S&S.Halloween
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「…な、何故駅員さんと?」
ほとんど面識はないが、確かにそれは幽霊駅員であった。幽霊列車レストランという名で列車を動かしており、今夜この店に招待された一人である。
だが、何故そんな彼がナナシと踊っているのだろうか。今まで面識があったとは聞いた事がないし、どういう経緯で踊っているのかも全く予想がつかない。
唖然としながらも、割って入るわけにもいけないギャルソンは、実に不機嫌そうに二人の姿を眺めるしかなかった。
「あ、ギャルソンさん」
そんなギャルソンの姿が発見されたのは、一曲終わってからであった。
神妙な顔つきで出迎えたギャルソンであったが、そんな心中を知るはずも無いナナシは笑顔で駆け寄ってきた。
「支配人さん、お久しぶりです!今年も誘って下さって嬉しいです」
「これはどうも…大分ご無沙汰しておりましたね」
「いやあ、奇跡的にダイアの運行に暇が取れまして…今年も何とか来られましたよ」
「いつもご苦労様です」
嬉しそうに話す駅員に対し、ギャルソンは作り笑いを浮かべながらも、やはりこの二人の接点が気になって仕方がなかった。
「うちのがとんだご迷惑を…」
「え?あ、あぁ…ナナシちゃんのことですか?」
「ナナシ、ちゃん?」
既に名を呼び合う仲にまで発展している事実に、作った笑顔は引き攣っていった。
「ごめんなさい…支配人さんのパートナーだったのでしょう?無断で借りてしまって…」
「いいえ、ただ粗相が無かったか心配でしたのでね」
「とんでもない!生きている人間と話せてすごく新鮮でしたよっ」
「私ちゃんとお行儀良くしてましたよ?」
えっへん、と胸を張るナナシに、ギャルソンは鋭い眼光を浴びせた。
人の気も知らず勝手に姿を消した挙句、自分以外の人物と勝手にペアを組んで踊っているナナシに怒りが湧き上がっていた。
「ナナシさん、ちょっとこちらへ」
「あ、はい。駅員さん、ご指導ありがとうございました」
「ううん、いいんだよ。僕は暫くここに居るから、よかったらまた話しかけてね」
「はーい!」
ギャルソンがナナシを呼び立てると、駅員に手を振ってこちらに駆け寄って来た。
「…」
馴れ馴れしいにも程がある。
まるで、また次会う約束をしているかのようで、何もかもが気に食わなかった。
「ナナシさん」
「はい?」
「待てと指示を出したはずですが?犬だって待つというのに」
「い、犬と一緒にしないで下さいよ」
「待たなかったくせに何を一人前に物申しているのですか?だいたい、何故見ず知らずの彼と一緒に踊っているのです」
「それなんですけど…」
指示に従わなかったことは勿論だが、何よりも自分より他人と楽しそうにしていたことが気に食わない。
いつにも増して不機嫌そうに問い質すと、ナナシはその気迫に畏縮しながら小声で答えた。
「駅員さんはさっきの私達の踊りを見ていたみたいで、私があまりに踊れないから、僕は足が無いから練習には丁度いいよーって声をかけてくれたんです。これでさっきよりは足を踏まずに済みます!だから、その…」
ナナシの話を聞けば最もだが、ギャルソンはそんなことはどうでもよかった。
今この胸の中に渦巻いている感情を理解しないナナシに、何よりも腹を立てていた。
「そうですか。なら丁度いいのではないでしょうか」
「え?何がです?」
頭の中を何度も巡っている、ナナシと駅員が手を取りステップを踏んでいる光景。何の躊躇もなくその手を取っていたナナシに、ギャルソンは自分勝手ながら、裏切られたような気がしてならなかったのだ。
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