S&S.Halloween
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声を掛けたのも、あろう事か二人が一緒に会場の出口へ向かって歩き出し、扉に手をかけ場外へ出ようとしていたからである。これはただ事ではないと焦ったギャルソンは、血相を変えて駆け寄り二人の前に立ちはだかると、数センチ開いた扉を慌てて閉めた。
「どこへ行こうというのです!?踊っていいのはこの会場のみと決めているのですが!?」
「し、支配人さん怖い…!」
「あっ…し、失礼致しました。とにかく何の御用でしょうか?外には何も…」
招待客に失態を見せることなどあってはならないのだが、声を荒立ててしまったギャルソンは、その剣幕から元より臆病な性格の駅員を
怯えさせてしまった。
会場内でも二人きりにしたくなかったというのに、誰も居ない場所で二人きりになど絶対にさせたくない。平常心を装い、何としても二人を会場から出すまいと必死になっていた。
「そ、その…ナナシちゃんが夜風に当たりたいって…一人じゃ危ないし、一緒について行こうと…」
これも全て自分へのささやかな仕返しなのだろうか。
相変わらずびくびくしながら小声で申告する駅員に、ナナシがこの発端なのかと、ギャルソンはまた不機嫌になっていった。
「暑いなら飲み物でも飲めばいいじゃありませんか。それに…ナナシさんは私に言う事があるでしょう」
「…いってきまーす」
「なっ…!」
ただ、不機嫌なのはギャルソンだけではなく、終始ギャルソンと目を合わせようとしないナナシも同じであった。
「相変わらず可愛げのない子ですね…!別にいいですけど?駅員さん、この子はおつむが足りない上に品性も知性もないので、噛みつかれたりしないようにくれぐれもご注意下さい」
「え…」
「ちょ!どういうことですか!?そういうギャルソンさんこそ、そのツンデレは行き過ぎだと思います。ツンばっかでデレがないんですもの!」
「何を言っているのかさっぱりですよ!大体何故で他の方と外に出ようなんて考えるのです!」
「ギャルソンさんには関係ないじゃないですか!」
「お客様に迷惑かけているから言っているのです、教養の無さと素行の悪さは日頃から痛いほど被害を受けているのでね!」
「痛い思いしてるのは私ですよ!?ギャルソンさんは猫被ってるだけですー会場の皆さん気付くべきですー」
「ふ、二人とも…落ち着いて下さいって!」
ナナシの顔を見てしまうと、先ほどから謝りに来なかった事に腹が立ち、ついつい強い口調で返してしまい、それを受けたナナシも一歩も引こうとはしないため、話が平行線を辿ってしまうのだった。
結局、一度も謝罪の言葉が出てこないまま、お互い言いたい事を言い合ってしまい、ついには行かせまいとしていたギャルソンの方から、扉を開けて外へと誘導し始めてしまったのだった。
「さっさと行けばいいでしょ!くれぐれも駅員さんに粗相のないように。ま、その薄着では夜風が直ぐに寒く感じると思いますし?早々に中に入る事をお勧めしますよ」
「もう戻らないんですから!」
「それで結構。安心して会場に戻れますよ。馬鹿は風邪を引かないと昔から言われていますし、是非立証してきて下さいな」
「ぜぇったい戻らないんですから!!」
肩を揺らして膨れっ面のまま外へと歩き出したナナシを尻目に、ギャルソンは手で犬や猫を追い払うような仕草を見せた。全く可愛げがないその言い草に、日頃の躾がなっていないのかと後悔さえ覚え始めていた。
宥めようと必死になっている駅員は、そんな二人を交互に見ながらおろおろとしていたが、ナナシを見てくると言うと、出口の方へと進んでいった。
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