星を見上げて
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「…すみません、柄にもなく星の光にあてられて感傷的になってしまいましたね」
そういうとその顔を見られたのが不服なのか、少し口を尖らせたナナシは少し顔を背けた。
「なら私が死んだら燃やして遺骨をダイヤモンドにしてね」
また突拍子もない言葉で話を反らしたなと思いつつ、ギャルソンはナナシの頬をつつながらその内容にも気がいった。
「ハイカラな技術で作れると聞いていましたがホントにあるのですか?」
「うん、だからダイヤにして指にはめて過ごしてね」
「ダイヤになんてしませんし、あんなもの自体になってどうするのです」
「キラキラ光るお空の星に行っちゃうとか言う人よりも傍で光ってた方が良いと思って」
「傍に居てくれると?ふーん?」
「…もういいもん」
ナナシがヘソを曲げれば曲げるほど機嫌が良くなるギャルソンだが、彼女の目を見てしまうとそれも罪悪感に変わっていく。
そもそも自分が消えてなくなる可能性より、待ちきれなくなった自分が貴女を引き込んでしまう可能性の方が高いのに。
「はいはい、不安にさせてしまってすみませんでしたね。何処にも行きませんし何処にも行かせませんから安心してくださいな」
「ほんと?どこも行かない?」
そんなささやかな想いは胸にしまう。
ころころ表情の変わるナナシは嬉しそうで、それよりも本当はこうやって通ってくれる彼女が来なくなるのが先かもしれず、怖いのは自分の方だと言えなくて、少し心がざわついた。
「いいから星を見なさい、こんな所まで来たのに無駄になるではないですか」
「はーい…」
星に目を戻すも、そわそわし始めたのはギャルソンだった。一度考えたらその不安が止まらず、あと何回彼女が来てくれるのか、逆に自分が不安になってしまっている。
「これが最後かもしれないんですから…」
少しぶっきらぼうに言うと、何か察したナナシは、もとより横に座っていたが更に近付き、ギャルソンの顔を覗き込んできた。
「ね、また来年もここで星が見たい。雨でも空見たい」
そういう彼女の目の中には、夜空の星がきらきら輝いて、もし星になるなら彼女の目の中で燃え尽きたい。
そんな先程のナナシと同じような考えが巡ると、こんなところに足繁く通う子が簡単に来なくなるなど有り得ないと何となく安心していた。
「…ええ、約束ですよ」
「うん。絶対」
「ほう?絶対と言いましたね?何でもすると言いましたね?」
「言ってない言ってない過言すぎ」
「あー、ナニして貰いましょうかね」
「うわセクハラ」
来年の天気はどうなるのかと気が早すぎる懸念を抱きながら、来年には無くなっている星があるであろう空を目に焼き付けた。
fin.
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