女王蜂と働き蜂
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案内された一室はただベッドとちょっとした棚だけが置かれていた。
「じゃあ、ベッドに仰向けで横たわってちょうだい。」
…なぜベッドに横たわる必要があるのだろうか。
訳を聞こうにも彼女は夢中に棚を中をいじっている。
大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、素直にベッドに寝転ぶ。
「じゃあ今から目をつぶって何種類か匂いを嗅いでもらうから、その中で1番リラックスできるものを選んでね。」
全く予測ができない言葉に戸惑いつつ、言われるがままに匂いを嗅ぎ、好みに近いものを選んだ。
「趣味がいいわねぇ。じゃあ香を焚いたら始めましょ。」
わざわざ匂いを嗅がせたのは落ち着かせる為らしい。
正直クロロホルムのような気を失わせる類のものかと疑いはしたが、それは杞憂に終わったみたいだ。
ギシッと軋む音がする。
彼女はベッドに腰をかけたのだろうか、手のひらをボクのまぶたに乗せた。
「それじゃあそのまま目をつぶっていてね。私が質問したら、一度深呼吸をしてから、出来るだけ簡潔に答えて。」
「はい。」
「Q.あなたの名前は?」
一度深呼吸。
「A.ジョルノ・ジョバァーナです。」
「Q.あなたはいま何歳?」
深呼吸。
「A.15歳です。」
…といくつかの質問とそれに対する答えが交わされる。
どれも他愛のないもので、拍子抜けするほどだった。
「これで最後の質問ね。Q.あなたの夢はなに?」
来たッ!どう答えるべきか…。
「急にこんな質問なんてびっくりしちゃったかしら。大丈夫、気にしないで。あなたの夢を笑う人間はいないわ。」
…動揺を悟られてしまった。
この面談はおそらく答えたものが本当のことなのか確認するだけではなく、“この人間が組織に反旗を翻す可能性のある人間かどうかを判別するためのもの”だッ!
やるしかないッ!
「…ボクには、このジョルノ・ジョバァーナには夢がある。」
彼女の手がピクリと動いた。
「今はほど遠いかもしれない、それでも黄金のような夢かもしれない。それでもそんな夢に賭ける言ってくれた人もいます。ボクはこの夢を叶えるために、この組織に入りました。…これでいいでしょうか?」
まぶたに置かれた手のひらが外される。
どうやら目を開けていいらしい。
なにやら彼女は思案しているようだ。
「…いいでしょう。あなたの“夢”は素敵なものね。私もその夢が叶えられる方に賭けたいわ。」
ボクの手に彼女の手が重ねられる。
「私もね、叶えたい夢があるの。あなたと同じで今はまだほど遠いかもしれないけれど。」
「では、ボクがなまえさんの夢に賭けましょう。」
「あら、いいの?」
少しこちらを試すような表情で、ケラケラと笑うその姿はまるで年端もいかぬ少女のようであった。
「ええ、あなたはボクの夢に賭けてくれたんだ。ボクがあなたの夢に賭けなくてどうするんです。」
「あなたっていい人ね、とっても気持ちのいい人!」
――――
「無事にバレずに終わったみたいだな。」
ブチャラティは既に遠くなりつつもまだ手を振り続けるなまえに手を振り返しながら言った。
「いえ、バレました。」
「な、なんだってッ?!うおッ!」
驚きのあまり石につまずきそうになったブチャラティに手を貸して、ジョルノは続けた。
「ですが、彼女がボスに報告することはないでしょう。」
「どうして?」
「…彼女がいい人だからです。」
固唾を呑みながらこちらを真剣に見つめるスカイブルーの瞳に、言い聞かせるように語りかける
「質問事項の中に“夢”に関するものがありました。これからギャングになろうとする人間の夢なんてロクなものがないでしょう。」
「…恐らく殆どの人間がその“夢”を叶えたいがためにギャングになったも同然だろうな。」
「ええ、ですからその質問こそが重要で、あとはまぁ彼女の言い分通りではあったのでしょうが、その他のプロフィールやスタンド能力は確認程度のものでしょうね。」
続けてジョルノは言う。
「自分の野心や欲望が詰まった“夢”を語ろうとするとき、つまり感情が揺さぶられるようなポイントを狙っていたんでしょうね。ボクも動揺してしまいました。…素直に答えるべきか嘘をつくべきか。」
「お前はどう答えたんだ、ジョルノ。」
「素直に言いましたよ。もちろん“ギャングスターになる”という部分はぼかしましたが。」
「それじゃあ完全にバレてはいないんじゃないのか?」
「いえ、ボクが答えようとしたとき、彼女の手がピクリと動きました。きっと、動揺した瞬間に全てを読んだのでしょう。」
「…たしかに彼女はいい人だ。それについては俺も同意だ。しかし、だからと言ってボスに報告しないわけではないだろ。」
「しませんよ、彼女は。なんせボクの“夢”に賭けてくれましたからね。」
ブチャラティは少し考え込んだあと、屈託のない笑みでボクの背中を勢いよく抱いた。
「お前がそう言うのならそうなんだろう。俺はお前を信じるぜ、ジョルノ。」
「…ありがとうございます、ブチャラティ。」
