蕾
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その日があまりにも暖かくて、春を感じざるを得ない天気だったから。
「そろそろ桜も咲くでしょうね」
そんな事を口走ったのがいけなかったのかもしれない。
「桜ですかぁ…一緒にお花見したいですね!」
私がそんな事を言うもんだから、貴女は叶えてあげられない事を言う。
「…この山、桜が植えられてないんですよ。山桜市と言いながらね」
ここから一歩も出られない私と、どこまでも歩いていける貴女。
「そ、そうなんですか?それは残念です…」
私の存在が、貴女を失望させているのがよく分かる。
「すみませんね、私もナナシさんと桜を見てみたいのですが…」
いつだってそう。何もかもが違う貴女と居ると、この違いに悔しさを感じる。
「いいんですよ!こうやって一緒にお話出来るだけで、とっても楽しいですから!…って、もうこんな時間!いつの間に…」
だけどそう。貴女はいつもそれを感じさせないほど、微笑んでくれるから。
「おや、もうそんな時間ですか。玄関まで送りますよ」
悔しさを感じなくなったけど、気付きたくないそれが芽生えている。
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