愛≧飽
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「化け猫、今日は久しぶりに私がホールに入りましょう。運ぶのは私がしますから、注文を受けてきて下さい」
「あれ…?支配人、ナナシちゃんはどうしたのにゃ?」
「ん~?んふふ!女子会ですよ!」
「は?」
これだけ時間が過ぎるのが早いと感じたのはいつ振りだろうか。気が付けばもう日が昇る直前。彼女はとっくに帰宅しているだろう。何て充実した時間だっただろう。
私は久々に持てた自分の時間に、大満足していた。
「こんばんは!」
「こんばんは、ナナシさん」
「お邪魔します…あ、ねえさん!ちゃんと持ってきましたよ!」
「待ってたわぁ!早く見せて!」
彼女とはその日から、挨拶をする程度になり、すっかり女性陣だけの空間が出来上がっていった。
あぁだこぉだと雑誌を持ち込んでは評論会。店に入った途端に井戸端会議が始まっているものだから、私も挨拶だけで済む。可愛いですね、今日はどんなことがありました、まあそれは大変でしたね、もうこんな時間名残惜しいです。テンプレートを読み上げない、気の使わない時間があると、心に余裕と気力が戻ってくるのが分かった。
だが。気力と余裕が完全に戻ったその後、それは湧き上がってきた。
「こんばんは、ギャルソンさん!」
「こんばんは、ナナシさん。おや、その服は…」
3日、4日、日にちがどんどん過ぎていく。
だけど、何故だろう。
「遅いじゃないの!待ちくたびれちゃった!」
「まぁまぁ、お菊ちゃん…早く昨日の続きしましょ~」
「は~い!ギャルソンさん、また帰りに!」
あれ?
「え?あ…はい」
服、新しくしたのに、何も言わなかった。
そんな事は露知らず、早々に挨拶をすると、女性人は足早にその場を去って行ってしまった。
「…」
何だか言わなくちゃいけないはずのことを言わないと、拍子抜けしてしまうな。
彼女達の背中を見送りながら、独り取り残されたような孤独感を肌に感じていた。
そして、感じ始めた違和感はそれだけではなかった。
.
