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「なら年明けは何を?どこかへいく予定は?」
「一度両親の実家に帰省する予定ですよ、毎年親族で集まるんです。でも…」
「でも?」
「小さい子に会ったら、お年玉あげなくちゃ…うう、出費が…」
「おや、大人の通過儀礼ですよ?そうですねえ、ナナシさんが年明けに来てくれたら、私からもお年玉を差し上げましょうか。…霊魂的なものですけど」
「なにそれこわい。いらないです遠慮します!」
「おや?そうですか…結構可愛いのですよ、あれ」
「…どんなお年玉なんだろう」
少し前まで子供のように年明けを喜んでいた彼女も、もうすっかり大人のレールに乗っかり、しっかり生活しているようだった。
「それで」
「ん?」
「年明け、いつ来られるのです?」
「んー…三が日を過ぎたらまた仕事ですし、年明けは忙しいので一週間ちょっと…」
「…そうですか」
ただ、この時期になると既に大人の女性である彼女にとっては忙しい時期なのか、年末はこうして会う機会が少なくなるようだ。
何度か巡ってはいるこの年月、それでも彼はこの期間が何となくもやもやと感じるようで、少しだけつまらなそうに目を逸らすと、はたと何かを思いついたように目を見開いた。
「ねえ、ナナシさん。よかったら新年祈願、私の分まで頼まれては下さいませんか?」
「え?別に…いいですけど?」
それは彼からの初めてのお願い事で、他人の願いを代行するなどしたことが無かった彼女は、首を傾げながら了承したのだった。
すると、彼は待っていたとばかりに笑みを見せると、彼は不意に横で腰掛けていた彼女に抱きつき、頬擦りをした。
「あっ…ギャルソンさん…」
「…ナナシさん自身にお願い事を言っておけば、自ずと境内に届くでしょう…?だから貴女にお願い事をしておくのです…」
彼女の香りに心が落ち着くようで、息をしていないはずの彼は、その胸いっぱいに彼女の香りを吸い込んだ。
ひとしきり彼女の温もりを感じると、彼はようやく祈るように呟き始めた。
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