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ここは廃墟となったとあるレストラン。只ならぬ雰囲気の扉の向こうには、朽ち果てていく内装と埃を被った家具。外には薄っすらと雪が積もっており、またこの建物が年を巡ったことを意味していた。
そしてこの廃墟の一室にはぼんやりと明かりが灯っており、中には二人の影が寄り添うように腰掛けていた。
「ナナシさん、年末はどう過ごされるのです?」
そんな建物に似つかわしく血色の悪い、否、血色と生気の無い白い肌の彼が、隣に腰掛けて紅茶を飲んでいる彼女に声をかけた。
「友達と除夜の鐘を突いてそこからは帰ってこたつで…例年通りって感じですかね?」
きっと暗闇の中彼に出会ったらなら、普通の人間は悲鳴をあげたり恐怖を感じるであろう。しかし、ここにいる彼女は全く動じる事もなく、楽しそうにその言葉に返事を返した。
「ほう、それはそれは…あの音を聞くと、ようやく一年が終わったと肩の力が抜けますよね」
「ですよね、今年も思いっきり突いてきます!」
とても奇妙なことではあるが、幽霊である彼と人である彼女は、既に何度かこうして共に年を巡っているのだった。
「ふふっ、ここまで聞こえるよう頼みますね?」
「了解です!あと厄除けのお札と護摩と破魔矢と弓も買ってきて上げますね!」
「年明けと共に消え去りそうなんで止めて下さい」
何度巡っても彼女の明るく優しい所は相変わらずで、何度巡っても変われない彼はそれが何より嬉しかった。
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