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✼エーテル→アルデヒド


「俺とグループ組もうぜ」
ごく軽い口調で、けれど慎重な条件の下選別した相手に。初めは半ば試すような目で見ていた。
もしコイツが駄目だったら明日ッからサボってやろうかーーなんて予備案はまるっきり無駄だと思い知らされたっけな。初戦からやけにタイミングが共鳴した。コイツが合わせてるのか、はたまた俺と相性が良いのか…然しこの見極めは現在に至るまでなかなかと曖昧なのだ。

「俺に合わせるの大変か?」
「そうでもないよ」

例え合わせることにそれなりの思考や体力を要するにしろコイツの答えは変わらないだろう。それを分かるくらいには隣にいる。
それでも…
コイツが何を考えてるかはまるっきりわかんねーんだよな。

「なぁ、今日部活ねーんだろ?ゲーセン行こうぜ」
「ごめん、お金持ってないんだよね」
「見るだけでいいって」
「ううん、行かない」

少しでも知るために。外ヅラだけでも友だちらしく、仲良くなる為に。そう始めたんだっけな、最初は。
毎回断られると分かってなお、未だ続けてしまうのはまあ俺も物好きだってことだろう。

どうやらただ戦闘の相棒、とだけではつまらなくなりつつあるらしい。





よく空調の効いた教室、あいつはまた呆けたように黒板のほうを見ていた。
「ったく、また考え事か?」
「あ、エーテル。どうしたの、なんか用?」
「いや…なんとなく。」
あ、そういや次のクエスト実技、A組と合同授業だっけ。
A組というと
「アイツんとこか」
「アイツ?」
「あー、あの真面目クンだよ。カルボン酸」
恐らく(ほぼ確実に)そう友達のいないアルデヒドにとっては『A組』そのワードだけでも特定できるだろうに。それとももう疎遠になって存在が薄れでもしてるんだろうか。
くだらない仮説に淡く期待する俺と、その飛行機雲じみた説に嘲笑するような俺と、それから涙のように伝う溜め息と。

俺も強くなれば…

否、それでは何も変わらないのでは?
ここまで隣にいるのに、ようやくわかったことといえばそれくらいだ。
それでも、何もしないよりはするほうがいい。
「俺たちも負けらんねーな!」
言葉は本心で。それでも、これは強がりと言うのだろうか?






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