marry me.
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「ナナシさんは本当に私を愛してくださいますか」
そう深刻そうに言い出したのはつい数週間前の事。
「急に何を言い出して…」
「なんだか不安になってしまいましてね、幸せになるとこういうものなのでしょうか」
自嘲めいた笑いには少しだけだが、本当に不安そうな陰りが見える。二人がそういう関係になって暫く経つが、初めてそんなことを口にされて驚きを隠せなかった。何か不安にさせるようなことをしただろうか、などと頭をフル回転させていると、何か思いついたかのように彼は手を叩いた。
「そうだ、結婚しましょう」
「はぁ」
そうか結婚か
「…はぁ!?」
「初めて聞く声、いいですね」
突拍子な提案に思わず声を挙げるも、そうと決まればと何やらノートを取り出してメモしていく彼。
「ま、え?ちょっと」
そんなことを突然言われれば当然頭が追い付かないだろうが、それ以上の速さで彼は動く。彼が何の説明もなく指をパチンと鳴らすと、奥からお化けの数名が入ってきては着丈の採寸を、声を掛けようにも彼はさっさと部屋から出てって何やらうきうきで指示やら説明やらをしては消えていく。置き去りにされては周りにいるお化けに事情を説明しようにも、まぁまぁと言われ取り付く島もない。
その日はそれっきり、何か説明を受けたのだが頭に入らず、来週を楽しみにまつようにと言われ、聞き返そうにも店の外へと放り出された。
「待って待って、ほんとこれどういうことなの」
指定の日時が書かれた紙を持たされ、廃墟の前で途方に暮れるのであった。
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