SantaClaus
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「…やはり、異性からそういうものを貰うのには抵抗がお有りですか?」
そんな様子を見兼ねてか、受け取ろうとしてくれないナナシに対し、少しずつギャルソンの顔色が曇っていった。
実に失礼なことをしてまって申し訳ない気持ちでいっぱいになったのだが、貰う事に嫌悪を示している訳ではなかった。
「いや、そうじゃないんですけど…!」
「勘違いされたくないとか?そういうことなら、まあ…」
「違いますって!ていうか…ギャルソンさん、これを私にあげちゃっても良かったの…?」
決してデザインが気に入らないとか、ギャルソンから貰うことを拒否しているのではない。ただ、こんないいものを自分が貰っていいのか、それだけが不安だった。
ナナシは慌てて否定しながら、気まずそうに目を逸らすギャルソンに、その旨を打ち明けた。
「ここに来る人は限られているとは思うけど…他にも欲しがるお化けだっているんじゃ…」
もしかしたら、彼からこれを貰うべき『いい人』が他に居るかも知れないじゃないか。
それを考えると、急に悲しい気持ちになってしまうのだが、本当に自分が貰っていいのか不安になったナナシは、そんなことを漏らしたのだった。
「そんなことですか、相変わらず余計な詮索が多いですね」
「う…す、すみません」
「それを見つけたのは私です。差し上げたいと思う人物に渡す権利があるのも私です」
だがきっぱりとそれを否定するギャルソンに、何故だか安堵を覚えて胸を撫で下ろすと、ようやく落ち着いてその顔を見ることが出来た。
「…私からナナシさんに、クリスマスプレゼントくらいあげたいじゃないですか…」
何か思うところがあるのか、ナナシが見つめたギャルソンの表情は、少しだけ悲しそうに見えた。
「どういうものが流行っているとか、貴女の好みを知ったところでここから出られない身としては選択肢が限りなくゼロに近いのです」
そう言ってギャルソンは、指輪の方へ視線を落とした。
「今夜こんな日まで一緒に居てくれた貴女に、何の贈り物も出来ないのは心苦しいですしね」
クリスマスと言う特別な日を幽霊と過ごすなど、一般的な考えでは在り得ない状況なのだが、ナナシは自らそれを選び、今晩ここへ来ている。ギャルソンにとっては、自分や店の仲間との時間を選んでくれたことを嬉しく思っていたが、その反面、ナナシの一生のうちの特別な日を一緒に居てくれる事実に胸を痛めていたのだろう。
そしてこの指輪は、そんなギャルソンの行動範囲内で用意できる、せめてもの贈り物なのだ。
「もし、ナナシさんのご迷惑でなければ…その指輪、私からの贈り物として受け取っては下さいませんか?」
自分は嬉しかったのだ、それを伝えたかったから。
そう言うギャルソンに、ナナシは目を見開いて頷いていた。
「喜んで…頂きます」
その言葉が嬉しくて、深い意味はないのだろうけれど、心からの贈り物に喜びが溢れていた。改めてその気持ちを受け取ると、少し照れくさい気がして、はにかんだような笑みがこぼれてくる。
やっと受け取ったその指輪のはまった右手を握り締め、ナナシは嬉しそうに微笑んで見せたのだった。
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