思い出
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「たまたま出会いが遅かっただけでナナシさんの思い出に私が居ないのが悔しいのです!」
「そういうもの、なんでしょうか」
それは話の流れでナナシの過去を話していた時の事。嫌な思い出は印象に残りやすいというが、ここでは明るく楽しかった思い出を語っていた。
今が楽しいというのに、ギャルソンの顔だけが険しくなっていく。
「だってそうでしょう?人生という限られた時間内に享受できることなんて一瞬ですよ。嗚呼…恨めしい、可愛い可愛いナナシさんの時間に食い込みたい爪痕を残したいあわあよくば云々…」
一人ぶつぶつと呟くギャルソンに耳を傾けると。
「生まれた瞬間許嫁とかになっていて欲しかった」
「幼少期に助けたりして初恋の人になりたかった」
「思春期に年上の私に憧れてこんなおじさんじゃ駄目ですよって諭したかった」
「それからそれから」
「そんな面白いポジション普通に無理では…?」
などと恨み事のような口調でやってみたかった事一覧を呟いていた。色々と偏った願望が聞こえた気がしたがナナシは聞かなかった事にしつつ、あまりの悔しがり方にまぁまぁと諭す。
「い、今こうして一緒に楽しい時間過ごしているじゃないですか!ね?」
「それに…ナナシさんの辛いとき、傍に居て差し上げたかった」
いい思い出ばかりじゃない事をわかって言ってくれたのだろう、そう言ってくれるギャルソンに少し笑みが零れた。
決して平淡ではなかった人生だが、こんなに面白い人物に出会い邂逅しているのだ。楽しくない訳がなかった。
「ま、これからですよ!私との出会い、そんじょそこらのイベントでは凌駕出来ないでしょう」
目まぐるしく気分を変えたギャルソンはそう言うと、うんうんと自身の言ったことに頷きながらナナシに向き合った。
「だから、もっと二人で楽しい思い出、作りましょうね?」
優しい目つきの気味の悪い男との楽しい時間の思い出だった。
End.
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