そうして、ボクと彼女の初めての出会いが終わったのであった。
「じゃあ、ベッドに仰向けで横たわってちょうだい。」
…なぜベッドに横たわる必要があるのだろうか。
訳を聞こうにも彼女は夢中に棚を中をいじっている。
大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、素直にベッドに寝転ぶ。
「じゃあ今から目をつぶって何種類か匂いを嗅いでもらうから、その中で1番リラックスできるものを選んでね。」
全く予測ができない言葉に戸惑いつつ、言われるがままに匂いを嗅ぎ、好みに近いものを選んだ。
「趣味がいいわねぇ。じゃあ香を焚いたら始めましょ。」
わざわざ匂いを嗅がせたのは落ち着かせる為らしい。
正直クロロホルムのような気を失わせる類のものかと疑いはしたが、それは杞憂に終わったみたいだ。
ギシッと軋む音がする。
彼女はベッドに腰をかけたのだろうか、手のひらをボクのまぶたに乗せた。
「それじゃあそのまま目をつぶっていてね。私が質問したら、一度深呼吸をしてから、出来るだけ簡潔に答えて。」
「はい。」
「Q.あなたの名前は?」
一度深呼吸。
「A.ジョルノ・ジョバァーナです。」
「Q.あなたはいま何歳?」
深呼吸。
「A.15歳です。」
…といくつかの質問とそれに対する答えが交わされる。
どれも他愛のないもので、拍子抜けするほどだった。
「これで最後の質問ね。Q.あなたの夢はなに?」
来たッ!どう答えるべきか…。
「急にこんな質問なんてびっくりしちゃったかしら。大丈夫、気にしないで。あなたの夢を笑う人間はいないわ。」
…動揺を悟られてしまった。
この面談はおそらく答えたものが本当のことなのか確認するだけではなく、“この人間が組織に反旗を翻す可能性のある人間かどうかを判別するためのもの”だッ!
やるしかないッ!
「…ボクには、このジョルノ・ジョバァーナには夢がある。」
彼女の手がピクリと動いた。
「今はほど遠いかもしれない、それでも黄金のような夢かもしれない。それでもそんな夢に賭ける言ってくれた人もいます。ボクはこの夢を叶えるために、この組織に入りました。…これでいいでしょうか?」
まぶたに置かれた手のひらが外される。
どうやら目を開けていいらしい。
なにやら彼女は思案しているようだ。
「…いいでしょう。あなたの“夢”は素敵なものね。私もその夢が叶えられる方に賭けたいわ。」
ボクの手に彼女の手が重ねられる。
「私もね、叶えたい夢があるの。あなたと同じで今はまだほど遠いかもしれないけれど。」
「では、ボクがなまえさんの夢に賭けましょう。」
「あら、いいの?」
少しこちらを試すような表情で、ケラケラと笑うその姿はまるで年端もいかぬ少女のようであった。
「ええ、あなたはボクの夢に賭けてくれたんだ。ボクがあなたの夢に賭けなくてどうするんです。」
「あなたっていい人ね、とっても気持ちのいい人!」
――――
「無事にバレずに終わったみたいだな。」
ブチャラティは既に遠くなりつつもまだ手を振り続けるなまえに手を振り返しながら言った。
「いえ、バレました。」
「な、なんだってッ?!うおッ!」
驚きのあまり石につまずきそうになったブチャラティに手を貸して、ジョルノは続けた。
「ですが、彼女がボスに報告することはないでしょう。」
「どうして?」
「…彼女がいい人だからです。」
固唾を呑みながらこちらを真剣に見つめるスカイブルーの瞳に、言い聞かせるように語りかける
「質問事項の中に“夢”に関するものがありました。これからギャングになろうとする人間の夢なんてロクなものがないでしょう。」
「…恐らく殆どの人間がその“夢”を叶えたいがためにギャングになったも同然だろうな。」
「ええ、ですからその質問こそが重要で、あとはまぁ彼女の言い分通りではあったのでしょうが、その他のプロフィールやスタンド能力は確認程度のものでしょうね。」
続けてジョルノは言う。
「自分の野心や欲望が詰まった“夢”を語ろうとするとき、つまり感情が揺さぶられるようなポイントを狙っていたんでしょうね。ボクも動揺してしまいました。…素直に答えるべきか嘘をつくべきか。」
「お前はどう答えたんだ、ジョルノ。」
「素直に言いましたよ。もちろん“ギャングスターになる”という部分はぼかしましたが。」
「それじゃあ完全にバレてはいないんじゃないのか?」
「いえ、ボクが答えようとしたとき、彼女の手がピクリと動きました。きっと、動揺した瞬間に全てを読んだのでしょう。」
「…たしかに彼女はいい人だ。それについては俺も同意だ。しかし、だからと言ってボスに報告しないわけではないだろ。」
「しませんよ、彼女は。なんせボクの“夢”に賭けてくれましたからね。」
ブチャラティは少し考え込んだあと、屈託のない笑みでボクの背中を勢いよく抱いた。
「お前がそう言うのならそうなんだろう。俺はお前を信じるぜ、ジョルノ。」
「…ありがとうございます、ブチャラティ。」
そうして、ボクと彼女の初めての出会いが終わったのであった。
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