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「で?」
「えっ」
彼がそんな平凡且つ短い謝罪で許すはずがなかったのだった。
「それは何の事について謝っているんですか?意味が判らないのですが?」
「そんな…!」
彼が求めるもの。それは彼女の謝罪の言葉なのではない。彼女の口から出る、己を酷評する言葉なのだ。
「何をしたか、何が悪かったか、自分がどれだけ底辺な存在かを述べてから謝って下さい。反省もせずに平謝りされても意味無いですからね」
悪い事をしたら謝らなければならない。彼の前では、悪い事をしていなくとも、彼が謝罪を求めれば侘びを入れなければならないのだ。それが、彼の満足する瞬間。
何も悪い事をしていないにも関わらず、羞恥を晒した上、逆らう事も出来ない彼女は、ちょこんとその場に正座すると、目の前で腕を組みながら見下している彼になおり、震える声で喋り始めた。
「…私が、その…手も使わないで…ペロペロ、したからギャルソンさんに迷惑かけて…っごめ、ごめんなさっ…」
「…」
謝罪の言葉を無理やり言わされていると、段々と悲しくなってきてしまった彼女は、最後の方は泣きながら謝る形となってしまった。
しばらく鼻をすすりながら泣く彼女を見ていた彼であったが、彼女の涙ながらの謝罪にようやく満足したのか、溜息をつきながら突っぱねるかの如く短い返事をした。
「…ま、いいでしょ。はい。ナプキンあるのでちゃんと拭いておいて下さい。」
ぽい、と投げられたそれはテーブルを拭くためのもの。
最初からあったそれに、今まで自分は何をしていたのか分からなくなった彼女は、反論もせずに泣きべそをかきながらテーブルを拭いていた。
「まぁだ口の周り拭いてなかったんですか?白いままですけど?はぁ…本当に女性と言っていいのでしょうかね、直に舐めたり食べこぼしとは…人としての品性を疑いますよ」
「っ…いま、拭き、まっ…」
「…はぁ」
そう言われて気付いた口の周りについたそれに、慌てて拭おうとしたその手は彼によって阻まれてしまった。
「汚いものには触りたくないのですが、見ていられませんから」
彼のその言葉と共に近づいてきた顔と、冷たく柔らかい唇が彼女の口に押し当てられる。驚いて身を引こうにも、がっちりと頭を押さえつけられ、そのまま唇を舐め取るように舌を這わせられた。尚も舌は動き口内まで侵入すると、彼女の舌と絡み合うように舐めとっていく。
「ほら、とれましたよ」
柔らかくひんやりとしたその感触と、極限まで間近にある彼の笑顔。
ようやく唇が離れると、頭の中が混乱している彼女は口をぱくぱくさせながら彼を見つめた。
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