siri
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「私だってね、どのお尻でもいいなんて言うわけじゃないんですよ?死んでからというもの沢山の女性を見てきましたが、どれもこれも長所と短所を持ち合わせた欠けてるお尻だったわけです」
「気持ち悪い観察力ですね」
「それがどうでしょう!頭の上からつま先までばっちり好みの女の子が現れて、肝心のお尻をみたわけです」
「見ないで下さい。ピンポイント過ぎます」
「太ももから尾骶骨にかけてのライン…骨盤の広さとそれに伴うお尻の肉付き…眼福と言わざるを得ません!そして何よりあの感触…!」
「触ったんですね、やっぱり品定めのために触ったんですね」
「筋肉だけでなく程よい脂肪と柔肌…!この手に吸い付くようなもちもちとした感触と弾力に魅了されたのです!ナナシさん…そのお尻は一人隠し持っているべきではありませんよ」
「共有する尻など持ち合わせていません。あとそろそろ嫌悪を抱いてもいいでしょうか」
怒る気も失せるほどに嫌な講義を聴いてしまったナナシは、困り果てながら冷ややかな目でギャルソンを見つめた。
こんなにお尻に対して熱弁されるとは思ってもいなかった。しかもそれが自分自身のお尻の話。とりわけ自信があるわけではないし、見せびらかすようなものなのかも分からないが、ここまで言われてしまうと何だか逸品を持ち合わせているかのような錯覚にナナシは陥ってしまう。
「…ここまで言っても理解して下さらないのですか?嗚呼、嘆かわしい…」
「ギャルソンさんの存在自体が嘆かわしいです…というか!私のこと、そんな風に見てたなんて見損ないました!…私帰りますっ」
ナナシが怒るのも無理はない。どこまで熱弁されようが厭らしい視線を送られ続けていた事には変わりないのだから。しかもよく考えたらこれはセクハラ以外の何ものでもない。痴漢にセクハラ、余罪が彼に付きまとう。
怒ったナナシは荷物をまとめ、すたすたと出口の方まで歩き始めてしまう。そんなナナシの前にすかさず飛び出してきたギャルソンは、真剣な眼差しでナナシを見つめた。
「…ナナシさん。何か勘違いしていませんか?」
「なんですか…また何か言い訳を思いついたんですか」
またとんでも熱弁を繰り広げるのだろう。そう思ったナナシは、ほぼ軽蔑の眼差しでギャルソンを見つめると、早く退いて欲しいと距離を保ちながら身構えていた。
「私は言った筈です。どんな女性でも良い訳ではないと」
「…」
「…死んでから何十年もの間沢山の人間と出会いました。ですが誰も彼も私達の姿を見ては悲鳴をあげ逃げて行くばかり。…会話なんて、同じ幽霊としか出来るはずありませんでした」
「あ…ギャルソンさん…」
徐々にナナシとの距離を縮めていくギャルソン。ナナシはというと、この手の身の上話に弱いため、真剣に話を聞き始めてしまっていた。
「ナナシさん、貴女はそんな私にこんなにも優しく接してくれました。…それにこんなに愛らしいんですもの。惹かれないはず、ないんですよ」
「え…!」
.
