成就
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「どうしたらいい、私は…」
そう呟く一人の男は仄かに光る玉の端を掴んで離さない。その玉は一言でいえば霊魂、人魂だ。人魂は天へと登ろうとふわりと浮かんでいるが、その端を捕まれて上へと逝くことが叶わないようだ。
「こんなに愛しているのに」
男は人魂を抱き締めては辛そうに呟いた。しばらくもがいていた人魂だったが、男が手をかざして紐のようなものを引き抜くと、何事もなかったかの様にふわふわと店の外へと出ていった。
「貴女の未練は恋の成就ですものね」
しばらく沈黙のあと、外から女のすすり泣く声が聞こえてくる。何か酷く悲しい事があったのか、えんえんと泣きじゃくる声へと変わっていった。
「なら私は、永遠に失恋しなければなりませんね」
男は悲しそうにするも、蝶ネクタイを締め直して泣き声のする扉の方へと足を進めた。
「いつか私の恋も成就しますように」
一言口にして、その女を優しく招き入れた。
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