愛≧飽
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「え、あ…ちょっと!」
いかないで。私を見て、ちゃんと分かって下さい。いつもみたいに私の顔色伺って、今日は何食べたとかくだらな過ぎて笑える話を、今日行った所に私と一緒に行きたかったと、私が喜ぶ話を、私の為にしてきたことを教えて、私を好きだと言って下さいよ。
「…なんで気付かないんですか」
こんなに小声で自信のない声量を出したのは久しぶりだった。だけどそれ以上に、次に出た声は久しぶり過ぎる怒声だった。
「何で気付かないんですか!だ、大体あんなに毎日毎日べたべたしてたくせに気持ち切り替えすぎでしょ!?何挨拶しただけで素通りしてるんですか!いつもなら擦り寄ってくるのに、一回も近づいてくれないとかどうなっているんですか!」
結局のところ。
「毎日毎日好きだの愛しているだの、私だって言ってますけど正直うんざりしてました!近過ぎなんですよ私達、もういい加減言葉がなくても分かる間柄のはずでしょ?それが辛かったです、ええそうです苦痛に感じていましたとも。だけど…だけど貴女、ちょっと会わなかっただけで変わり過ぎ。どうなってるんです、今までのあれはなんだったんですか、毎日毎日貴女を腕に抱いて頬擦りして言ってるこっちまで恥ずかしくなる言葉吐いて、それでも満足しないほど貴女は私のこと愛してるんでしょ!?」
依存しているのは。
「こっちだってね、嫌だったら嫌って言いたいですよ?だけどそれ言ったら貴女絶対泣きますもん。つくづく思いますけど、本当に泣き虫ですよね。泣き虫過ぎるのもどうかと思いますよ、そこ省みたらどうですか。別に私の前で泣くなともいいませんけどね。だけど知っておいて下さい、私が貴女を泣かせない努力をこれほどまでにしていることを。努力と言えば他にもありますよ?毎日貴女の頭の先からつま先まで完璧にチェックして目新しいものがあればそれを褒める、話には大袈裟なくらいリアクションとって喜んでもらおうとしてました。こんなに、こんなに必死に頑張ってたのに…いざ離れたらもういいんですか?そこの二人が褒めてくれりゃそれでいいの?そこに居れば誰でもいいの?違うでしょ!?」
私じゃないですか。
「それに…それに!なーにが歌も上手くて優しそぉですか!ああいう職業の人間はそういう振る舞いしかしないし営業でやってんですよ!それよか貴女、私だけが好きと言った口で何言っちゃってんですか?ぶっちゃけますけどね、私そういうの浮気とみなしますよ?厳しいだの何だの言われても結構、貴女は浮気したんです。反省しました?今反省してください。浮気しようがなんだろうがね、こっちは別れる気なんてこれっぽっちもないんですから、ていうか、そういう話されても絶対聞きませんからね、却下です鬼却下です、逃がす気もなければ心変わりなんてさせる気もありませんから…!」
いや、これは依存というより中毒でしょうか。
「だからさっさと!」
あまりにも甘すぎて、過剰摂取しないと駄目になっちゃったみたいです。
「さっさと、寂しいと泣いて帰って来なさいよ…馬鹿みたいに私の顔色伺って、私のために可愛い服きて、私が喜ぶことしなさいな…飽きても何しても毎日褒めてあげますから…なんで気付かないんですか…何で声掛けてくれなかったんですか…そんなの、ナナシさんじゃないです…」
惨めとか、哀れとか、色んな言葉が過ぎっていたが、兎に角その時の私は、その場にちっちゃくなっていた。
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