愛狂のある彼女
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他人からの好意に、端から嫌悪を示すものは少ないだろう。
「好き」
あるとすれば、そう、受け取った好意が自分に合わなかった場合。
「大好き」
迷惑だったり、邪魔だったり、余計なお世話だったり、気色が悪いものだったり…形は様々であれど、その好意は受け入れる事が出来ない。否、受け取れないものになってしまう。
「死ぬほど好き」
ただ、それは受け取る側の問題であって、送る側はそんなことも露知らず、押し付けてしまう場合がある。
「ギャルソン、大好き」
今現在この事を一番伝えたい彼女がその良い例で、私の言葉は食道と頚動脈を締め付ける彼女の小さく異常に力強い握力で発することが出来ない。
「ごめん、何か言いたそうだった。何?」
「…いえ、飲み込んでしまいました」
「そう?」
やっと解放された喉から言葉を伝えようにも、直後の衝撃で言いたい事も消えていってしまう。
「ソファーには穴を開けないで下さいね」
「うん、お気に入りだもんね」
「…やんちゃですね、貴女は」
「ふふ!だって大好きなんだもん!」
鼻孔を撫でるこの甘い香りも、頬をくすぐる柔らかい髪の毛も、冷たい肌に染み渡るような温もりも、絵に書いたような笑顔も、擦り寄りながら突き立てた出刃包丁で台無しである。
「ね、ギャルソンも私の事好きでしょ?」
「…そうですね。こういうやんちゃなところに目を瞑れば、今まで出会った中で一番愛しいと思えてきますよ」
「ほんと?」
顔を上げて、目をぱちくりさせるその表情で、全てが許されてしまうのも、私と貴女の関係だからでしょう。
「貴女の愛が受け止められるのは、私くらいしかいないでしょうに」
「運命ってやつね!素敵…!」
嬉しそうに柔らかいその唇を押し付け、私の舌を噛み切るキスをするのは、流行の肉食系という奴だからなのだろうか。
「キスは甘いって誰かが言ってたけど、私はこっちの方が好き」
「こんな過激なキス、誰もしませんよ」
「私達はするのよ!もっと、もっとするの…私の愛が、ギャルソンに伝わるまで。伝わって、本当の愛をくれる日まで。私だけのギャルソンになってくれるまでね」
尽きることの無い、彼女の愛情。受け止め切れなかった男共が、来年の春には芽を出す事だろう。
「仰せのままに、お姫様」
彼女の血生臭いキスが病みつきになっているのも、きっと愛の所為。
fin.
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