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一室のソファーには、腰をかけ目を泳がせながら困惑するギャルソンと、その彼をにこにこと見つめるナナシの姿があった。
先ほどの雰囲気は一変し、何となくオチを読んでいたギャルソンは肩を落とすこともなく、無垢な笑みを浮かべるナナシに何事なのかと質問した。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが…何故私は感謝されてるのでしょうか。後なんで仕事を休む羽目に…」
「お店の皆さんも同意してるので安心してください。ほら、座って座って!今日はうんと労いますから」
何故、そう言葉が出る前に、ナナシの口から今まで聞いたことのない単語が飛び出した。
「ね?お父さん」
「おと…!?」
一瞬だが、彼女と自分の間に子を儲けたのかと錯覚したが、それを聞き返すのは少し下品であると思い言葉を飲み干した。
それはさておき、ますますギャルソンの頭の中は混乱する一方である。お父さん、そう呼ばれる人物に該当するのは娘、息子、あるいは形上家族を持つ者だけである。未婚である前にナナシにその名で呼ばれる筋合いがないギャルソンは、また彼女の予想斜め上を旋回する発想に困惑を隠せなかった。
「待って、待ってくださいつうか待ちなさい」
「はい?あ、ビール欲しいですか?もー、いつも呑みすぎなんだから。いつか身体壊すよ?」
「いつ飲酒しました、そして壊すも何も既に没してます」
「じゃあ心配する必要ないね!じゃんじゃん呑んでいいよ、パパ!」
「パ…!?お、お父さんでもパパでもありません!母親誰なんですか!?」
段々と論点がずれていくのは、ナナシの怒涛の気遣いによるものであろう。
呑まない酒のことを注意されつつ、全く状況を読ませてくれないナナシに対し、普段そんなに喋らないギャルソンの口がめまぐるしく動く。
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