熱帯夜
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「あちゅい…」
ナナシさんが溶けそうな程の暑さの夜だった。
今にも液状化しそうな彼女は、ソファーにもたれかかってはだらしなく身体を傾けている。
近年私が知る限り、この暑さは年々増しており、昔の古き良き時代とは比べ物にならず、一応冷気漂うこのレストラン内にも熱気は立ち込めていた。
「さ、アイスティーをどうぞ」
「いただきますぅ」
幽霊も凍える程冷たくしておいたそれを美味しそうに飲む喉元は白く、汗が滲みたらりと伝っていくのが見える。
暑くて露出の多いスカートからは生足が日焼けもせず、じっとりとむしばんだ汗でてらてらしている。
「美味しい…」
頬はほんのり赤く、潤んだ瞳に耳にかけた髪からは暑いせいか風呂上がりの香りが強く香る。
私は吸い込まれるように横へ腰かけた。
「…色々はしたないですよ」
「ねえギャルソンさん、ちょっといい?」
こちらの返答も待たず、私達は手を重ねていた。
「何を」
「やっぱり!ひんやりしてる!」
これこれと言いながら、喜び勇んで私の膝へ頭を乗せると、手を引っ張って額へと乗せ恍惚の表情を見せた。
「きもちいい…」
「…っ」
あられもない姿と汗ばんだ体、火照った顔とその言葉はまるで…。
「早く退かないと後悔しますよ」
警告は、した。
「ちょっとくらいいいじゃないですかあ…ひやひやで気持ちいい…」
首筋にも手を当てさせられ、暖ではなく冷を取られている。
その間もうっとりとした彼女の顔は何とも悩ましく、この目線からだと見たいところも見えるもので、生唾を飲む。
「ん?なんか頭にあた…」
違和感を感じた彼女は数秒考え、ばっと飛び起きた。
「あ、えっと…」
「そんな恰好で甘えられたらそりゃあ」
「…ご、ごめんなさい」
慌てて胸元を抑えても、もう遅い。
「いえいえ、そんなに冷えたいのでしたら、この身を挺して献身的に冷えて頂きましょうか」
上着は脱ぎ捨て、ワイシャツのボタンを全て外した。
「や、待って…!」
「体の奥の奥まで冷えてくださいね?」
そこからは折角のアイスティーも生ぬるくなるまで、文字通り体の芯から冷えるように、ねっとりと、熱帯夜を満喫させて頂いた。
Fin.
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