あとづけ
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「ナナシさんのモノである証が欲しい」
そう言ったのは彼の方で、真剣な眼つきに思わず息を飲んだ。
愛し合ってそういった関係になったのはついこの前の事。互いに惹かれ合い、晴れて想いが叶ったのだが、彼からこんなことを言われるとは思ってもいなかった。
「所有物って訳じゃ」
愛しているのは確かで、それでも物ではない。対等な関係なはずなのだが、熱い目線で蝶ネクタイとワイシャツのボタンを外す彼がにじり寄ると、もう逃げることは不可能だった。
「それでも証が欲しい。身体に刻んでほしいのです」
真っ白な首筋と鎖骨から普段あまり見えない男性特有の体つきが見て取れる。恥ずかしくて目を反らすも、手で頭を向けさせられ、優しく口づけを受ける。
「痕をつけて、噛みついて、私に刻んでください。ナナシさんのモノだと」
荒い吐息で首筋を差し出してくる。恐る恐る口を首筋につけてちゅうちゅうと吸ってみる。痛くないか、寧ろ力加減が分からない。
「…もっと、もっと強く…噛みついていいんですよ」
少し口を離して首筋を見るとほんのり赤くなってはいるが分からないくらいだ。それでも痛そうで、ぺろぺろと舐めて頭の中で謝る。
「んっ…舐めちゃ」
身を捩って首元をすぼめるも、また身体を差し出してくる。今度は意を決し、肩ら辺に歯を突き立てる。絶対痛いはずだ。怖い。
「はぁ…っもっと、強くしてください…!」
ぐっと歯に力を入れ離す。歯形がくっきりとつき、やはり痛そうなのに、嬉しそうな顔で息を荒くしている。痛そうで可哀想で、やっぱりぺろぺろと痛くありませんようにと舐める。
頭を撫でられながら、いくつも痕を付けていく。噛むのは怖いし痛そうなので、強く吸って鎖骨辺りを紅い痕でいっぱいにしていく。
しばらくすると満足したのか、にんまりと笑顔を浮かべながら身体を離した。
「嗚呼…ナナシさんのモノだ…私、ナナシさんのモノになりました」
恍惚な笑みで言われると恥ずかしくてまた顔を反らす。
「何度も何度でも付けてください。私はずっと貴女のモノ。」
不意に首筋に激痛が走った。
「そして貴女も私のモノ」
口の端から血が垂れている。私の首筋にじんじんとした甘い痛みが心地よい。ああ、これが彼の欲しかったもの。
嬉しくて彼の口の端を舐めとると、互いに長いキスをしあった。
Fin.
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