S&S.Halloween
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しかし、そんなナナシの言葉にも、ギャルソンは反応しなかった。
「貴女がどんなに否定しようが、もう貴女の意見など聞きませんから」
「え!日頃からそうだったけど…今は聞いてくださいよ!」
何故ならば、既に自分が愛されていないと勘違いしているギャルソンは、何もかも受け入れたくないと、聞く耳を持とうとしなかったからである。
素直にギャルソン以外は眼中にないと、不安要素であったそれを払拭する答えを出したというのに、それすら彼は受け付けようとしなかった。
ここまで追い詰められたギャルソンの耳には、全てが否定の言葉に聞こえてしまうのか、折角のナナシの言葉が届いていなかったのだ。
「私にここまで好かれてしまったこと、それが運の尽きなんですよ…」
「いや、とっても嬉しいんですけど…?」
「逃がすとでも思っていたのですか?貴女がどんなに拒絶しようが私が諦めるはずないでしょう…?」
「逃げ…ってか、聞いてます?」
ナナシは全くそんな事を言っていないのだが、目が据わり、微笑みすら見せるギャルソンは、悲しい妄想と嫉妬に駆られているようだ。
尚もその状態で話し続けるギャルソンに、ナナシは困惑し始めた。
「だから私には」
「黙りなさい!ここまで来て…私から離れるなど言わせませんから!」
「言ってない言ってない!ヘイ!聞く耳持って!」
「もう今まで通りにはいかないから…私が望んだ、愛し合いされる関係は…貴女と築くのは不可能になったから、だから…これからは貴女はずーっと私の愛を受けていればいい…貴女は拒否しても、関係ありませんよ?」
「もしもーし…」
「彼には何て言いましょうか?ああ…私達が今までしてきた密会やキスしたことも全部お伝えしておきましょう。どんな顔するんでしょうね、きっと貴女の元から去って行くに違いありませんよ…」
「そ、そういう恥ずかしい事伝えられても困るだけだと思いますけど…ねぇいい加減に」
「いいのです、浮気の件は許して差し上げますから。悪い虫が寄ってくるのが悪いのです。ナナシさんが浮気性なら、浮気する相手が居なければいいだけ…とっても簡単なことじゃありませんか」
「ギャルソンさん」
「ふふふ…もう離しませんから。一生…いいえ、死んでも離さない…!」
脅迫まがいな発言をしながらも、一方通行な会話を続けるギャルソンは、尚もナナシとの関係を終わらせる気はないと言い続けていた。
いくらナナシが話を聞いて欲しいと言っても、聞く耳を持たないギャルソンにはそれすら届かない。最初は彼の心を案じていたものの、それは次第に苛々へと変化していった。
「それ以上言うと本気で嫌いになりますけど」
そして、それを延々と聞いていたナナシは、魔法の言葉を口にした。
「い、嫌です!黙りますからそんなこと言わないで下さいよぉ…!」
「素直になるの早っ!?じょ、冗談ですって…泣かないで下さいよぉ!」
その一言で、このどろどろとした雰囲気は一遍した。
ナナシのその一言に、あれほど病んだ様子だったギャルソンは、嫌だと駄々を捏ね、泣きながらナナシにしがみ付いていた。
あまりの変貌ぶりに、先ほどの脅迫発言よりも引いてしまったナナシであったが、涙目で話すギャルソンにそんな酷い仕打ちが出来るはずがなかった。
「ナナシさんの馬鹿ぁ…何で出てっちゃったんですかぁ…!」
「そんな泣かなくったって…私が苛めてるみたいじゃないですか…」
「苛めましたぁ!私すっごい辛かったんですからっ…」
「…私だって、辛かったんだもん」
ギャルソンが泣くなんて、この世が引っくり返ってもありえないと思っていた。
だが、現に目の前にその姿があるので信じるしかないのだが、生きているうちにこんなことがあるだなんてと天変地異を目撃したような感想と共に、ナナシは泣きっ面を見せるその頭を優しく抱きとめるしか出来なかった。
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