相反する無垢




Conflicting Innocence


ベンチにてひとりで虹を見上げてた人の下睫毛に虹が差す

瑞々しい無垢な感性が熟れた頬をもごうと手を伸ばしたならば

言いかけて引き結んでは赦されるその唇が羨ましいな

腕時計を絶対外さない君の手首の痕は一生消えない

雨降らせ星も降らせる指が好き 私をピアノにしてほしい

鍵盤とおんなじように撫でられて熱(ほとばし)る指が嫉妬した朝

洗顔のポンプの向きをバラバラにしていく君と惚れている僕

何も無いわけがないから蚊遣香の煙が誘う涙と思う