嘘吐きの薬
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その夜、ギャルソンは善悪に揺れていた。
「…どうしましょう」
手に持っている小瓶には、見るからに怪しそうな色をした液体が入っている。それを見つめながら、ある判断に迷っていた。
「しかし、これって本当に効くのでしょうか…」
小瓶には小さいラベルが貼ってあり、そこには『LovePotion』とだけ表記されている。何も考えず直訳すれば愛の薬であるが、要するに『惚れ薬』と書かれているのだ。
ギャルソンの友人の幅は広い。そしてこの薬は、その中でも怪しい薬に事欠かない魔女から譲り受けたもの。出会い頭に「これでイチコロさ!」と渡されたのは、きっと女性陣が常日頃から自分が人間の女の子と密会しているなどと噂話でもしているからであろう。
「こ、効能はどうあれ、こんなものに頼るほど落ちちゃいませんよ!」
知らないところで話が進んでいるのはどうでもいいとして、こんな怪しげな薬を渡されるのは大いに困った話だ。特に、噂の女の子に好意を寄せているとあれば尚更である。
魔女の薬と聞くだけで信憑性と効能に期待がかかるが、心の中で使用する事に躊躇いがあった。使用すればきっと自分に好意を抱いてくれるであろう。しかしそんなやり方は恋愛とは言えないし、もしも自分が飲まされる立場だったら、無理やりに心変わりさせられるなんて絶対に御免だ。
「…でも使ったらどうなるのでしょうか?も、もしナナシさんが飲んでくれたら」
御免ではあるが、何より欲しかった相手の愛が手に入るという囁きに、一蹴して小瓶を捨て去る事が出来なかったのも事実。
ずっと、ずっと夢見ていた彼女の愛。彼女との愛が約束される薬。反則過ぎる効果を持つその小瓶は、自身の道徳心を揺らがしていた。
「それって飲み物なんですか」
揺らぐ気持ちに水を差すようにして、今まさに服用させるか否か迷っているその人物の声が振ってきた。
「うわー…手持ちの絵の具を全部混ぜたような色してますね…劇物でしょ、それ」
「ちょっ…いつからそこに!」
「お約束過ぎて返すのもなんですが、ノックしても返事がなかったので…こんばんは!」
「こ、こんばんは…」
後ろを振り返ると、目をきらきらさせながら、こちらを見ているナナシの姿があった。いつ入ってきたのかは不明であるが、どうやら彼女の声に気付かなかったほど、自分は動揺しているようだ。
その声に慌てて小瓶を落としそうになるも、のんきに液体の色の危険さに笑う彼女の顔を見て、小瓶を隠す事が出来なくなっていた。
.
1/6ページ
