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「いやいやいや!えっと…ミルクは頂きたいですけど、それはテーブルごと舐めろって言う…」
「大丈夫ですよ、この部屋だけは毎日念入りに掃除しているので舐めたくらいで他者より丈夫そうなナナシさんの胃袋は下したりしませんって。さあさあ」
無理やり何かをさせる時には使わない言葉だが、さあさあと言いながら伸びてきた彼の手は、彼女の頭を鷲掴みにすると、そのまま机に押し付けるように力をかけてきた。
ようするに、このまま顔を近づけて舐めろということ。
「さ、どうぞ」
別にテーブルが取り立て汚い訳ではない。人の目の前でこぼした飲み物を舐め取る行為に抵抗があるのだ。それ以前に彼が求めているのは、この飲み物の処理ではないことが分かりきっていたので尚更だ。
今にも泣き出しそうな彼女であったが、逃げる事も許されないため、腹を括って素直に従うことにしたのだった。
「っうぅ…いただき、ます」
「…」
どんな形であれ、彼に逆らえるはずも無い彼女は、震えるその声で答えた。
恐る恐る出した舌が、引き気味に弱々しくそれを舐め始める。子猫が舐める仕草のように、少しずつ掬い取っていく様。そしてそれを一点に見つめ続ける彼の目に、彼女の胸は羞恥でいっぱいになっていった。
「あーあー、そんな動物みたいに…はしたないとか人としてのモラルとかないのですか?」
「え!?」
突如彼女の後頭部からぱっと手を離して一歩間を取ると、卑しいものを見るかのように、眉間に皺を寄せながら視線を落としながら彼女を卑下し始めた。
「はぁ…私、とっても不愉快です。こぼしたそれを手も使わないで舐めとるとか…犬ですか、貴女。がめつ過ぎますって」
「だ、だからそれはギャルソンさんが…!」
自分で指示したにも関わらず、まるで彼女が進んでやったかのように言う彼その言葉に顔を上げた彼女は、彼の言葉に慌てふためいた。
その発言に異論を唱える彼女に対し、実に不機嫌そうな顔をする彼。そのまま言葉を続けた。
「人のせいにするなんて…はしたない上に無責任過ぎますよ。私本当に気分悪いのですが?人に嫌な思いをさせたら何で言うんでしたっけ?犬食いするような貴女でも、挨拶や謝罪の仕方くらい分かるでしょう?」
「え…あの…」
「は?よく聞こえませんよ?私は、貴女の所為で気分が悪くなったと言っているんですが?」
「…ごめん、なさい…」
彼女は分かっていたのだ。彼に口で勝てるわけがないことを。
せっかく恥を忍んで舐めたと言うのにこの仕打ち。何を言い返しても勝てないと悟った彼女は、小さく彼に詫びを入れた。
しかしだ。
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