、汚部屋だと思われたかなぁ・・・いや、本当に気を付けてたのに!!
「・・・俺んち来るか?」
「汚部屋じゃないからね!!」
「いや、誰もそんなこと言ってねーだろ!」
「だってそう思わ・・・え?」
「だから、俺んち来るかって。」
まぁ、嫌じゃなければ。と付け足す三井くん。
「お邪魔します・・・」
三井くんの一人暮らし先は、コンビニから5分ほどで着いた。
「適当に座ってくれ。」
パチパチと部屋の電気を点けた三井くんは、スポーツバックから着替えらしき服を取り出し、洗濯機を回し始めた。きっと、毎日のルーティンなんだろな。
お言葉に甘えて、ローテーブル近くに座らせてもらう。同じ専攻の男子の部屋には何度か入ったことがあるけど、やっぱり雰囲気が違うな。てか、普通にキレイ。
「バル○ンは何時頃に終わるんだ?」
「始めてから2〜3時間は閉め切っておくって書いてあった。」
「日付変わっちまうな。てか、こんな時間に家飛び出すとか危ねーだろ。」
女なんだから気を付けろ。と言いながら、三井くんは温かいコーヒーを出してくれた。そういう心配してくれるんだ。ちょっと嬉しいかも。
「ありがと」
「終わる頃に家まで送ってやるよ。」
「何から何まで、すみません。」
「気にすんな。」
温かいコーヒーが身にしみる。
ふと、壁にかかってるユニフォームに目が行った。
「これって、大学のじゃないよね?」
「あ?あー、高3のときのやつだ。」
ユニフォームには『SHOHOKU』『14』と書いてあった。
「そのとき、インターハイに出たんだぜ。」
「えっ!すごっ!!」
「3回戦敗退だったけどな。」
「いや、出るだけでも凄いよ。」
コーヒー片手に、お互いの話をする。
三井くんは中学の時からバスケが上手で、MVPにも選ばれたこと。膝を怪我して一時期荒れてたこと。高3の冬まで部活を続けて推薦をもらえたこと。
私は小さい時から絵が好きで、中高ともに美術部だったこと。高2のときに初めて彼氏ができたこと。高校卒業と同時に別れたこと。
大学での生活も全然違うから、聞いてて楽しい。そして三井くんも私と会わなかったら、芸術科の存在を知らずに卒業するところだったと話してくれた。
「俺が推薦もらえたお陰で、宮城と流川にも推薦の話がきたんだよ。」
「えー、ほんとに?後輩くんの実力じゃない?」
「なんだと?」
「ふふっ、あ、その宮城くんってまだ知らない。」
あー、あいつはなぁ、と話す三井くんの顔は言葉とは裏腹に優しい先輩の顔だ。
ふと時計を見ると、短針は0を少し過ぎていた。
でも、私は三井くんとまだまだ話したくて、気付いてないふりをした。
もちろん、掃除もちゃんとしてきたし、対策もしてきた。でも、集合住宅だとどうしても防ぎきれないこともある。
ついに、部屋に奴が出た。
(あー、もう最悪・・・)
見つけた瞬間、電光石火の速さでバル○ンをセットして部屋を出た。そして、今は近くのコンビニに避難している。
同じ一人暮らしの友達はいてるが、現在の時刻は22時を過ぎたところで、いきなり宿泊を頼むのは気が引ける。
幸いにも財布と携帯は持って出てきたから、駅前まで出て漫喫にでも行こう。
飲み物でも買おうかなと思ったときだった。
「あれ?桐生?」
部活終わりっぽい三井くんだった。よう、と片手を上げて笑う姿にちょっとキュンとした。
三井くんとは体育館で会って以降、仲良くさせてもらってる。同じ講義では隣に座ったり、学内で偶然会えば立ち話をしたり。うん、そう、仲の良い友達。
「こんな遅くにコンビニか?」
「いや、まぁ・・・色々あって」
「??何かあったか?」
うにゃうにゃと語尾を濁す私を、三井くんは少なからず心配してくれてる様子だ。私は部屋に奴が出て、バル○ン中であることを話した。
「めっっっっちゃ気を付けてたのに・・・」
「そりゃ、災難だったな。」
「仕方ないから、漫喫でも行こうかと。」
「ふーん」
女子の部屋に奴が出たとか聞いたら、汚部屋だと思われたかなぁ・・・いや、本当に気を付けてたのに!!
「・・・俺んち来るか?」
「汚部屋じゃないからね!!」
「いや、誰もそんなこと言ってねーだろ!」
「だってそう思わ・・・え?」
「だから、俺んち来るかって。」
まぁ、嫌じゃなければ。と付け足す三井くん。
「お邪魔します・・・」
三井くんの一人暮らし先は、コンビニから5分ほどで着いた。
「適当に座ってくれ。」
パチパチと部屋の電気を点けた三井くんは、スポーツバックから着替えらしき服を取り出し、洗濯機を回し始めた。きっと、毎日のルーティンなんだろな。
お言葉に甘えて、ローテーブル近くに座らせてもらう。同じ専攻の男子の部屋には何度か入ったことがあるけど、やっぱり雰囲気が違うな。てか、普通にキレイ。
「バル○ンは何時頃に終わるんだ?」
「始めてから2〜3時間は閉め切っておくって書いてあった。」
「日付変わっちまうな。てか、こんな時間に家飛び出すとか危ねーだろ。」
女なんだから気を付けろ。と言いながら、三井くんは温かいコーヒーを出してくれた。そういう心配してくれるんだ。ちょっと嬉しいかも。
「ありがと」
「終わる頃に家まで送ってやるよ。」
「何から何まで、すみません。」
「気にすんな。」
温かいコーヒーが身にしみる。
ふと、壁にかかってるユニフォームに目が行った。
「これって、大学のじゃないよね?」
「あ?あー、高3のときのやつだ。」
ユニフォームには『SHOHOKU』『14』と書いてあった。
「そのとき、インターハイに出たんだぜ。」
「えっ!すごっ!!」
「3回戦敗退だったけどな。」
「いや、出るだけでも凄いよ。」
コーヒー片手に、お互いの話をする。
三井くんは中学の時からバスケが上手で、MVPにも選ばれたこと。膝を怪我して一時期荒れてたこと。高3の冬まで部活を続けて推薦をもらえたこと。
私は小さい時から絵が好きで、中高ともに美術部だったこと。高2のときに初めて彼氏ができたこと。高校卒業と同時に別れたこと。
大学での生活も全然違うから、聞いてて楽しい。そして三井くんも私と会わなかったら、芸術科の存在を知らずに卒業するところだったと話してくれた。
「俺が推薦もらえたお陰で、宮城と流川にも推薦の話がきたんだよ。」
「えー、ほんとに?後輩くんの実力じゃない?」
「なんだと?」
「ふふっ、あ、その宮城くんってまだ知らない。」
あー、あいつはなぁ、と話す三井くんの顔は言葉とは裏腹に優しい先輩の顔だ。
ふと時計を見ると、短針は0を少し過ぎていた。
でも、私は三井くんとまだまだ話したくて、気付いてないふりをした。