S&S.Halloween
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…甘えていたことも」
今までこんな彼女が好きだったことも、これからもそんな彼女が好きであることも、こんな自分を受け止めてくれる彼女が好きなことも、全て素直に伝えたかった。
「こんなのに夢中だということも事実ですよ。…悔しい限りですが」
甘えも夢中も事実で、君を愛している。
今までのギャルソンであれば、気持ち悪いだの汚らわしいだの文句をつけて恥かしさを紛らわせていただろう。なじりはしなかったものの、やはり素直に言う事が性に合わないのか、最後まで伝えられはしなかったが、そこまでを伝えると、ナナシの顔が明るくなっていくのが分かった。
「ギャルソンさん…!私も夢中です、五里霧中です!」
「意味判って言っています?はぁ…やっぱり間違ってましたかね、こんな頭すっ空かんに夢中とか…」
「でも好きなんですよね!?やっほーい!」
「うるさい!大体ね、あんなことしなければ無駄に醜態を晒すことも…!」
この子は馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、それ以上に自分は馬鹿なのだろう。
嬉しさと恥かしさと緊張に口元が緩んでしまうが、それを悟られたくなくて、慌てて口元を隠した。
「ねぇ」
そんなことはお構い無しに喜ぶナナシは、ひとしきり喜びを表現した後、ギャルソンに思い切り抱きつくと、胸の位置から顔を見上げて問いかけた。
「私の事、好きですか?」
「っ…」
時折はぐらかしたというのに、これは回避できそうにない。
明確に言わずとも満足していると思っていたが、どうやらちゃんと言って欲しいらしい。ナナシの上目遣いにクラクラしつつも、やはりその一言が言えず、むず痒い思いで口を開いた。
「…比較的好いているとは思いますよ」
「そういうのじゃ嫌なんです!今まで虐げられてきた分を返上するような感じで!」
「あれもぜーんぶ愛情表現ですから、返上するも何もこちらが請求したいくらいですよ」
そうなるとはぐらかして喋るしかなく、胸の中でその言葉を催促するナナシにそう要求したのだった。
頭の回転の遅いナナシのことだ、こうすればあやふやにすることが出来る。
「ん…?」
そう思っていた矢先、妙にナナシの顔が近く、口が開けないと感じた。
「いっぱい払いますから…お願い、好きって言って…?」
柔らかく温かいその唇が、ゆっくりと離れた。
目を白黒させて下を見れば、顔を真っ赤にしながら、必死になっているナナシの姿があった。
「、き…です」
もう、勝てる気はしなかった。
「好きです…ずっと貴女が好きでした、四六時中貴女しか考えられないくらい好きで自分でも頭がおかしいと思うくらい好きでした…!」
捲くし立てるように言った後、酷く後悔した。
ナナシの満足そうな笑顔が、何故だか不服だったから。
「えへへ…照れちゃいますね」
「やっ…いまの、その…!」
「大満足ですよ!嬉しいです!」
「わ、私がナナシさんに乗せられるなど、死んでもあってはならないというのに…!」
完全にナナシのペースに嵌ってしまった。
はっきり気持ちを伝えられたことは良かったが、やはりナナシの意のままに事が運ぶのは面白くない。
「それに、今夜何か欲しいなら…言うべき言葉があるでしょ」
「ギ、ギャルソンさん?何だか目が据わって…」
「ほら、何て言うのでしたっけ?強請らないと駄目でしょう?」
「とりっ…んぐ!?」
悔しい、こんな小娘に乗せられるなんて、泣かされるなんて、振り回されるなんて、悔しいじゃないか。
沸々と湧き上がる加虐心は、抑えられなかった。最後までナナシのペースで終わらせる気はないギャルソンは、ナナシの顎を手で軽く持ち上げると、いつもの冷たい目で見下していた。
その異変にナナシが気付くも、既にスイッチが入った後であった。
「おっと…ナナシさんに言わせるわけにはいきません。それを言うのはお化けと決まっていますから」
自分で言わせようとしたにも関わらず、手でナナシの口元を塞ぐと、いつものように意地悪そうな笑みを浮かべて口を開いた。
「Trick Or Treat.仕切り直しといきましょうか」
ナナシが返答するよりも先に、甘ったるい吐息を貪った。
fin.
12/12ページ
