嘘吐きの薬
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「って…ナナシさん!?」
「えへへ…やっと目が合った。ギャルソンさんの目、綺麗だから好き」
「え、え?」
恐ろしい事を考えるのには時間がかからないのに、目の前で起きていることに時間がかかるというのはどういうことなのだろう。
彼女のとった行動をようやく理解した時には、沸き上がる喜びに高揚していく。
「本当に、効いたのか…?」
飲ませたものの効能をすっかり忘れていたのだが、擦り寄ってくる彼女の姿にその力を思い知らされる。そう、あれは本当に惚れ薬だったのだ。
頭の中で歓喜の声が上がり、恐る恐る彼女の腰に手を回して抱き返すと、柔らかで細いその体の感触に、幸福感が満ち溢れていった。
「私、今までずっと好きだったの。好き、大好き…」
ずっと願っていたはずのその言葉であったが、実際言われると照れてしまって戸惑いを隠せなかった。
「あははっ、くすぐったいですよ!」
「っナナシさん、ナナシさん…!」
「でも、もっとぎゅってしてね?嬉しいんだもん…」
嬉しい、嬉しい。
温かい、柔らかい。首筋に顔を埋めると、肺いっぱいに彼女の香りを吸い込んだ。
「私なんかを好きに…?夢なんじゃ…」
「夢じゃないよ。いつも優しい貴方が大好き、ずっと大好きだったの」
「ほんとに…?幽霊なのですよ…?」
感極まって強く抱き返すも、嫌がる素振り一つしない。むしろ嬉しそうに頬擦りする仕草と細い腕の力に、幸福感が頭の中をぐるぐると回って、それと共にずっと胸につかえていたその言葉を吐き出した。
「そんなの関係ない。私はギャルソンさん自身が大好きだから」
一心に見つめてくれる真ん丸い瞳には、迷いなど感じられなかった。
ずっと気にしていたそれは、何の躊躇もなく返してくれた彼女の笑みが消し去っていた。
「そう言ってくれるのを…ずっと願っていました。私も、私もね…好きで好きで…ずっと」
嬉しくて、嬉しくて、自分でも何を言っているのか分からなかったが、彼女の首筋に顔を埋めてその温かさを噛み締めた。
「ギャルソンさんは甘えん坊ですね…」
優しい声色が、私だけに注がれる。呂律が回らなくてもいい、甘えでもいい、抱きしめてもこの香りを独り占めしても、彼女が愛してくれている。
彼女はそう言って、小さくて温かい手で頭を撫でてくれると、幸せという文字以外、何も浮かばなくなっていた。
それと同時に、頬にも温かく柔らかい何かが当たるのを感じ、埋めていた顔を思いっきり上げた。
「えっ…ぇ…」
「や、やだなぁ…そんなに反応しなくてもいいじゃないですか」
こちらの反応が思っていた以上に大きかったのか、恥かしそうに目を逸らした彼女も、やはり可愛かった。
そして、その感触と目の前の彼女の表情に、何をしてもらったのか、ようやく確信を得ることが出来た。
「毎日必ず好きって言いますから。そしたら…こんなことも、しちゃうんですからね」
じんわりと残る頬の感覚に、なんて素敵な日々なのだろうと恍惚を覚えた。
優しい微笑みを浮かべながら、夢のような提案をする彼女。ずっと望んでいた彼女の愛を今、一身に受けていることが信じられなくて、きっとだらしない顔になってしまっているだろう。
毎晩のように今か今かと来訪を待ちわび、いつ途絶えるとも分からない彼女との関係に恐怖していた。ここに来て失いたくないものが出来てしまった不幸と、ここに来て愛するものを手に入れた幸福。表裏一体の愛は、もう止める事が出来なくなっていた。
「ナナシさん…これからはずっと、ずっと貴女を愛して」
やっと、やっと私は手に入れた!彼女の本当の愛を、
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