しあわせな王子様
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「ああ、そんな顔をしないで下さい…私は私、ナナシさんの愛しているギャルソンですよ?」
ああ、こんなに華奢で小さかったのか。
私の視界から見える彼女が、次第に小さく感じられていく。脳内の処理がまだ出来ていないのか、微動だにしない彼女を押し倒して腕を掴むと、高揚している私は嬉しさのあまり酷くにやけながら彼女に頬擦りした。
「よかった、ナナシさんはどんな事があっても私を愛してくれるのですね」
温かく、柔らかい。この身体で抱きしめる彼女の感触は格別に私を興奮させてくれる。
そうして笑いかけてみれば、ようやく自分の置かれている状況に気付いたのか、彼女は身を捩ってこの腕を払い退けようとしていた。
「な、に…どういう」
「あまり容姿に自信がなくてね、でももうそんな心配は要りませんよね。こんなにも私の事を愛してくれるのだから…」
もう二度とこの手を離さない、貴女はそう言ったのだから。
彼女の目に焦燥と恐怖の色が窺える。何故そんな目で見ているのか、私は何もかも理解しながら、彼女が既に私を突き放す事が出来ない事を知っているため、こうして少し強引に抱き寄せていた。
「ギャルソンさん、なの…?」
「ええ。驚いたでしょう?これが本来の私、本来貴女の前に現すべき姿」
ようやく思考力が追い付いてきた彼女は、震える唇でその名を口にしてくれた。
ずっと待ち望んでいたというのに、笑顔でないのが口惜しい。
「お化けの姿も可愛いとは思いますが、そろそろ可愛がられる事に満足してきたのでね」
だけど、いい。ずっとこうしたかったのだから。こんな素敵な体勢で、貴女と対話出来るから。
「この姿なら、貴女を全身全霊で愛することが出来るから」
ずっと抱きしめてあげたかった。本当は小さいであろうその身体を守るように、恋人同士のように、私が愛したかったのだから。
「大丈夫、今夜からは私が」
我慢していた欲求が解き放たれ、まるで悪い魔法が解けたかのようで。
「私が、ナナシさんを愛でる番ですから」
顔を近づけていくと、まるで御伽噺の王子様とお姫様のような感覚になる。
私は、この状況に酔狂しきっていた。
「は、離して!ちょっと…まって」
それなのに、その雰囲気を拒むかのようなうろたえた声を上げたのは彼女の方だった。
「おや?何を怯えているのです、外見が違うだけで私は私ですよ?」
「それは…」
「毎晩可愛いと愛でて、抱きしめて頬を寄せて…今キスをした私ですよ」
「っ…何で今まで!」
今更恥かしがる事もないのに、改めて口にしてやれば、今の私とその行為を照らし合わせ、聞きたくないとばかりに再度私の身体と押し退ける。
受諾と拒絶を繰り返す彼女が新鮮で、可愛さ余って言葉で苛めてしまう。
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