蕾
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「こんばん…おやおや、そんなに急いでどうしました?」
抑えても、抑えても。
「ギャルソンさん、見て見て、ほら!」
ああ、また。
「それは…?」
芽吹き始めてしまう。
「いっぱい桜の写真撮ってきたんです。これを机に並べて…」
私には、全く似つかわしくない、桜色の蕾をつけて、
「これなら、ギャルソンさんと一緒にお花見できますから」
貴女の全てを糧にして、自分ではもう摘み取れないほど芽を出している。
「あ。あとこれなんですけど、落ちていた桜を押し花にしたんです。綺麗でしょう?」
もう、気付かないふりは出来ない。
「これプレゼントしようと思って…貰ってくれますか?」
枯らさなきゃ、枯れ果ててくれないと。
「え、あ…これを、私に…?」
いけない、いけない、早く、
「はい。ギャルソンさんが行けないなら、私がいっぱい写真撮ってきます。どこでも行ったつもりになれますよ!」
ああ、
「だから、一緒に出かけられなくても気にしないで下さい。これが私たちのお花見ですから。ね?」
綺麗。
「…ナナシさん」
綺麗な桜色が、
「はい?なんですか?」
この胸いっぱいに、咲いている。
「この花は、こんなにも美しかったのですね」
あたたかい、ここにしか咲かないこの花。
この花が枯れ果てるまで、一緒に見続けましょう。
fin.
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