星を見上げて
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生命活動はしていないが、季節感だけは大切にしている。そんなギャルソンから星を観ようと誘われたのは七夕の夜だった。
確かにこの建物の屋根の上まで行けば雲すらない今宵なら満点の星空を拝めるだろう。さぁどう登ろうかと自身の登坂能力に賭けようかとしていると、何をしているのだとあれよあれよの内にひょいと抱き上げられ、某幽霊少年と少女の出てくる映画よろしくフワリと浮かんで屋根の上まで到着した。
途中足場が悪い所もあったり、何やら目撃したであろうここに招かれていない人が下から悲鳴を挙げて逃げていったりと、星を観る前から多難だったが、ようやく腰を落ち着けるとようやく空を見上げた。
星を観るには絶好の夜だ。文字通り手を伸ばせば届きそうな輝きが眼前に広がる。
「嗚呼…これは」
「言葉にならないね…」
プラネタリウムよりはっきり見える気がする天の川。星座には疎いナナシにもうろ覚えで思い出した夏の大三角形がわかる。
一方博識なギャルソンはあれとこれを繋ぐものをこう言うああ言うと指をさして教えてくれる。
「いつか私もあの星々になるのでしょうか」
まるで青春映画のワンシーンですねと笑っていたのに、そんなことを言うものだからナナシは不意の言葉に返す言葉が見つからなかった。
「あ、臭い台詞とか思ってるのでしょ?酷いですね!」
返答のないナナシに失礼なとばかりに顔をしかめたギャルソンだったが、それでも何も言わないため顔を覗くとぎょっとしてしまう。
「違う。…違うよ」
あんなに星にはしゃいでいたのに、伏し目がちに悲しそうな顔をしている。長い睫が星の光できらきらしていて、良い顔だとか思ってしまったが、機嫌を損ねてしまったと気付いて慌てた。
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