S&S.Halloween
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「ぼ、僕が責任持って見てますから。ちゃんと会場にお返ししますので…」
「こんなことになるなら呼ばなきゃ良かった…!」
「あはは…そうは言っても、可愛いから許しちゃうんですよね?とにかく、行ってきます」
「…頼み、ました」
ギャルソンは苦々しく顔を歪ませ、駅員に頭を下げた。
駅員もナナシの後に続くところを見て、なんだかんだ言って好意があるのだと思うと嫌悪を抱いてしまう。かと言って、出て行った彼女を迎えに行けるわけもなく、仕方なく彼に保護者の任を託したのだった。
「ふん…珍しく生意気が過ぎるじゃありませんか」
初めて見るナナシの反抗。反抗というよりも、自分の言葉に怒っているようだ。
一人残され、先ほどのソファーに腰を掛けると、近くを通った化け猫から渡された新しいグラスに口をつけた。二人で飲もうと思っていたグラスは既に片付けられ、本来ならばここに二人で居て楽しい時間を過ごす筈だった事を思い知らされた。
「…ナナシさんのくせに、私の気持ちぐらい察しなさいよ」
それもまた自分勝手なのだが、ギャルソンはつくづくナナシが居ない空間が寂しいものであると痛感していた。
いつも彼女が傍に居て、無理難題を押し付けても半べそ書きながら遂行する。そして少しだけ褒めてやると、これ以上ないというほど嬉しそうに笑ってくれる。その笑顔が、何よりも好きだった。
何を言っても彼女が耐えて受け入れてしまうものだから、こんな風になってしまったのだろうか。何を考えても、彼女が絡んでくる自分が、酷く情けなくなっていた。
「泣いてなきゃ、いいですけど」
今、彼女は何を思って出て行ったのだろう。
今頃何をしているのだろうか、泣いていないだろうか、もしかしたら自分を待っているのではないだろうか。
先ほどあれだけ口論したというのに、もうそんなことを考えている自分が居たが、ナナシの泣き顔を思い浮かべるだけで胸が痛んだ。
「まさか他人の胸を借りて泣いているとかしないでしょうね?相手にご迷惑が掛かるでしょうが。…迷惑が掛かるので回収しにいくならいいでしょう、仕方が無いことですし、うん。そうしましょうか」
そして、駅員に寄り添って泣くナナシを思い浮かべると、それ以上に胸が痛む。
いちいち理由をつけなければ行動できないことも情けない限りだが、ようやく重い腰を上げたギャルソンは、人目をはばかる様にして会場を後にしたのだった。
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